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【完結】窓際編集とバカにされた俺が、双子JKと同居することになった  作者: 茨木野
第6章

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75話 あかりと映画館デート



 俺が王子と飲んでから、数日後。


 8月中旬。


 俺は、あかりとデートすることになった。


 なんでもバイト先の店長から、映画のただ券をもらったらしい。


 俺がいるのは川崎駅。

 近くのショッピングモールが、今日のデート先だ。


「おかりーん!」


 改札を出てきたのは、バッチリめかし込んだ、あかりだった。


 真っ白なブラウスに、ちょうがつくほどのミニスカート。


 すらりと伸びたおみ足はニーソックスで包まれている。


 長くふわふわした金髪を、サイドテールにまとめている。


「おまたせー!」

「ああ」


 しかし疑問がある。


「なんで、待ち合わせなんだ? 一緒の家に住んでるのに」


 先に行ってくれ、とあかりに言われて家を出たのだ。


「わからんかなー? 女子は準備に時間がかかるのです」


「ああ、そういう……」


「それに~。待ってる間も、デートでしょ♡」


 ぱちん、とあかりがウインクする。

 青い瞳はこの夏空のように美しい。


 ……改めて思うと、あかりは美人だよな。


 今日だって……。


「……なんだあの子ちょーびじん」「……すげえ。足長! 顔ちっさ!」「……あんな美人とデート……いいなぁ……」


 とまあ、周りの注目を浴びまくっている。

 俺みたいなのにはもったいないくらいの美人だ。


 ……だが、好意を持って接してもらっている相手に、卑屈になるのは、相手に失礼だしな。


「いくか」

「のんのん。おかりん、何か忘れてますよ? ん~?」


 あかりが期待のまなざしを向けてくる。


 こういうところは、子供っぽいんだよな。


「今日は一段ときれいだよ、あかり」

「ん~♡ 99点!」


 ぱぁっ! とあかりが笑顔になって、俺に言う。


「あと1点は?」

「女子から催促されて褒めたからなー」


 あかりが目を閉じて、つーんとそっぽを向く。

 

 まあただ怒ってるんじゃなくて、かまって欲しいんだろう。

 ちらちらと俺の反応を見ている。


「なるほど、そりゃあ申し訳ない」


 俺はあかりに手を伸ばす。


「次からは、もっと早く言うよ」

「ん♡ じゃあおまけで100点♡」


 きゅっ、とあかりが俺の手をつかむ。


「いこっか♡」

「そうだな」


 俺たちは手をつないでショッピングモールへと向かう。


 道行く女も男も、誰もがあかりのその美しさに振り返る。


 そして隣に男《おれ》がいるのを見ると、はぁ……と失望のため息をついていた。


 やっぱりあかりは綺麗だからな。

 目立つのは仕方ない。


「おかりんは、あかりちゃんがこーして注目されてるけれど、どう感じてる?」


「どう、とは?」


「うれしーとか、こうえいだーとか、俺の彼女きれいだろー! とか。そーゆーやつ」


 俺はしばし考える。

 うーん……。


「あの頃の悪ガキが、立派な大人のレディになったもんだなぁ、って時間の経過を感じてる」


「おっさんくさーい」


 けらけら、とあかりが笑う。

 子供扱いしてーと怒るかと思ったが、意外と上機嫌だ。


「だって~♡ 大人のレディって思ってくれてるってことだもーん♡ うれしいもーん♡」

 

 あかりが上品に、しかしうれしそうに笑う。

 最初子供としか思ってなかったのは、本当に申し訳ない、というか、どこに目をつけてるんだ俺って感じだった。


 こんなにも、あかりは綺麗で、大人じゃないか。


「見る目なかったな俺も」

「そりゃーみさえババア選んでる時点で、見る目なんてないでしょー」


「返す言葉もございません」

「にひー♡ まー次は幸せになれるよ♡ あたしがいるもん♡」


 あかりが立ち止まって、往来だというのに、ちゅっ……とついばむようなキスをしてきた。

 俺は戸惑い立ち止まってしまう。


「おまえ……人が見てるぞ……」

「ごっめーん♡」


 あかりがいたずらっ子のように目を細めて、ちろっと舌を出す。


「ささっ、映画いきましょー!」

「ああ」


 彼女の底抜けな明るい笑みは、俺の心をいやしてくれる。

 

