表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/99

037 交 渉


【268日目 東京時間9月1日(木)1930時頃 韓国ソウル時間 9月1日(木)1830時頃 韓国ソウル中心部高級ホテル4階のスイートルーム】



 吸血鬼伯爵アレクセイ・スミノフはパッチリと目を開けると、ひとしきり視線を動かしてコリンズさんとミラ軍曹を見た後、何も発言せず目を瞑った。


「アレクセイ・スミノフ。君は捕らえられた。理解できるね?」



 ……吸血鬼は目を瞑って黙っている。



「なんとか言いたまえ。命が惜しくないのかね?」



 ……吸血鬼は目を瞑ったまま黙っている……



『コリンズさん、コイツ黙秘するつもりだね、しかも鑑定持ってるからコリンズさん達のステータス見られてるかも』


『そうですか、迂闊でしたね。ではどうしたものか……』


『問答無用で拷問しようよコリンズ大将! 遠慮は要らないよ、アリスちゃんと茜ちゃんに夜襲をかけてきたような奴らだよ? 一人ずつ順番に手足を吹っ飛ばしていこうよ』




『……ミラ軍曹ちょっと待って……うっかりしてた、コイツを私の信者に出来るかもしれない。念のため試してみるよ。


 ーー神力多めでーー えーい! 亜神(時空)アリスの信者になれ!


……おお、ギリギリでアリスの信者になったようだ。さすがは最強の神様である時空神。吸血鬼でさえも私の信者に!』



名前 アレクセイ・スミノフ 

種族 吸血鬼(男性) 

年齢 2331  体力 G  魔力C

魔法 ー

身体強化 ー

スキル 闇魔法B 土魔法B 火魔法B 

   精神操作B 噛みつきB 飛行B 

   変身B 血液操作B 霧化B 

   怪力B 再生B 鑑定B 種まきB

称号 吸血鬼伯爵

   亜神(時空)アリスの信者(仮)



『でも、アリスの信者(仮)ってなってるよ? ソフィアちゃんの場合は(仮)は付いてなかった。何か違うのかな?』


『アタシの「鑑定」さんによると「強制されて一時的に信者になったけど時間が経つと正気を取り戻す」って表示される……いつ裏切るか分からない危険な状態だと思うよ?』


『……そうなんだ、ありがとう茜ちゃん。なんかギリギリで不安定な感じはしてたんだ。だったら急いでやる事やらせないと』



 コリンズさんが尋問を再開する。



「吸血鬼アレクセイ・スミノフ。 アリス様の命である。質問に答えなさい。少年を閉じ込めて監禁しただろう? どこにいる?」



「あ? うー。 ーー俺のスキル闇魔法で作り出した闇空間に落とし込んだ」


「では、その闇空間の出入り口を開放して少年が出てこれるようにしなさい」


「あー、うーん。 それはできない。公爵様の許可が必要だ」


「私が亜神アリスです。私の指示よりも公爵を優先するのですか?」



 私が直接指示してみることにした。ゆっくりしてられないから。



「公爵閣下の命令は絶対なのだー、アリス様といえども? できない」


「そこの吸血鬼ジョセフ・ゲオルゲは少年を閉じ込めた闇空間を解放できますか?」


「俺が作った闇空間は俺にしか開けないー」


『コリンズさん、困りました。どうしたらいいでしょうか』


『うーん、アレクセイ・スミノフに指示して公爵閣下とやらの許可を取らせるしかないでしょうか?』


『それしかないか……ミラ軍曹と茜ちゃん、どう思う?』


『うん、そうだね……でもこの吸血鬼伯爵は公爵と連絡取れるのかな?』


「吸血鬼アレクセイ・スミノフ。あなたは公爵閣下とやらと連絡をとって少年たち解放の許可をとれるのですか?」


「胸ポケットにスマートフォンが入っている……これで連絡は出来る……」


『なるほど。では慎重に 物質消去ー』



 物質創造の逆操作で物質を消滅させることが出来るのだが微妙に操作が難しくて時間もかかるから普段はあまりやらない。物質創造でものを造形するときに余分を削るときに使うくらいだ。今回は吸血鬼アレクセイ・スミノフの胸ポケットにアクセスするためにケブラー繊維を消滅させる。



 伯爵の胸ポッケにアクセスできるようになったのでコリンズさんにスマートフォンを取り出してもらった。



「吸血鬼アレクセイ・スミノフ私が公爵に電話する。操作方法を言いなさい」


「パスワードは310999だ。発信履歴に『公爵』ってあるだろう……そこにかけろ」



 言われたとおりに操作して発信されて事を確認して通話をスピーカーに設定する。



「ああ、公爵閣下ですか? 伯爵です」


「はい公爵だ。伯爵、どうした?


「亜神アリス一味に捕まってしまいました」


「……なにぃ? 捕まってしまっただと?」


「はい。それで闇空間にとらえた少年を解放しろと要求を受けています。解放していいですか?」




「なんだよ、お前、誰の味方なんだよ……言葉遣も悪いし……アリス一味と交渉は可能なのか?


