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第二百三十五話 会議




 帰国したエイルに、俺とルミウとカグヤが招集され、会議室にて話を始められている。僅か3日での帰国に少々驚くこともあったが、それは実力として片付け、今は既に内容へと入り込んでいた。


 「久しぶり」


 隠すことなどなくなった、正真正銘カグヤの眷属――フィティー・ドルドベルクの瞳。確保時には痩せ細った女王と聞いていたが、その面影すら見えない凛々しい威厳ある態度は、相変わらずだ。


 「フィティーに久しぶりと交わすよりも、シャナリーと交わすのが正解だと思うけど。な?シャナリー。久しぶり」


 「あっ……はい。えーっと……お久しぶりです……」


 神傑剣士3名、そしてリベニアの王を前に、流石に豪胆で居られるわけもなく、どうしようかと狼狽する姿はいじられずにはいられない。


 「友人感覚で会話したいから、神傑剣士なんてただの肩書きに震えなくなったら楽に話してくれ」


 何も報告せずに御影の地へ行ったことは謝るとして。


 「さて、本題に移ろうか。何故フィティーが投獄されていたのか、その他のリベニアの動きとかな。俺の知らないうちに、何やら話が広がってるっぽいから、そこはルミウ、頼んだ」


 「後で教えるよ」


 「助かる」


 大会の運営に尽力を始めた俺に、他国の侵略や全面戦争なんてのに興味はなかった。しかし、そんなのも今からだとどうだって変わる。この話に、俺が左右されれば。


 「では、私の投獄についてまず端的に、私が御影の地に行ってる間、王権を担った勢力に反旗を翻された。そしてリベニアの全神傑剣士が裏切り、私は投獄された」


 「反旗を翻された?それまたリベニアらしいな」


 「うん。それで、彼らはこれから先、私たちの想像を超えるようなことをするつもり。それが、精霊種によるヒュースウィット王国の崩壊」


 「ほう……無能無力、ゴミどもにしては頭使ったのか?それとも誘いを受けて承諾したか?それとも、私たちが大きく動いたことを知って、無理矢理契約したか?」


 「……俺たちに攻めるってことか。しかも精霊種と共に」


 前代未聞のことには慣れている。全て予想外だとしても、問題なく解決していたから。しかし、それが意味を成さなくなる。これから先、精霊種という空前絶後の生命体との戦争となれば、きっとそこが最奥の到達点だろうから。


 困ったな……。


 「補足するよ。攻め込む期間は4ヶ月後。それは3ヶ国の同盟で決められたことらしいから、確実だと思う」


 「待て待て、3ヶ国同盟?」


 「うん。リベニア、サントゥアル、ナファナサムの3ヶ国がヒュースウィットを滅ぼすために動いてる」


 「リベニアにサントゥアル、そしてナファナサム……どれもこれも恨み買ってるやつらだな」


 リベニアは元国王の臣下、サントゥアルはあの大貴族、いや、現国王と臣下、そしてナファナサムは魔人を忌み嫌う対魔人協会を設立している王国。


 どいつもこいつも俺の敵か。


 「ヒュースウィットにはヴァーガン王国だけが味方。それは確約してるから大丈夫」


 「だとしてもだろうな。相手は分かってるだけでも、神傑剣士が36名。そして国王や対魔人協会とやらに猛者が含まれていて、精霊種が取り憑くとなると、私たちでも太刀打ち出来るか怪しくないか?イオナとカグヤは可能でも、私たち神傑剣士程度じゃ、精霊種36体なんて、無理無理」


 「いいや、エイルと言ったか?お前の言うことは間違いがある」


 「なら補足してくれ」


 「ああ。まず大前提として、精霊種は現在7体しか存在しない」


 「少なっ」


 思わずシャナリーが溢すと、唯一の反応だと気づいて頬を赤らめておとなしくなる。


 「それは本当ですか?」


 「本当だ。10体を7体まで削ったのを記憶している。だから36も精霊種の猛者を生むことはない。考えれば分かるだろう?イオナや私が36も居るなら、既に世界は奴らの手中だ」


 ごもっとも。かつて10分割されていた御影の地を、無理矢理こじ開けて入って、3体も削った果てにカグヤは1割を手に入れていた。


 その分、狭められた中での7分割の御影の地に、不満が限界となり今に至るってことだろう。精霊種の目的はおそらく世界を我が物にすること。それを止めるために、俺たちが生まれたようなものだしな。


 「面倒が増えたな。仕方ないけど」


 「これがお前たちの危惧していた全面戦争というやつか?こんなのでおどおどしているとは、神傑剣士も情けないな」


 「何?勝てるって言うのか?」


 「もちろん。私を誰だと思っている?」


 それを左目が証明する。


 「こんな中で、大会開けるの?」


 「こんな中だから開くんだ。集まる奴らは強者ばかりだろ?なら、少しでも戦力を蓄えるにはもってこいだ。相手も何人も神託剣士を連れてくるだろうから、それに対応するのにもな」


 4ヶ月後ならば、大会終了から1ヶ月の猶予がある。その間に鍛えることも可能なので、無理に中止する方が勘ぐられたと勘違いを起こさせる口火になりかねない。


 「このことは神傑剣士だけに知らせる。戦闘準備を万全にするよう伝えないとな」


 「4ヶ月という期間。多分これは精霊種との契約を結ぶことに関係しているだろう。取り憑くのなら、それだけの期間は必要だからな。慣れてそいつらも万全に挑む気で居るはずだ」


 だとしたら、多分神傑剣士からも死人が出ることを覚悟しないとだな。

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