 色んなことがあったし、今までも結構いろいろひどいこともあった。


 今も、状況は混迷としている。


 それでも俺は、今が一番、生きてて楽しい。

 それはあかりの功績が、間違いなくあると思う。


    ★


 俺たちはショッピングモール内で昼食を取った後、映画館へと向かう。


「はいおかりん、チケット」


「これがバイト先からもらったってやつか」


「そー。塩尻《しおじり》店長から!」


 いいバイト先のようでなによりだ。

 あかりが世話になってるし、今度顔出して挨拶に行かないとな。


 俺はあかりと一緒に飲み物を購入。


 時間になり、劇場内へと向かう。


 結構中は混んでいた。


「そういえば、アニメ映画でよかったのか?」


「うん。デジマス面白いし。恋愛映画いまやってないからねー」


 俺たちが見ることになったのは、デジマス。

 最強のラノベ作家、カミマツ先生が手がけたラノベ原作の映画だ。


「めっちゃ長く放映してるよね、この映画」

「そんだけ人気があるんだろう」

 

 俺たちは座席を探す。


 と、そのときだった。


「$<`”{%”L$"」

「え? なに……?」


 誰かが俺に話しかけてきた。


 振り返ると……。

 銀髪の、それは綺麗な女性がいた。


「%#MO……%#%`」

「え、っと……」


 たぶん、日本人じゃない。

 言葉の感じから、ロシア人だろうか。


「アノ、マセン。5番……ドコ?」

「おかりん。迷子になっちゃったんじゃないの、この人?」


 推定ロシア人美女が、こくこくとうなずく。


「5番……5番シアターですか?」


「ソ、デス」


 どうやら日本語を聞き取ることはできるらしい。


「あかり。この人案内してくるから。先に座っててくれ」


「え、あたしも行くよ。おかりんだけじゃ不安だし」


 ということで、俺はロシア美人とともに映画館を出る。


 ……しかし、美人だ。


 長い銀髪。銀色のまつげ。瞳。


 雪の精霊かと思うくらいの美人である。


「5番シアター……5番ってどっちだ……?」


「もー、おかりんこっちだよこっち」


「ああ、そっちか」


「んも~。あたしがいないとだめだめだなぁ~♡」


 えへへっ、と楽しそうに笑う。


 その様子をロシア美人さんがニコニコしながら見てる。


「比翼《ひよく》、デスネー」


「ひよく? おかりんなにそれ?」


 あかりが俺に問うてくる。


「まあ仲いいってことだよ」

「おおー、編集っぽい」

「編集だよ」


 くすくす、とロシア人美女が笑う。


「お似合い、カップル、デス」


「「いやぁ……」」


 俺たちは照れながら、彼女を5番シアターへと連れて行く。


「連れがいるんですか?」

「夫、イマス」


「旦那さんどこだろ?」


 キョロキョロと周囲を見渡すも、それらしき人物の影はない。


「席、座ッテマス。待ッテマス。ソノウチ、帰ッテクル」


「まあそうか」


 あかりがうなずくと、ロシア人美女がニコッと笑う。


「ドモ、アリガト。トテモ、感謝。アナタタチ、ヤサシイ」


 目を閉じて、ぺこりと頭を下げる。


「オシアワセに」


「ありがとうございます」「じゃあねー!」


 俺たちは美女と別れて、シアターへと戻ろうとした……そのときだ。


「うぉおお! ターニャぁ! ターニャぁああああああああ!」


 映画館内に……大男の声が響き渡る。


「わわっ、なんだなんだ?」


「……あれ? どっかで聞いたなこの声」


 声のする方を見てみると、巨大な大男がいた。


「すみません、ロシア人の女性を見なかったですかい!? 宇宙一美人なのが特徴なんですがっ!」


 その大男は誰かを探してるようで、道行く人たちに声をかける。


「ひぃ! ターミネーター!」

「こわっ! いこいこっ!」


 鬼気迫る表情だったからか、みんな逃げていく。


 ガクン……と肩を落とすその様に……。


 俺は、贄川《にえかわ》 一花の弟を重ねた。


「あ。二郎太《じろうた》さん……でしたっけ?」


 俺は一度、この人に会ったことがある。


 あれは軽井沢に行くとき。


