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第四十三話 初国務終了




 「良く無事で国務を終えたなルミウ、イオナ。そしてメンデとエイルも2人のサポートご苦労だった」


 「はっ!」


 ジュスクードに戻った俺たちは、1日の休養を経て会議室にて国務遂行の報告を国王に直接行っていた。任されて2週間強で終わらせれたのだが、早かったか遅かったか、それは国民の死者によって決められた。


 国務に就いてのプロムによる死者数は分かっているだけで3人。俺は多いと思い自分の実力不足を悔やみ、嘆いた。そして再び神傑剣士としてこの場に覚悟を決めて座っている。


 「イオナ、君については初めてにしては良き動きだったと耳にしている」


 「ありがとうございます。ですが――」


 「ああ、言わなくても分かっている。確かに死者を出したことは国務に就く神傑剣士としては許されない。だが、それは成長に変えるしかないんだよ。どれだけ思い込もうと過去は変えられないんだ。だから強く、神傑剣士として生きる為に切り替えるんだ」


 「私も同じ国務に就いていた神傑剣士。イオナ同様死者を出さぬよう胸に刻みます」


 ルミウはそう言うが、俺と比べれば働いた量には天と地の差がある。俺が学園生徒ではなかったとしても、俺はなんの役にも立てなかっただろう。


 「そうしてくれ。イオナもいいかい?」


 「……はい、了解です」


 いつも、俺の心の支えとなるのは同じ神傑剣士か国王だ。誰も俺を責めることはせず、だからといって死者を出したことも許さない。それが俺にとっては固い決意をするには必要だった。


 甘い言葉で慰められても俺は絶対に変わらない。それを知る人だからこそ俺にしっかりとダメなことはダメと伝える。それも厳しく、2度と同じ過ちを犯せないように。


 俺は切り替える。国王の向ける眼差しに全てが込められているんだ。期待に応えるのが俺の役目だ。


 「では、報告を頼むよ」


 「はっ!――」


 ルミウは1日でまとめた、2週間強の国務を分かりやすく説明してくれた。そこで初めて耳にする行動や、出来事に密かに行われたサポートの手厚さも身に沁みて理解した。


 メンデとエイルも骨が折れただろう。


 「――以上です」


 「ありがとう」


 2分ほどで話し終えると着席。国王は何かを考えるような事もなく、俺らを信じて言った。


 「この件は片付いたようだね。良く遂行してくれた。これで再び王国に平和が訪れるだろう。本当に感謝する」


 安堵の表情を見せるシュビラルト国王。どれほど気にしていたのか、それだけで十分伝わってきた。同時に王国をどれだけ大切に思っているのかもな。


 「では次に、書庫の件なんだが」


 「陛下、それは私とエイルが解決するのでご安心を。ね?エイル」


 「は、はい。もちろんっす……」


 1日経過しても仲は良くならないらしい。このあと模擬戦を申し込まれたらしいので見に行ってやるが、ボコボコにされるエイルを見るのはちょっと申し訳ないな。


 まぁ面倒な仕事を理不尽な理由で増やされたんだから自業自得だな。


 「ならば問題はない。盗まれることも無かったようで、破損した重要書物も0だ。良く守ってくれた――メンデとエイル」


 重要書物は破損無しでも、国の詳細が記載された書物は少々破損しているらしい。まじで重要書物が無事なのは奇跡だ。それも蓋世心技で無傷なのだから、エイルの運は味方してくれたらしい。


 「朝飯前です。肩慣らしにはちょうど良かったので」


 余裕そうなメンデだが、実際は焦っていたのではないかと思う。


 エイルが居なくなって複数のレベル6と化したプロムと戦闘をしなければならなかったんだ。レベルが上がったとは気付かずとも、強化されたとは察知出来るだろうからそれなりに疲労しただろう。


 「そうか、それなら書庫の件も終わりだ。私から聞きたかったことは説明してもらい確認も終えた」


 長く感じた国務も国王の命により終わりが告げられる。


 「ところでメンデ、君の国務は順調かな?守護剣士を選抜しなければならないはずだが、報告も聞かないから詳しいことは知らないんだ」


 「はい。順調とは言えませんが、国務には全身全霊で取り組んでおります」


 珍しいこともあるもんだ。あのメンデが国務について聞かれて動揺も見せずに即座に解答なんて今まで数えれるほどしかないのに。


 「ほう、ちなみに何人ほど見つけている?」


 「それが未だに見つけられていないので順調ではないのです。今年のフリードは質が低いようで、テンランも同じことを言っておりました」


 「……そうか、それは困ったな。最低でも5人は欲しいのだが」


 困り顔で髭を触る国王。1万を超える生徒の中に今年の卒業生は3500ほど。その中で1人も居ないのは例外の例外。レベル5はもちろん居ても、守護剣士に値するかと言われれば難しいラインらしい。


 「私が生徒の剣技強化に出向きましょうか?」


 「ルミウが直々に?」


 「はい。私の国務も1つ片付きましたし、残りの国務はエイルに任務として委託します。なので支障を来さない程度に活動は出来るかと」


 「…………」


 これが強制委託と言われるやつだな。エイルは初めて聞いたという顔をしながらも、何故委託されるか分かっているらしく、無言でそれを受け入れた様子だ。


 「良いのか?エイル」


 「問題ありません。ルミウの国務なら裏の活動が多いらしいのでぶっ飛ばして来ます」


 なんでもぶっ飛ばすことしか考えないエイルらしい。


 「ではメンデ、君にはフリードの学生が選抜可能になるまで新たな国務を与える。だからこの後残りたまえ」


 「了解」


 「エイルにはルミウの国務を任せる。やり方は自由であれ、ルミウの顔に泥を塗ることはしないように」


 「うっす」


 「ルミウはフリードにて、1ヵ月の生徒指導を国務として命ずる」


 「了解」


 「最後にイオナ、君には国務は命じない。代わりに残りの学園生活を楽しんでくれ。君が約2ヶ月後に第7座として名乗れるのを楽しみにしている」


 「ご厚意痛み入ります」


 「では、各々国務へと就くとし会議を終了とする」


 「はっ!」

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