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091 千鳥ヶ淵

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【357日目 11月1日 午前0時15分 皇居半蔵門上空】


「ここ皇居半蔵門上空でずっと空中待機しているのも疲れるからあっちの高層マンションの屋上に行こうか。ターゲットの位置から千鳥ヶ淵と千鳥ヶ淵戦没者墓苑を挟んで500mくらいで障害物なくて見通しがいいしちょうど良いと思うし」


「はい、そうしましょう。ここに居てもしょうがないですしね」



 半蔵門上空で空中待機を始めて5分くらいしてエマ園長がスマホを弄りながら提案してくれたので賛成する。吹きっさらしの空中でジッとしてるのも退屈なうえに居心地も悪いからね……伊集院君も嬉しそうだ。



 およそ700mくらいを空中機動して目星をつけた高層マンションの屋上に着地、一息つく。



『日本政府に話を通すのに時間が結構掛かると思うから強化カモメを使役して監視任務に当たらせるか……亜空間ルーム開口部オープン!

いでよ! 我が眷属ども!』



 エマ園長の指示と共にマンション屋上の上空1.5mにポッカリと開いた空中の窓から白いカモメが2羽飛び出してきた。



『ジョナサン1、ジョナサン2! ここから500mくらい離れているあそこの森にゾンビが居る!

人間タイプなのか鳥タイプか分かんんないけどあの辺の上空100mくらいで空中哨戒をしておけ!

異常を認めたらここに飛んで帰ってきて報告せよ!」



 しかし二羽のカモメは直ぐには行動に移らないようだ。



『マスター・エマ、腹が減ったのだ。魚を寄越して貰いたい』


『ん? しょうがないな、そこの千鳥ヶ淵で勝手に魚を採って行って良し!』



 二羽の強化カモメは一気に時速200km位まで加速、弾丸のように漆黒の千鳥ヶ淵に飛び込んだかと思うと体長50cmくらいはありそうな鯉を咥えて空中に飛び出した。


 やはり強化カモメの戦闘能力は恐ろしい。元々飛行能力がある上に魔術「飛行」が使えて「反応速度」とかの各種「身体強化」に加えて「攻撃魔法」まで使える。

 こんな連中が敵で奇襲攻撃されたら簡単に敗北しそうだな〜怖い怖い。





 高層マンションの屋上から見てると皇居周辺には警察官と警察車両が多数集結していて……コリンズさんが言ってたように緊急事態が宣言された結果の警備強化なんだろうね。





 スマホでニュースを検索すると新宿歌舞伎町のテロ事件が大ニュースになってて凄い大騒ぎになってるみたいだ。

 伊集院君、エマ園長と一緒にスマホで片っ端からニュースをチェックしていく。





 ……今のところは俺たちアリス軍団に関する記事は出ていない。エマ園長が言うにはコリンズさんからアメリカ政府を通して俺たちアリスさんとその仲間に関することは報道規制して非公開にしてもらってるそうだ。

 日本政府には俺たちのことは、


「アメリカ政府に所属する秘匿された特殊能力者」


ということになっているらしい。なにそれ、アメリカのヒーロー物テレビシリーズみたいでカッコいい。


 伊集院君を見ると、鼻の穴を膨らませて顔を紅潮させている。「アメリカ政府に所属する秘匿された特殊能力者」という肩書きが物凄く気に入ったみたいだ。




「御子柴君と伊集院君、君たちの強化カモメは使える? 使えるならルームから出してこの辺に放って魚でも食わしておいた方がいいよ?」



 なるほど。では俺もそうさせてもらおうかな。



「あ……僕のカモメ達……『兄貴』と『姉御』はミラ副園長の指揮下に編入されてまだ返してもらってないんだ。新宿で返して貰えばよかった。いったん手を離れてしまうと念話も届かないし不安だな。ソウルで逸れた時もあのカモメたちは僕のことを忘れていたし……困ったな」


「そっか。エマさんと俺ので四羽いるから取り敢えず十分だよ。所詮替えのきく消耗品だから居なくなったんならアリスさんにお願いして追加して貰えばいいし」



 俺は亜空間ルーム開口部を開いて自分の強化カモメを外に放つ。






 強化カモメを外に放って自由に魚を喰わせながら引き続きニュースサイトを見ていると「日本時間午前2時からアメリカ大統領の緊急記者会見」というニュースが飛び込んできた。


 NHKをはじめ首都圏キー局はすべて放送時間を延長して中継するらしい。日本政府からは東京でのテロ対応のための緊急事態宣言と関係があるというコメントが出ている。エマ園長に大統領の記者会見の中身知ってますかって聞いたら「知らないけど宇宙間ゲートのことじゃない?」だって。


 いつの間にか高校生の俺たちがアメリカ政府とか日本政府の動きの中心になってるなあ……へへへ、ちょっと調子にのってるかな俺たち? でもしょうがないよね? 俺たちはアリスさんの司祭だしアリス軍団の軍曹だし。そもそも勇者と魔王だし。








【357日目 11月1日 午前1時半頃 千鳥ヶ淵戦没者墓苑隣の高層マンション屋上】



 ……暇だな……



 エマさんを見るとアリスさんと電話している。アリスさん達は秩父の山岳地帯上空に達しているので今後はたぶん携帯が通じなくなるってことだった。


 首都圏から離脱しつつある死霊使いはどうやって移動しているのかな? 飛行能力があるんだろうか。




 ……皇居外周道路、そしてここから見える皇居「半蔵門」と北の丸公園側の皇居「乾門」は大量の機動隊と皇宮警察官たちによって封鎖されている……




 

『プルルルルー! プルルルルー!』



 エマ園長の携帯に着信だーースマホを操作して確認するエマ園長。



「あら、コリンズ大将から電話だ。日本政府と調整ついたかな? はいはいー


……え、日本の機動隊と協同でゾンビ捕獲を試みろって?


