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弟子よ……師匠は心配なんじゃ

 その日は旅立ちにはとても良い日だった。


「師匠!これより旅に出ます!」


 今この世界は『世界を脅かす魔王』が誕生し、その力を使い人々を困らせていた。今日はそんな魔王を討伐しに行く弟子の旅立ちの日である。


「おう!行って魔王をぶちのめしてくるんじゃ!」

「ついに行ってしまうんですね……」


 師匠の名はヴォルステ・ソード。八十九歳の元気ジジイである。

 姉弟子の名はミミット・ホール。凛とした美しい外見をしており、その佇まいからよく歳を間違えられるが十七歳の女の子である。


「はい!魔王をぶちのめし必ず平和を導きます!」


 弟子の名はシルバ・レイドット。正義感が強く剣の筋がとてもいい十六歳の男の子である。


「ミミット姉、心配しないで!必ず生きて帰ってくるよ」


 こうして一人の剣士の旅が始まった。

 

「寂しくなりますね……師匠…………師匠?」

「ミミット!早う準備しなさい!追いつけなくなるぞ!」


 ミミットが師匠の方を見ると、大きいカバンに旅で扱えそうな物をかき集め詰め込んでいる師匠の姿があった。


「えっ……と、何をなさっているんですか?ヴォルステ師匠?」

「何ってお前……弟子が心配じゃからその後を着いて行くに決まっとるじゃろ!!!!」

「えぇ………………」


 この世界の『素質ある者』が選抜される基準は産まれたときである。シルバは九十七代目の『勇者に仕える剣士』としてこの世に産まれ自ら師匠を選び、力をつけて旅だったのである。


「いやダメですって……そんな水を差す様な行動」

「水を差すじゃと!?何処が水を差しとると言うんじゃ!」

「シルバはこれからの旅で仲間を作り、強くなっていくんです……何のために戦うのか、何のために魔王を討つのか、そういった成長をする事で真の強さを会得し、魔王倒す事が出来るのです!」


 ミミットの考えはとても清らかな考えだった。ミミットだってシルバの事は心配している。もしもシルバが傷ついたら相手を絶対に許しはしない。自分が役目を代われるのならば代わりたいとすら思っている。

 

 だがこのジジイは違う。


「なぁーーにが真の強さじゃ!強さに真も糞もありませんーー!強さなんてのは暴力に意味を持たせて振るう時に使う便利な言葉なんですーー!!」


 ミミットという女性はとても賢く理知的である。自分より長く生きている師匠の言葉を理解し、一度の学びで大きく成長出来る優秀な子である。そんな子でも怒る時は怒る。


「いい加減にしてください!『師匠と姉弟子は吉報を待つ』弟子に世界を任せたのなら、これが普通なんですよ!?」


「何が普通じゃ!弟子が危ない目にあったら儂が倒せばよかろうが!そっちの方が時短になるじゃろ!」


「なっ!世界を救う旅に時短も何もありません!世界を救うのは真の強さです!真の強さとは、力だけではなく人の心の強さでもあるんですよ!」


「心の強さぁーー?そんなもん『魔物を斬り殺す!』という心構えだけで充分に決まっとろうが!」


 ミミットは優秀な女性です。付いて行かせない作戦は沢山ありましたが、一番友好的な作戦をクソジジイに提案しました。


「分かりました……師匠の弟子を思う気持ちに負けました……なので一つ、私のお願いを聞いてくだされば、付いていく事を認めます」

「おお!わかってくれたかの!なんじゃなんじゃ?なんっでも言うてみい!」


 ミミットは師匠を尊敬しています。師匠との稽古から学べる事はとても多く、これからも学び、教わりたいと思っています。十二年間の学びから師匠であれば絶対にしない事、それを頼めばいいだけなのです。


「師匠今ここで、私の前で!お菓子をねだる子供のように駄々をこねてください!そうすれば……私も着いてきます」

「………………」


(勝った……勝ちましたよ!シルバ!あなたの成長の旅を!姉弟子は守り切りましたよ!)


 そう心の中で歓喜の声を上げガッツポーズをしていた。ミミットは優秀で賢く、とても可愛らしい子ですね。


「……嫌じゃ!嫌じゃ!嫌じゃーー!弟子が心配だから付いて行くんじゃーー!弟子が危機に陥ったらひっそりと助けたいんじゃーー!んじゃ!んじゃ!んっっっじゃーー!!」


 ミミットは後にこのことを振り返った時『何かが割れた』と言っていたそうです。

 

 こうして一人の剣士とその師匠と姉弟子の旅が始まった。


 

初心者の投稿となります。なので、読みにくい場所や「、」や「。」の使い方が間違っていたりする箇所が多くあると思います。大変申し訳ございません。

もしもお時間がありましたらコメント欄などでご指摘して頂けると嬉しいです。

最後まで読んでくださり本当にありがとうございます!

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