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第二百十七話 久しぶりの会議




 翌日、向かうは当然のように王城だ。俺が集めろと頼んだ、神傑剣士が揃う場所へ、約1年ぶりに足を運ぶ。夕方でもまだ明るさを保つヒュースウィットを、久しぶりに駆け抜ける。1年前と変わるのはカグヤが隣に並ぶこと。それ以外は、王都の現状に目を落とすなど変わりはない。


 いつも俺が最後だった。だから今日も、急いではいるが多分最後の1人だろう。待つのが嫌いだからこそ、時間ギリギリを選ぶ。いつも通りだ。


 王城へ着くと、真正面から入る。長い間裏道をこっそりと使っていた俺からすれば、この堂々と入れるありがたみは、身に沁みて感じる。認められたと、実感も出来る。


 日が暮れ始めた時間帯。俺は覚悟を決めて会議室へ向かう。ここから先は、今までの俺で居てはダメだ。しっかりと、今後自分がどう在るべきかを伝えるために、気を入れなければ。


 「よし、カグヤ、相手は王国のトップたちで仲間たちだ。いくら勝てるからって、自由にしすぎるなよ?」


 「お前が言うなら従うまでだ」


 力の差で上下優劣を決めるのがこの世界。それを強く重んじるから、俺の言うことを聞く。こう言わなければ、きっと嫌悪感から刀を抜いていただろう。恐ろしい仲間だ。でも心強く大好きな仲間だ。


 「緊張するわ」


 「私よりも人間っぽいことを言うな」


 「だな」


 半人半魔の俺よりも、純血の人間であるカグヤが、どちらかと言えば混血に見える。発言やら服装やら、何も気にしない高飛車な態度。それは演技をする俺を遥かに上回るほど、魔人に見える。


 そして、俺は扉に手を掛けた。先は静寂で、俺が来ることを歓迎しているなんてこともないだろう。いつも通り、冷やかしたりされるのが目に見えてる。久しぶりの再会がどうなるか、俺はカグヤと目を合わせ、楽しみ半分に扉を開いた。


 視界に入るシャンデリアの光よりも先に、俺は席に座る11名の剣士を即座に確認した。そして第1座から第12座までの星座。誰1人として変更のない、完璧なままの星座だった。


 流石だ。


 「おっ、来たな」


 誰よりも先に反応するのはメンデだった。扉を開けなければ、気配を完全に消していた俺たちには気づかない。だから、扉が見える位置に座る人が、必然的に最初に気づく。


 円卓を囲む11名の剣士と1名の国王。メンデの声によって視線は集まる。


 「ほう、これがこの王国のトップたちか。中々悪くないな」


 隣でボソッと俺にだけ聞こえる声で言う。


 「珍しいものつけてるじゃないか。御影の地でやられたのか?」


 「そう思うのか?ただ秘密は隠したいだけだ」


 本気で思うわけもなく、メンデらしく和ませようと雰囲気を作り始めた。それに感謝しながらも、俺とカグヤは第7座へと向かい、座った。懐かしい座り心地に、帰還したことを改めて実感する。


 「まさか俺だけが感知してるなんてことはないだろうが、その近くの女性は誰?」


 盲目だからこそ、全く人としての気配のないカグヤを不審に思うハッシ。


 「彼女の話は後でする」


 「そうか」


 たくさんの疑問が浮き上がる中、全てを説明するのは難しい。全員が何もかもすぐに理解してくれるとは思っていないし、敵だと思う人もいるかもしれない。こればかりはどうしようもない壁だ。


 「それよりもまず先に、御影の地から帰還したことを称えるべきだろう。よく戻って来たな、シーボ・イオナよ」


 「ありがとうございます」


 「ふっ。イオナじゃなければ誰も帰還出来なかったからな。褒め称えられるのも普通か」


 「小声でも聞こえるやつには聞こえるんだ。黙って立ってろよ」


 「はいはい。分かったよ」


 不満を思えばすぐに吐露する。カグヤの悪いとこだ。溜め込み過ぎないのはいいことでも、時と場合を考えてほしい。自由人なのは知っているが、行き過ぎた行動は制限するべきだ。


 「では早速、といって私から始めたいが、今回は私にイオナが頼んで招集させた。よってこれは私が進行する権利はない。全てイオナに任せる」


 「ああ。構わない」


 説明は大嫌いだ。苦手で面倒。いいことが何もないから。しかし今回ばかりはカグヤに任せることも出来ない。自分のことは自分で伝えなければならない。


 「それじゃ、多分1番気になってるだろう、後ろに立つ彼女について説明する。彼女の名はカグヤ。御影の地の1割を統べる魔人の王だ」


 「魔人の王?」


 ルミウとテンラン以外は「何言ってるんだ?」という面持ち。それ以上向けられるとカグヤの殺意が溜まるばかりだが、静止も出来ない。


 「知性を持った魔人、持たない魔人関係なく頂点だ。しかし、魔人の王であっても、魔人ではない」


 「……どういうことだ?頭壊れたのか?」


 エイルの心配そうな表情はムカつく。普段から冗談で、煽るように嘲笑いながら聞くが、今は本当に心配しているので、何故か無性に。


 「壊れてねーよ。これを見れば分かってくれるだろ」


 眼帯を外す。それを見てカグヤも同じように。


 「「「?!」」」


 流石は神傑剣士たち。俺たちのこの左目を知らない者は皆無らしい。ハッと息を呑むような音が聞こえる。再び人気者になった気分だ。


 「俺たちは創世剣術士だ。この世界を新たに創り変える存在でもある。今日はこれについて色々と話すべきことがあるから、神傑剣士全員をこの場に呼んだんだ」

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