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039 聖 女


 私は水無瀬美咲。16歳の高校一年生だよ。三学期の始業式の朝、体育館で校長先生のお話を聞いている途中。ふと気がついたら体育館の中じゃなくて迎賓館の中みたいな豪華なお部屋の中に立っていた! しかも目の前には煌びやかな服を纏ったゾンビがいた! 



「えっ、えっ、何なの、あなたは? ここはどこなんですかー?」



「Diventa uno zombi! È strano, perché non funziona? Stai fermo! 」



 全然言葉が分からない! ゾンビ語なの!?



 目の前には昔のヨーロッパの王子様然とした宮廷服に身を包んだゾンビがしきりと腕を振り回したり手のひらを私に向けて嗄れた声で何かを叫んでいる!



「Lina! Stai fermo! Proviamo di nuovo. Diventa uno zombi! È strano, non può essere.」



 私に呪いでもかけようとしているんですかー! 煌びやかな服を纏ったゾンビとの間に豪華な応接テーブルが入るようにしてゾンビが近づいてこれないように、距離を取るようにする。



 このゾンビ、本物なの? 特殊メイクした役者さんが中に入っていてドッキリ成功〜とかは? ないの?


 ゾンビをよく見るけど偽物には見えない。何やら邪悪な波動を感じる! コイツに捕まったらヤバい! 動きはあんまり機敏じゃないみたいだけど恐ろしい! 




 ゾンビから目を話さないようにしながら自分のいる部屋を見回す。高校の教室ほどの大きな部屋の真ん中に10人ぐらい着席できるテーブルと椅子。部屋の出入り口はゾンビの後ろに一箇所だけ。追い詰められている形になっている!


 恐怖と緊張のあまり心臓を誰かに握りしめられているように胸が苦しい。脚も小刻みに震えている。早くどこかに逃げないと! でもどうやって?!




『美咲ちゃん落ち着いて! 自分のステータスを見て! ステータスを見たいって願うんだよ!』



 頭の中で誰かの声がする! ええー誰なの? でもステータスを見ればいいの? 分かったよステータス! 私のステータスを見せて!



名前 水無瀬美咲

種族 人(女性) 

年齢 16歳 体力ー  魔力F

魔法 ー

身体強化 ー

スキル 光魔法5神聖魔法5治癒魔法5

   身体強化5毒耐性5麻痺耐性5

   杖術5聖杖術5

   アイテムボックス5鑑定5

   異世界言語(万能)

称号 リーナ・フィオーレに憑依している地球人。

   聖女。魂だけになっている。



 なんか出た! 焦っているせいか頭に入ってこない。リーナ・フィオーレに憑依している地球人で聖女? 落ち着いて私!





『美咲ちゃん、目の前にいるゾンビは敵だよ! このままだと殺されてゾンビにされてしまうよ!』


「マジで!? じゃ、じゃあ、どうすればいいの?!」


『スキルの中の「神聖魔法」を意識して! 「ターンアンデッド」を発動するんだよ!』




「わ、分かった! えーと神聖魔法のーーターンアンデッド!」




 ゾンビに向けて突き出した私の人差し指から飛び出した白い光の塊がゾンビに命中した!


 目の前にいる煌びやかな服を纏ったゾンビは淡く輝きながら、胸を掻きむしりながら苦しみだした。表情の変化は乏しいけど発言が忌々し気で怒気を含んでいる。しかし言葉が分からないから何を言っているのかは全然分からない!


 そ、そうだ! スキルに異世界言語ってある。これを使ってみよう。えいっ異世界言語(万能)起動!



「……おのれ貴様、何をしたのだ? 貴様にはそんな能力はなかったはず。しかも我のスキル『ゾンビ化』が効かなかった。貴様は誰だ? 我のーー第二王子の婚約者であるリーナ・フィオーレ公爵令嬢ではないな? 名を名乗るがいい」




 ひゃー! 言葉は分かるようになったけど剝き出しの悪意とか敵意って心に刺さる。しかも目が死んだお魚みたいに白濁していてどこを見ているのかも分からない。気持ち悪くて激しく吐き気を感じる!