 菜々子のチョビ(飼い犬)を、預かってもらうことになった。


 そのときに、一花の弟、二郎太《じろうた》氏にあったことがある。


「! あなたは……一花姉さんの、恋人さん」


「どうも。何かあったのですか?」


 二郎太氏は血相を変えて俺に尋ねてくる。


「実は妻が迷子になってしまいまして」

「妻?」


 あかりが言うと、二郎太氏はうなずく。


「背が高くて、銀髪で、この銀河で一番美しいあっしの妻なんですが」


「いや銀河一って」


 あかりがあきれる一方で、二郎太氏が大汗をかいて言う。


「いかんせんまだ日本語が上手くなくて、少し目を離したすきにいなくなってしまって……ああどうしよう!」


「落ち着いてください。たぶん、戻ってますよ」


「へ……?」


 銀髪で美人となると、さっきあったあの人だろう。


「おかりん、あたしちょっと呼んでくる」


 あかりがさっきのシアターへと向かい、そしてすぐ戻ってくる。


「アナタ?」


 あかりが連れてきたのは、さっきのロシア人美女だった。


「ターニャ!」


 どすどすどす、と二郎太氏が駆け寄っていく。


「良かった! 良かった! 心配したんですぜ!」


 ぎゅーっ、と次郎太氏がターニャさんをハグする。


「おまえが居なくなったと思ったらあっし……うぉおおお!」


 ターニャさんはぽんぽん、と二郎太氏の背中をたたく。


「アナタ。ウルサイ」

「え……?」


 やれやれ、とターニャさんがため息をつく。


「公共、場。大声。駄目」

「うう……でもなぁ……」


「マナー。違反。駄目」

「……そうですな。気をつけやす。お前がいなくなったと思ったら、冷静になれなくて、つい」


 二郎太氏が妻の抱擁を解く。


 ととと、と俺たちに近づいてきて、ターニャさんが頭を下げる。


「旦那。メーワク。かけました。ごめんなさい」


「あ、いや別に……」

「良かったですね、合流できて!」


 ええ、とターニャさんが微笑む。


 後ろで小さく肩をすぼめる次郎太氏。


「お二方、申し訳ありやせんでした。お騒がせして」


「いいえ」「奥さん大好きなんですねー♡」


 あかりが尋ねると、二郎太氏は何度もうなずく。


「そりゃあもちろん! どうです、二人とも? あっしの妻、太陽系1美人でしょう?」


 普段サングラスをかけてる二郎太氏。

 だが今日は外していた。


 意外とつぶらな瞳が、キラキラ輝いている。


「ゴメンナサイ。この人、チョット。妻バカ」


 ターニャさんがあきれながら言う。


「そんなっ! あっしは別に妻バカじゃありやせん! おまえがウルトラ美人なのは事実じゃありやせんか!」


「アナタ、またウルサイ。それに、めーわく。二人とも。デート。途中」


「うう……すいやせん……失礼しやした」

「ああ、いえ」


 ターニャさんが微笑むと、深々と頭を下げる。


「アリガト、デシタ」

「本当にありがとうございます。このお礼は、いずれ」


 ふたりは頭を下げると、俺たちに手を振ってさっていった。


 二郎太氏は、妻の手をしっかり握る。

 ターニャさんは握り返して、彼に寄り添う。


 そんな二人の様子を見て、あかりが、ぽつりという。


「ラブラブでしたなー」

「ああ、そうだな」


「うらやましい?」

「そりゃ……まあ」


 あかりがニコッと笑う。


「あたしたちも、あんな風な、いい夫婦になりたいね」


「ああ、そうだな……」


 俺たちはシアターへと向かうのだった。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 【 俺が王子と飲んでから、数日後。  8月中旬。  俺は、あかりとデートすることになった。  なんでもバイト先の店長から、映画のただ券をもらったらしい】 とあるが、貰ったときは店長は『…
[一言] おかりん「……てなことが映画館であってな」 一花  「いろんな意味で全員ズルい!」
[一言] 贄川家には革ジャンとサングラスが似合いそう。 新作も読ませていただきます! 更新頑張ってください。
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