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Vtuberは裏方が頑張るから輝ける、裏方の所為にできるからやっていける

作者は制作工程は知っていてもVtuberの実態についてはあんまり知りません。配信も切り抜きもほとんど見たことがないので大部分が創作となります。

それでもよかったら、Vtuber紺式ねねの皮を着て奮闘する主人公の春田雪菜と、彼女の中の人に成り切る友人の物語を読んで言ってくださいm^ ^m



紺式ねねはVtuberだ。

Vtuber事務所、鐘鶴ファクトリーに所属している。

鶴が鐘を鳴らすロゴマークとは対照的に、音が"かねづる"不穏なのが特徴的な事務所である。

鐘鶴ファクトリーは計20人のVtuberが在籍し、紺式ねねは4期生と呼ばれている。


紺式ねねが入る前からいた先輩が16人、同期が4人で、一番伸びているのが"灰式のの"だ。


鐘鶴ファクトリーに限らずVtuber事務所が○○期生としてVtuberを売り出す時、一定のテーマを定めることが多い。

例えば1期生は鯖咲みそ、椎風ツナ、恵比チリ、石清水ミズニ、鹿丹スリミ。と明らかにシーフード缶をイメージしているし、

紺式ねね達4期生は"色+式+な行の文字二つ"

朱式なな、梔式にに、紺式ねね、灰式のの。と戦隊モノの隊員のごとく法則性がある。


さすがに梔式ににはハズレである。"にに"と言う名前は流石に無理がある。


1期生のおっさんくさい名前をつけたのは50歳を迎えたおっさん社長であり、当時は社内から不評の嵐、これは酷いとデビュー当初、Vtuber中の人からも苦情が出ていたが、今では社長は先見の明があったと意外と人気である。


Vtuberにはひかり、あかり、みらい等明るいイメージの名前が付きやすい。また動物でも干支の動物が名前に入ったものと、犬・猫などのペットとして人気がある動物の名前の漢字が入ったVtuberも多い。

すると何が起きるかというと、非常に似た見た目を持つ非常に似た名前のVtuberが乱立し素人目には誰が誰だがわからなくなるのだ。

せっかくバズっても、勘違いされて似たVtuberが人気になったり、はたまた一人のVtuberの炎上により何か似ているVtuberも巻き込まれたりと、散々である。



そういう意味で、1期生の鯖咲みそ、椎風ツナ、恵比チリ、石清水ミズニ、鹿丹スリミ、はなかなか覚えやすくインパクトがあり、名前の面白さだけで登録者数を稼げていた。


社長のネーミングセンスが世間ウケしている一方でそのふざけた名前に不満を持つ社員もいる訳で、『そんなに俺のネーミングセンスが気に入らないなら君らで企画してやってみたらいいんじゃないの?』という社長のご好意で、生贄になったのが4期生である。


朱式なな、梔式にに、紺式ねね、灰式のの。

悪くはないが良くもなく、パッとしない名前。

名前として"梔式にに"はハズレだが、鐘鶴ファクトリーとしての味がでているのは、"梔式にに"だけである。


"鐘鶴ファクトリーのVtuber普通の名前になる"とまとめ記事が出たり、社長が4期生を使って反乱分子を処理したことについてのインタビューなどでちょっと話題にはなったが大苦戦を強いられることになった。


4期生の敵は内にあり、それは同期であり、また事務所にあり。


4期生の敵は外にあり、ライバル事務所であり、個人Vtuberであり。


4期生の敵は味方にあり、家族や友人であり、ファンをうたう者たちであり。


4期生の真の敵は自分である。心を痛めれば負け、同情すれば負け、悪いことでも謝れば負け。勝って勝ち続けるにはとにかくずぶとくあるべき。



それが4期生、登録者数最下位の紺式ねねの信念だった。






Vtuber事務所というのは、Vtuberの中の人となる人材の発掘、外側の調達、セッティング、マーケティングをしてVtuberというネットのアイドルを生み出すことを目的とした企業を指す。


Vtuberは古くは、一枚絵の画面にリアルの人間の声(インターネット上では生声とよばれる)を当てた紙芝居のようなものが原型であった。


元々、我が国では機械音声という確立されたジャンルが存在し、キャラクターのイラストを表示した画面に電子音から生成した人間風の音声を充てる動画があった。


その音声を生声にした動画および、それを行う動画配信者をいつからかVtuberと呼ぶようになった。


ここでいう配信者というのは、B-Tubeという動画配信プラットフォームを利用し、スーパーチャットと言われる視聴者が配信主に送金出来るチップのようなシステムやCMの広告費によって収益を得て生活をする新時代の職業マンのことだ。


広い範囲で配信者、狭い分野でVtuberは今をときめく新時代の稼げて楽なお仕事!

今の子供が将来なりたい職業にもはいる大人気職だ!


