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第十八話 拷問と国務の代行




 てっきりテンランには遅く帰宅したことをこっぴどく怒られるかと思ったが、事情を説明するとご苦労さまとお茶とご飯を出してくれた。


 そのまま眠りについたのだが、ルミウがまだその時間も調べ物をしてないか心配で寝付けなかったのは内緒だ。ルミウは深夜にも活動をしなければならないので少しでも朝から昼にかけて睡眠をする。昼夜逆転生活で激務なので体調も心配だ。


 瞼を閉じれば体力の激しい消耗により睡魔が襲うかと思っていても、ルミウを案ずることが勝ったのは予想外だ。やはり美人には睡魔も勝てないのか。


 なんて巫山戯たことを考えているのはリュートたちがつまらないイジメを、さらにつまらなくしてたった今気持ち良くストレス発散しているから。ルミウに怒られたのだから俺もイジメられなくなると思っていたが逆に悪化してしまった。


 変わったのはイジメる場所。テンランに見つからないよう闘技場裏や、みんな帰った教室でのボコボコだ。もちろんテンランにはバレているのでコソコソの意味は成していない。


 「おらぁ!!てめぇの!せいで!俺が!ルミウ様に!恥を!かかされた!だろうがぁ!!!」


 「あぁ"ぁ"!」


 過去1番の力が込められていることは分かる。でもそれだけで痛みは苦ではなく、見苦しいリュートを見続けるというイジメにあっている。


 叩かれるよりこいつらを見るほうがイジメられてる気がするのは皮肉でも嫌味でもなくホントのことなんだよな。


 「はぁ……はぁ……次こそは……絶対に!!」


 倒れた俺の腹に一撃を入れる。続いてトールとシドウも。3人の気持ちいいマッサージに感謝を。


 ルミウには絶対に認められないのに、絶対を巨大なプライドに載せ次こそは!と意気込む。剣士の才はあっても使いこなす才が無いのはお前の運命だ。


 そして3人揃って俺から離れてどこかへ行ってしまった。最近拘束時間が短くなったのは良いことだ。もう飽きてくれればもっといいんだけどな。


 俺も今日は早く解放されたので早めに王城へ向かう。ルミウの負担を減らすため。


 ――「あれ、今日は早いね」


 会議室には既に山積みにされた書物と、しっかりと起きた2人のレベル5が何かに怯えた様子で隅っこで震えていた。


 やったな、ルミウ。


 「いつもより早く走って来たからな」


 リュートにボコされる時間が減ったとは言わない。まだリュートには死んでもらいたくないからな。


 「それより早速だけど、もう吐かせた?」


 怯える男が気になって仕方なかった。情報は先に目立つ方から処理していく。


 「うん。綺麗サッパリ吐いてくれたよ」


 「さすがはスペシャリスト」


 目で見たことはないが、ルミウの拷問は死にたいと思わないのがありえないらしい。絶妙にジワジワと死へと意識を追いやって、死の恐怖が最大まで来た時また1から始めるというドSの境地。


 受けたくねぇランキング堂々の1位だ。


 「どうだった?」


 「デズモンドとは結び付けれなかったよ。なんでも、こいつらもトップのことは聞かされてないらしいからね。でもプロムだってことは確実だったよ。さすが終焉の剣士さん」


 「そうか、それは良かったよ。陽炎の剣士」


 好きじゃないんだよ終焉の剣士とか!まだ陽炎とか闇夜とかが良いって。


 まぁそんなことより、プロムであることが確実なら大きな収穫だ。喜ぼう。ホントにナイス俺。


 「短刀も君が受けた短刀と同じもの。でも君に投げたのはこいつらじゃないらしいから、他にも勢力はいるって考えて良さそう。あと、レベルが無理矢理引き上げられてるのも確実だよ」


 「よくこの時間でそこまで調べれたな。今度なにかお礼をさせてくれ」


 「うん。とびっきりのを頼ませてもらう」


 「覚悟しときます」


 ここまで来たのは9割ルミウのおかげだ。俺は何でもするつもりでいる。が、不可能なこともあるのでそういったことは範囲を考えて頼みたい。


 「俺からは何もない。することも無いから手伝うことをくれ。溜まってるだろ?」


 「うん、溜まってるけどホントに引き受けてくれるの?」


 「もちろん。どんなことでもやらないと対等じゃない」


 「それならこの国務とは違う私の国務を手伝ってほしい。内容は暗殺」


 一瞬嫌だと思ったが、これもまた1つの役目だ。ルミウがやるべきことを俺が代わりにする。それが今手につけてる国務だとは決められてなかったからな。従うしかない。


 「了解。詳しいことを聞かせてくれ」


 ルミウの国務はハード過ぎるのであまり任せられる人がいない。その上で俺を選んだのだろうが、俺も得意ではないのでルミウほどキレイにことは収まらないかもしれない。


 そうなったらそうなったで切り替える。とにかく暗殺すれば良いのだ。それ以外考えることはない。


 「市街地、ルーフに向かって、フィート男爵を暗殺してほしい。時間は問わないけどできるだけ夜にすること。期限は明後日の朝まで、つまり今日の夜か明日の夜だね」


 「ルーフまで行くのか……了解」


 ここから徒歩で行けば30時間ほど。王城に向かう時よりさらに速く走れば30分ぐらいだな。


 「暗殺理由は?」


 殺めた人間が善人ならそれは許されることではない。しっかりと暗殺理由を知り、殺さなければいけないと決断するために聞く。並みの覚悟で人殺しなどしない。


 「書庫に侵入して奪った書物の内容を漏洩した罪、そして書物の内容を悪用して守護剣士を5名殺害した罪」


 「5人もか?それはやりすぎだろ」


 守護剣士でもレベル5はゾロゾロいる。彼らを5人も殺したんだ、相当な腕と死ぬ覚悟があるんだろう。良かったしっかりとクズで、これで静かに殺めれる。

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