……三人一緒にね、はいはい。目出し帽かぶって顔を隠せと。分かりました、しょうがないですね。


……皇居「乾門」の現場指揮所に行って調整しろと。第一機動隊長ね。了解しました」



 エマ園長が俺たちに向き直って指示を出す。



「二人とも聞いてた? 第一機動隊に協力してゾンビを制圧するよ。

人型ゾンビは手足吹っ飛ばして拘束、カラス型は基本「浄化」で殲滅で良いんだけど、日本政府はサンプルが欲しいってことなんで、できれば無傷で捕獲してほしいらしいんだよね。

ゾンビ50体がまだ密集して存在するなら「結界5」を二人で発動すれば一網打尽にできるとおもうんで、基本これでいこう」


「……うん、分かったけど、『アメリカ政府に所属する秘匿された特殊能力者』である僕たちの名前はどうします? 本名は伏せますよね!」



 伊集院君の瞳はきらきらと輝いている。

「アメリカ政府に所属する秘匿された特殊能力者」というロールプレイに興奮しているみたいだね……

 エマ園長は、はあ?そんなもん必要あるの?みたいな顔をしたけど、伊集院君の意気込みに若干引きつつも付き合ってあげることにしたようだ。



「……そうねえ……アタシは……この服装だから、『ウイッチ2』にするか。いちおう『ウイッチ1』がアリスちゃんで『ウイッチ3』がミラちゃんね。

茜ちゃんは『ニンジャ』、コリンズ大将は『ジェネラル』で仮置きしとこう。会話で名前を出すかもしれないからコードネーム? は必要だろうからね。

勇者の御子柴君は『ブレイバー』、魔王の伊集院君は……魔王って何て言えば? 『ダークロード』にでもしておく? ま、自分の好きに決めていいと思うけど」



「ダークロード……いいですね、有り難うございます。僕はダークロードにします!」


「あ、俺もブレイバーでいいです」


「よし、ダークロードとブレイバー! ウィッチ2について来い! ……乾門に行くよ?」




 俺たちは飛行神器を取り出すと空中にポーンと飛び上がって飛行神器に飛び乗って乾門に向けて飛び始めた。



 途中「隠密」を発動しながら皇居のゾンビが潜む森の上空をゆっくりと通過。ゾンビ共の分布を再確認する。やっぱり密集している。スマホのマップと照合してゾンビ集団の位置情報を記録しておく。


 エマさん=ウイッチ2は眷属カモメのジョナサン1、2に指示を出してゾンビ制圧までにまだ時間がかかること、乾門に向かうから異常時は乾門に報告に来ることを命じていた。


 改めて上空から観察しても森の木々が密集していて森の内部は全く見えない。ゾンビが人型なのか鳥型なのかは全く分からないね……






 皇居乾門の内側に広がる広場には機動隊の大型バスが3台駐車していて多くの機動隊員が活動していた。


 そのど真ん中にゆっくりと空中から接近、着地する俺たち三人。

 機動隊が駐屯する広場に俺たちが着地しても誰も気付かなかった。そっか、みんな森の方向を警戒しているからね……



 機動隊員の皆さんは濃紺の出動服に透明のポリカーボネート盾、ガス銃を装備した隊員と短機関銃MP-5を装備した隊員が多い。


 いくらゾンビとはいえ単にゾンビになっただけのカラスとか人間は強力な戦闘能力を持ってないだろうから……機動隊員たちが装備している携行火器で十分に対抗できると思うけど。でもゾンビにはガス銃は効かないんじゃ……? 知らんけど。





 エマさん(ウイッチ2)がそこらの機動隊員に声をかけて第一機動隊長への面会を求めている。多少の混乱はあって5分位機動隊員さん達に包囲されて騒ぎになったけど無事話が通って第一機動隊長さんが来てくれた。



「あ、すいません、第一機動隊長の与野警視正です。アメリカの特殊能力者? の人たちと協力して皇居内に潜むテロリストに対応するように本庁警備部から指示されましたーーええと?」


「私はアメリカの特殊能力者『ウイッチ2』です。彼は『ブレイバー』、そして彼がダークロード』です。

何れもアメリカ政府に所属する特殊能力者です」



 エマ園長が俺たちを紹介してくれた。



「そうですか。ところで上からは「アメリカの特殊能力者の皆さんと協力しろ」と言われただけで具体的な指示は何もなくて現場に丸投げなんですよ……どうしたもんかなあ。

いちおうオブザーバーとして見学されるということで良いんですかね? 日本国内におけるテロ対応ですので外国政府による法執行権限は及びませんからね?」



 ブレイバー伊集院君ダークロードはエマ園長(ウイッチ2)の方を伺う。こんな感じの交渉事は高校生の俺たちには無理だからな~。



読んでいただきありがとうございます。

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次話092 乾 門

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