配信者は才能が有れば勝ち組、綺麗なままでアイドルとしてファンから貢いでもらえてウハウハ。

才能がなければ、売れるために尊厳を捨て水商売より過激なことをすることになる。


夢は高く、現実は辛い、これが配信者である。



そもそも Vtuberとはなんなのだろうか。


Vtuberとは、特に定義はない。本人がVtuberであるといえばその人はVtuberなのである。


事務所に所属しないVtuberは自営業だ。


自営業とは公務員職を除き、なんでも自身で職業を自称することが可能だ。


小説家といえばその人が何にも本を出していなくても小説家になれるし、イラストレーターと自称すれば、どんなに落書きのような絵でもその日からイラストレーターである。


Vtuberも、私はVtuberですといえば動画を一つも出さず登録者数0人のアカウントを所持していてもVtuberなのである。



ただ一般的にVtuberとされるのは、絵や2D風の3Dモデルをリアルタイムトラフィックス技術により、現実の人間の動きと連携させ、配信者が顔を出さずに仮想の顔であるアバターを使って活動する配信者をいう。


リアルタイムトラフィックスといえば、ハリウッド映画で使われる合成映像でも使われる技術であり、10年ほど前までは、天井や壁に機材が埋め込まれた、学校の体育館の半分ほどの部屋に全身に小型の機械をつけたタイツ姿にならなければ、出来なかった技術である。


今でも、Vtuberのライブ公演で行われるダンス映像などにはこれが使われている。

ちなみにライブに出演しているVtuberは『ダンス一生懸命練習したので見てください!』とはいうが、裏でタイツをつけ踊っているのは別人である。Vtuberの中の人ではない。


実際、ライブでVtuberとして踊っている人は守秘義務で、誰々の中に入って踊りましたとは離せないのだ!


それを知らずか知ってか、Vtuberファンは『ダンス凄かったです!絵も描けて、トークも出来て可愛くて○○ちゃん最強!』とコメントする。

いつだって裏方は報われない。成功すれば主役の功績、主役が失敗すれば裏方の所為だ。

ステージでVtuberが踊っている裏では黒タイツのプロダンサーが腰に浮輪型のクッションを巻き踊るのだ。



暴盛ィ!!(暴露盛りだくさんー!!)

おっと失礼。暴盛が出てしまいました。



さて、リアルタイムトラフィックスで3Dモデルを動かす技術は凄い。

何がどう凄いかというと、一から3Dアニメーションをつくるのに対して作業がかなり短縮でき、リアルな表現が可能だ。


3DCGで一から映像を作ろうとすると膨大な時間がかかる。

自然な物理法則を再現するために、数式をプログラム上に入力し、訳の分からないパラメータを弄り、演算出力に途方もない時間と電力を浪費することになる。


3DCGは難しい。現実で人間の体に服や髪の毛がめり込むことはないが、3DCGではそういうことが頻繁に起こる。

手をパタパタと動かすと手は胴体を貫通するし、スカートは足をすり抜けパンツが見えてしまう。ロングな髪は頭以外の全身をすり抜け、それはそれは、みるにたえない。

例え、ソフトに備え付けの物理演算システムを使用してもめり込む。


ーー無理だ!もうやってやれるかぁ!


そしていつか、そう完成する前にCG会社のスタッフが発狂する。

あと社長にもう耐えられないやめさせてほしいと頼むと、お前はうちで勉強しておいて、やめて独立して商売敵になるつもりだろと難癖をつけられやめることを拒否される。


この馬鹿馬鹿しい作業を無くすために生まれたのが、リアルタイムトラフィックスの元になる技術である。


ハリウッドで使われる3D合成技術では、全身タイツの上にボタンサイズの小型センサーをつけたアンション俳優が、部屋の中で動き回る。

部屋中の機器で、俳優がつけたセンサーとの距離を算出し、座標として記録し、データとして保存する。

そうして得られた人間の動きを、3DCGソフトに落とし込みよりリアルな3Dアニメーションや合成映像が作られる。


実際の映画ではVFXと言う特殊効果をプラスする作業が入るがこれはVtuberに関係ないので省く。ざっくりと言うとVFXとは映像内に炎や炎によって揺らめく大気を後付けで足したり、唯の木の木刀をライトセーバーのように光らせることが出来る技術である。

夏の特番で流れるUFO映像も3DCGモデルで作った円盤に3DCGソフト内でアニメーションを作り、適当に空を撮った映像にVFXで合成しているだけである。


リアルタイムトラフィックスだが、10年間まではそれは最先端技術であり、これを行えるのは国内にも2、3個しか施設は存在しなかった。


ところが、画像認識技術の発展により、コンピュータも動物と同じように画像から距離を認識できるようになると、一変した。

センサーをつけずとも人間の目鼻口などのパーツを認識し、それらの移動とアバターとなるキャラクターの位置をシンクロさせることができるようになった!

そして今では、自宅にある家庭用パソコンで誰でもリアルタイムトラフィックスが可能になったのだ。


これがいわゆる最近の動くタイプのVtuberの始まりである!


事務所の元ネタ→ない。予測変換で出た単語を繋げただけ。

1期生の元ネタ→缶詰見ながら考えたら。

4期生の元ネタ→道教の札を書きながら暇つぶしに一人でしりとりしていたら思いついた。


爆盛ィ!の元ネタ→熱盛が出てしまいました。報道番組のというミーム。

裏方の話の元ネタ→オフィスビルで昼食中に盗み聞きしたことや、裏方の人の体験談から。

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