ハラヘッター
朝、夜間の歩哨任務を終えて眠っていた俺は、枕にしていたバックパックを蹴っ飛ばされて起こされる。
「な、なにすんだぁー!」
ドンドンドンドン! ポン! ドォーン!
大声で抗議する俺の耳に凄まじい銃声と、グレネードランチャーの発射音それに着弾音が入った。
「な、なんだ? 敵襲か?」
布団の中でキョロキョロしている俺に枕を蹴っ飛ばした同僚が、俺の顔に水筒の水を掛けて怒鳴る。
「目、覚めたか!」
カクカクと頭を上下に振りながら同僚に問いかけた。
「な、何が起きてる? 敵襲か?」
「外に出れば分かる、サッサと装備を整えろ!」
そう言い捨てて同僚は小屋から出て行く。
装備を整え銃を持って外に出た俺の目に映ったのは……、北極海から此方に向けて進んで来る巨大な怪獣だった……。
怪獣は両手に一匹ずつ20メートル近いホッキョククジラを持ち、それを噛じりながら上陸しようとしていた。
「多分アレが事件の犯人だ!」
俺が宿泊していた小屋から出て来たのを見て、分隊長が言って来る。
北極海沿岸の多数の集落で、集落を構成する人たちが全員行方不明になる事件が多発。
地元警察だけでは手が回らず州知事が軍に助けを求める。
それで俺が所属する分隊は、集落の人が全員行方不明になったこの集落に2日前に来て、唯一倒壊していなかった俺が先ほどまで寝ていた小屋を拠点にして捜索を行っていたのだ。
怪獣は両手に一匹ずつ待っていたホッキョククジラを食べ尽くすと、吠えた。
「ハラヘッター!」
1時間後、俺たちは5台のスノーモービルで雪原を駆ける。
所持していた自動小銃や軽機関銃、それにグレネードランチャーではあの怪獣を倒す事は出来なかった為に、軍の主力が展開している場所に怪獣を誘導しているのだ。
怪獣の歩みは遅いが一歩一歩の歩幅が大きいので油断出来ない。
あの、ハラヘッターと名付けられた怪獣を人口密集地に入れる訳にはいかない、万が一入れたら人類は食い尽くされ滅亡するかも知れないからだ。
だから俺たちは軍の主力が展開してる場所で怪獣が倒される事を祈り、誘導を続けているのだった。




