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042 騎士団


【1月8日 王都フィオーレ公爵邸】


 結局は公爵邸にある食糧や食材、道具類で使えるものを片っ端からアイテムボックスに突っ込んで今日の深夜に私一人だけでゲートに向けて出発することにした。




 家族との話し合いが終わってようやくひと段落ついて食事を取った後は深夜の出立までの間仮眠を取った。

 お父様は私一人で遠い外国、この大陸の東端にあるゲートまで向かわせるのを余程に気がかりだったのだろう、公爵家の騎士団長以下の騎士5名を国境まで私に同行させて見送らせると言い出した。既に秘密裏に招集して準備は整っているということだ。




 ……さて。深夜の1時頃にひっそりと出発である。公爵家騎士団長以下の騎馬の騎士5騎、そのうちの1騎にわたしを抱え込むように同乗させてもらう。

 私って令嬢なので騎乗の経験もスキルも無いからね。私一人だったら歩くか「飛行」で飛ぶかなんだけど目的地のゲートまでは遥か遠いから国境までとはいえ魔力や体力を使わないで移動できるならその方が助かるしね。



 お父様とお母様、妹のエルナにお別れを行った後に、さあ出発というところで、お母様から声をかけられた。



「リーナちゃん、最後にもう一度抱きしめさせてくれない? あなたの事だから大丈夫とは思うけど行先はあまりにも遠いから……」


「うん、わかった」



 私は騎乗していた馬から使用人のアシストをしてもらいながら下馬するとお母さんに抱き着いた。お母様の顔を見ると、何やら緊張しているような? ……おや?



「騎士団長、あなた警護対象であるリーナに挨拶もせず、無礼でしょう? 馬を降りてこっちに来て挨拶しなさい」



 騎馬団の先頭にいる騎士団長らしき騎士は5秒ほど反応なく佇んでいたが馬から降りると頭の防具を取り外しながらこちらに歩いてきた。そういえばこの人とはあんまり会話したことはなかったなあ。顔もあんまり知らない。



 確か30代の男爵で……最近父親の引退に伴って爵位を受け継ぐとともに騎士団長に昇格した人だったはず……

 騎士団長が近づくのを私がぼんやりとみていると、お母様が私に囁いた。



『リーナちゃん、私は「鑑定」を持っていないから多分「アスクレピオスの杖」の効果だと思うんだけど騎士団長とすれ違ったときに邪悪な波動を感じたのよ。リーナちゃんのスキルで団長を確認できないかな? ちなみにお父様の「鑑定」では分からなかったのよ』



 私は心臓を握りしめられたような衝撃を感じた! 邪悪な波動といえば第二王子がそうだった! 慎重に。心の動揺を抑えながらこちらに歩いてくる騎士団長のステータスを閲覧する。



名前 ー 

種族 ゾンビ 人(男性) 

年齢 0歳(人 32歳)

体力 G

魔力 D

魔法 ー

身体強化 ー

スキル 闇魔法D 土魔法D 火魔法D 

   精神操作D 飛行C 

   怪力C 再生D

死霊スキル ゾンビ化C ゾンビ修復C

   ゾンビ再生C ゾンビ強化C 

称号 フィオーレ公爵家騎士団長だったもの

   ゾンビ 死霊使いの眷属



 ……ゾンビだ! 死霊使いではなくて「死霊使いの眷属」ってなってる。頭部の防具を外した騎士団長は普通の人間にしか見えない。第二王子とは違うのだろうか?

 続いて騎士団長以外の騎士4名のステータスを確認するもただの人間だった。大丈夫だ、良かった。


『お母様、騎士団長は「死霊使いの眷属」で「ゾンビ」だよ、たぶん死霊使いよりも弱いよ。どうする? お母様が試しに討伐してみる? 小手調べに神聖魔法の「ターンアンデッド」を喰らわせてみたらいいよ』



 お母様は一瞬躊躇したようだったけど意を決したんだろう、右手で「アスクレピオスの杖」を掲げると小さい声で宣言した!



「ターンアンデッド!」



 ゾンビに向けて突き出されたお母様の持つ「アスクレピオスの杖」から飛び出した白い光の塊がゾンビの騎士団長に命中した!


 目の前にいる騎士服を纏った騎士団長ゾンビは淡く輝きながら、胸を掻きむしりながら苦しみだした。表情の変化は乏しいけど怒気を含んだうめき声をあげながら片膝をついてお母様と私を睨みつけてきた!

 お父様の方を見るとびっくりした様子でありながらも腰の短剣を引き抜いて騎士団長の動きを警戒している。



「……騎士団長……あなたはいつからゾンビになったのですか?」



「……ついさっきで御座いますよ、奥様。リーナお嬢様を追跡してきた我が主にゾンビにして頂きましたからね?」



 騎士団長ゾンビは忌々しげながらもいちおう騎士団長らしく丁寧に回答してくれた! もとの騎士団長としての人格が残っているのだろうか? でも死霊使いの主が私を追跡してきたって? やばい、近くに敵がいる!



