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千年の約束〜恋綴り風に舞う夢  作者: 愛龍
第三章 残響の声

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閑話 殺戮の残響、仔犬の鼓動

若手護衛が何故犬ころになったのか

千佳に「陽明さん」と呼ばれて胸を詰まらせた陽明。


そのやり取りを横で聞いていた若手護衛の犬ころたち――常磐ときわ紫苑しおん烈火れっか浅葱あさぎが、互いに目配せをし合いながら、わらわらと千佳の周りへ集まってきた。


「千佳様!俺も……俺の名も呼んでください!」

常磐が勢いよく身を乗り出す。


「ずるいですよ。僕だって……“紫苑”と、呼んでいただきたいです」

耳まで赤くしながら紫苑。


烈火は尻尾でも振りそうな勢いで声を張る。

「千佳様!俺も!“烈火”って!」


最後に浅葱が、腕を組みながらもにやにやと笑って言う。

「俺もだ。千佳様、“浅葱”って…」


千佳はぽかんとしながらも、少し頬を染めて笑った。

「えっと……常磐さん、紫苑さん、烈火さん、浅葱さん」


一人ひとり呼ばれるたびに、犬ころたちは耳を赤くして悶絶。


(呼ばれた!呼んでもらえた!)と、胸を押さえて床でのたうち回る様は、まさに犬ころそのものだった。


そんな光景に陽明が額へ手を当て、ため息をつく。

「……躾けてやろうか、この犬共。番に群がるなど無礼千万だ」


冷ややかな目線を犬ころたちに投げる陽明。


そして…

大河が背後から低い声で割り込んだ。


「……騒ぎ足りねぇなら、俺が稽古つけてやるぞ」


ぞわり、と大広間の空気が凍り付く。

犬ころ四人は、さっきまでの歓喜の表情を一瞬で青ざめさせ、ぴしっと正座する。


「す、すみません総領っ!」

「騒いでません!」

「落ち着いてます!」

「稽古は……やめてください……!」


大河は腕を組んで睨みつけながら鼻を鳴らす。

陽明はその様子に肩を揺らし、笑みを漏らした。


千佳だけは、皆のやり取りを見守りながら困ったように笑い、膳に手を合わせた。

「いただきます」


その一言で、場の空気がまた緩んだ。


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