 でも私の放った「ターンアンデット」が効き目があったことで若干の落ち着を取り戻すことができた。落ち着いて私! 大丈夫、なんとかなるかもしれない。頭の中の人に聞いてみようー



「頭の中の声の人? 次は何をすればいいの? あのゾンビに名を名乗ればいいの?」



『美咲ちゃん、自分の名前を教えてはダメだよ! アイツのステータスを見てごらん、スキル「鑑定」を使えば見れるから!』


「ええー、このゾンビ、鑑定すればいいのね、分かった、鑑定ーーそこのゾンビ!」



名前 死霊使い  

種族 ゾンビ 吸血鬼(男性) 

年齢 0歳(吸血鬼18歳)

体力 G

魔力 D

魔法 ー

身体強化 ー

スキル 闇魔法C 土魔法C 火魔法C 

   精神操作C 噛みつきC 飛行C 

   変身C 血液操作C 霧化C 

   怪力C 再生C 鑑定C 種まきC

死霊スキル ゾンビ化C ゾンビ修復C

   ゾンビ再生C ゾンビ強化C 

   ゾンビ支配C 

称号 エルトリア王国第二王子だったもの

   吸血鬼男爵 ゾンビ 死霊使い



 エルトリア王国第二王子だったものってー死霊使いで吸血鬼でゾンビって。何なのコイツ!



『コイツは死霊使い。人類の敵だよ! 死体を操ったりゾンビを無限に生み出したりする超危険生命体なんだ! 元はエルトリア王国第二王子だったけどゾンビにされて死霊使いにされてしまったんだ!』


「ええ、そうなの? ちょっと情報が多すぎて分かんない。それで、どうすればいいの? さっきのターンアンデッドはソコソコ効いてるみたいだけど致命傷っぽくないっていうか、コイツ、ターンアンデッドの攻撃を耐え切るのでは?」




 ゾンビな死霊使いの様子を伺うと「ターンアンデッド」による淡くて白い輝きは薄れてきていて怒りと憎しみに塗れた顔を私に向けている!




『次は神聖魔法の「ホーリーライト」を使うんだ! アンデッドに特効のある聖なる光を発するレベル5神聖魔法だよ! レベル1神聖魔法の「ターンアンデッド」とは桁違いの威力なんだ! 

ちなみに美咲ちゃんは聖女だから職業ボーナスによって神聖魔法レベル5はレベル6相当に強化されるよ!』


「ええー? だったら最初から『ホーリーライト』を使えば良かったんじゃー? とにかく分かったよ! 神聖魔法ーーホーリーライト!」




 私のコールに合わせて私を中心に聖なる光? が溢れだした!




 私の発動する「聖なる光」に照らされた自称第二王子ことゾンビな死霊使いは動きを止めると倒れこんで膝をついた。



「た……倒せたのかな?」



 巨大な応接テーブルのせいでゾンビが隠れて見えなくなってしまった。「ターンアンデッド」とは桁違いの威力の「ホーリーライト」を食らわせたんだから致命傷を与えたんじゃないだろうか?



 恐る恐る応接テーブルを回り込んでゾンビな死霊使いの様子を確認してみる。



 ゾンビな死霊使いは床に倒れ伏していた。

と、ゾンビだった顔が普通の10代後半の男性のものへとゆっくりと変化していった。



 ……いちおう鑑定してみよう。



名前 ステファノ・ギュルケ

種族 人(男性) 

年齢 18歳

体力 G

魔力 F

魔法 ー

身体強化 ー

称号 エルトリア王国第二王子

   すでに死んでいる



 エルトリア王国第二王子のステファノ・ギュルケって書いてある。死霊使いではなくなったらしい。死んでいるみたいだ。称号に既に死んでいるって書いてあるしアタシが殺害したわけじゃないよね……





『……大丈夫、第二王子は殺されてからゾンビ化されたんだから殺したのは死霊使いだよ。美咲ちゃんはゾンビを元の人間に還してあげたんだから第二王子は草葉の陰で喜んでると思うよ?

それより美咲ちゃん、このままここに居ては危険だよ? 急いで王宮を出て実家の公爵家に帰ろう。でも美咲ちゃんは第二王子ステファノ・ギュルケを殺害した容疑者になるだろうから公爵家を出奔しなきゃかもね?』



「公爵家を出奔? ええ? どゆこと? ちょっと説明してほしいんですけど。というか、さっきから頭の中でおしゃべりしているあなたって誰なの?」






次話 040 パラレルワールド

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