「公爵閣下、アリス一味など不敬な物言いは控えて頂きたい。もちろん交渉は可能です。何を要求しますか?」


「ぬうう、貴様! 私に対する言葉遣いが……まあいい、少年二人の解放と引き換えに何をってことだな?」


「まあそうですね。で、何を要求しますか」




「……ならば、我々との相互不可侵。お互いに危害を加えないこと、これを要求する」




『コリンズさん。吸血鬼って人間ポイ感じで会話とか交渉と出来るんですね? ちょっと驚きなんですけど』


『アリス様、私も初めてなので分からないですけど異世界から来た連中ということですよね? 標準宇宙のスキルじゃないっておっしゃってましたから。異世界の知的生命体ってどうなんですか? 理性的で約束を守るってことあるんですかね? でないと交渉など成立しませんけど……』


『どうだろう? この吸血鬼たちの会話を聞くに人間みたいだよねー。不可侵って言っても受け入れられない内容だと困るし……もっと詳しい条件を語らせられないかな? 情報収集にもなるし』




「吸血公爵よ、私はアリス様の代理人だ。あなたの希望する相互不可侵の詳しい内容を説明してもらいたい」


「むっ、お前は誰だ? 名を名乗れ!」


「私はアリス軍団の大将である。それなりの側近であり裁量も持っている。あなたこそ公爵としか名乗っていない。お互い様だ」


「……いいだろう。では相互不可侵の条件だがこの国の北の国、その国からは我々は出ることなく攻撃もしないことを約束しよう」


「あなたたちは地球の人類でも異世界の人類でもなく異世界からやってきた吸血鬼だな? その国にも人類は居住している。地球人類に危害を加えるようなことは認めがたい。我々はあなた達の仲間の吸血鬼6名を捕らえている。このうちの一人と交換するのがバランスを取った落としどころというものだ」


「ふうむ。では6人全員を解放してもらいたい。であれば少年を解放しても良い。それから我々を一方的に敵視して討伐しないと約束してほしい」



 コリンズさんが私の方を見て意見を求めるので頷いて同意しておく。



「……いいだろう。地球人類の人権や生命財産を損なわないなら、そして良識ある隣人として共存できるなら約束してもいい。では闇空間を開けてくれ」


「分かった。伯爵、闇空間を開けてやれ」


「……了解。では闇空間よ開け!」



 部屋の床に直径2mほどの円形の穴が開く。茜ちゃんが念話で呼びかける。



『伊集院くーん! 助けに来たよ! 聞こえる? 聞こえたら返事して!』



 返事がない。ケガをしているんだろうか?



『アリスさん、伊集院君は意識がないようでした。何らかの攻撃によるものだと思います』


「吸血鬼伯爵、少年に何をした? 意識がなくなってるようなことをやったのか?」


『さっき精神操作によって意識を飛ばしたのだ。あと1時間くらいで回復して目を覚ますだろう』



 例のワシントンで襲撃されて警備員さん達がやられた攻撃か! ならば生命体干渉「治癒」で回復できるね。



 とか考えているうちにミラ軍曹が異空間開口部に飛び込んで伊集院君を抱え出してくれていた。さすが海兵隊軍曹です。では伊集院君にー生命体干渉「治癒」!



 伊集院君は無事に目を覚ました! いちおうステータスを確認して異常がないか確かめておく……大丈夫みたいだ、よかった。





 私は吸血鬼アレクセイ・スミノフの拘束を物質消去で解いてやって自由にしてやる。



「では吸血鬼アレクセイ・スミノフ。他の5人の吸血鬼たちを集めてくれ。目を覚まさせてあげるから」



 コリンズさんの指示に従って集められた吸血鬼(睡眠)達に生命体干渉「治癒」をかける。吸血鬼たち5人はたちまち目をさました。



「吸血鬼伯爵アレクセイ・スミノフ。我々は引き上げるけど先ほどの取り決めを守るように。守っていないということになると先ほどの約束はナシとなる。それからお前の連絡先。公爵の連絡先。電話番号とメールアドレスを教えなさい。明日に電話とメールを入れるから必ず電話に出るか返事をするように。音信不通になったら敵対したものと見做すからね?」



 吸血鬼伯爵アレクセイ・スミノフは電話番号とメールアドレスを書き記してコリンズさんに渡した。



「では君たちはいつまで韓国に居るんだ? 用が無いならさっさと北に引っ込みなさい……我々は君たちを監視しているからね?」



 ミラ軍曹が出口ドアを解放してコリンズさんを待つ間に御子柴君と伊集院君、そして私と茜ちゃんが部屋を出る。ミラ軍曹はM4カービン型個人携行神器を部屋の内部に向けて構えながらコリンズさんが部屋を出るのを待つ。全員が部屋を出たところで全員が隠密を発動、ホテルを出て在韓国アメリカ大使館に戻っていった。



次話 038 司 祭


面白かったらブックマーク、評価お願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