「お母様、近くに死霊使いがいるみたい! 結界創造で守りを固めるよ!」



 私は聖女スキルである神聖魔法の結界創造で敵意ある生命体の接近を拒否する領域を創造する。私のイメージで概ね半径100m。



「神聖魔法ー結界創造ープロテクティブサークル!」



 私のコールとともに私の身体全体が淡く輝きだして半径100mの神聖な結界を作り出した!

 この結界は敵意ある生命体の接近を拒否、又は追い出す効果があり、更に邪悪な存在を弱化させ接近を拒否、効果範囲から追い出す効果がある。ゾンビや死霊使いに対しては特効があるはずだ!


 「プロテクティブサークル」発動直後に右前方20mほどのところの木陰から叫び声が聞こえて一人の人物が転げ出てきた! 

 ちょっと距離があって鑑定は通らないけどあの苦しみ方は邪悪な存在に違いない、たぶん死霊使いのはずだ。すかさずターンアンデッドを発動するーー命中! 地面に突っ伏したまま痙攣しているようにみえる。


「お父様、お母様、騎士団長だったゾンビに尋問するならしてみて? 討伐するならお母様の神聖魔法「ホーリーライト」でとどめを。騎士団長は既に死んでいるから遠慮は要らないよ?」



 お父様とお母様は顔を見合わせて、悲しい顔をしたけど諦めた感じで頷きあって。お母様が「ホーリーライト」で騎士団長ゾンビのとどめを刺した。

 騎士団長ゾンビ討伐後に私とお父様お母様は木陰から飛び出したあとに地面に突っ伏して痙攣している人物に近づく。灯を近づけて確認してみるとー



「第一王子か。やはり王家は既に死霊使いに乗っ取られているようだね……」



 お父様が言うとおり、地に突っ伏しているのは第一王子だった。



名前 死霊使い  

種族 ゾンビ 吸血鬼(男性) 

年齢 0歳(吸血鬼21歳)

体力 G

魔力 D

魔法 ー

身体強化 ー

スキル 闇魔法C 土魔法C 火魔法C 

   精神操作C 噛みつきC 飛行C 

   変身C 血液操作C 霧化C 

   怪力C 再生C 鑑定C 種まきC

死霊スキル ゾンビ化C ゾンビ修復C

   ゾンビ再生C ゾンビ強化C 

   ゾンビ支配C 

称号 エルトリア王国第一王子だったもの

   吸血鬼男爵 ゾンビ 死霊使い



「第一王子だった死霊使いさん、あなたはどうやって私を追跡してこれたの? 私が第二王子だった死霊使いさんを討伐したことは分からなかったと思うんだけど? 周りには誰もいなかったから目撃者もいないと思うし……」



 第一王子だった死霊使いは私とかお母様をぎょろぎょろと睨みながらも一言も、何も語ることはなかった。



「リーナ、この第一王子だった死霊使いは黙秘して何も語るつもりはないみたいだ。討伐してしまおう。第一王子だった死霊使いよ、なにか語るなら今のうちだよ?」



 第一王子だった死霊使いから湧き出る邪悪な波動の強度が瞬間的に強まった!



「お母さま! コイツ、何らかの攻撃をしようとしている! 『ホーリーライト』を使って! 死霊使いを討伐しないと危ない!」



 「わかったーーホーリーライト!」



 お母さまの「ホーリーライト」によって第一王子だった死霊使いは動かなくなった。念のために鑑定してみたけど無事に討伐できたみたいだ。



「リーナちゃん、この杖、私が持ってていいの? こんなすごい杖、聖女であるリーナちゃんの力の一部だし、無いと困るんじゃないの?」


「ううん、大丈夫。私はもともと聖女だから神聖魔法は杖が無くても使えるし王宮では死霊使いだった第二王子を神聖魔法で軽く捻ってやったくらいだし。……それにゲートの向こうの地球にはもともと魔法もスキルも無いから強敵はいないしね。

それより死霊使いとかゾンビとか思ったより浸透が進んでいるのかなあ? 王都の公爵邸にとどまるのは危険じゃないかな。お父さんお母さん、妹エルナ含めて私と一緒にゲートに向かった方が良くない?」



 お父様とお母様はしばらく話し合ったあとに。



「リーナ、私たちには守るべき領地があって親族も多数領内に住んでいる。隠居した先代夫婦もいるしね。だから私たちだけでゲートに向かう訳にはいかない。でもエルナは本人が望めばリーナと一緒に連れて行ってもらえないかな? 

エルナはどうしたい? 私たちお父さんとお母さんは領地に引きこもって防備を固めたいと思うけど守り切れる保証は無いから。お母さんが『アスクレピオスの杖』を使えばかなり戦えると思うけど……」



 エルナはちょっと迷ったようだったけど、両親と一緒に領地に行くことに決めたみたい。




 概ね2時間後、予定よりも遅れちゃったけど、騎士4名とともに私は両親と妹エルナに見送られながら王都公爵邸をひっそりと後にした。



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