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【完結】窓際編集とバカにされた俺が、双子JKと同居することになった  作者: 茨木野
第5章

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63話 菜々子とみどり湖と仲直りと



 ……わたしの名前は伊那(いな) 菜々子(ななこ)、です。


 高校2年生で、訳あって、妹のあかりと一緒に、せんせえ……岡谷(おかや)さんの家にご厄介になっています。


 その日、わたしは近所に、友達のチョビと一緒に散歩にいってました。


 かわいいチョビ、もふもふのわんちゃんです。


 旅行中、友達の知り合いにあずかっててもらいました。


 今日、その人の家に行って、チョビを迎えに行ってきたのです。


 元気元気なチョビは、さっそくお散歩に行きたかったみたいでした。


 そして、散歩から帰ってきて……夕方。


 わたしが鍵を開けて中に入ると……。


「……あれ? みどり湖(こ)、ちゃん?」


 せんせえの妹さんが、リビングのソファに座ってました。


「……どーも」

「……ど、どうも、です」


 ……みどり湖ちゃんはスマホをポケットにしまいます。


 ど、どうしたのでしょー。


 彼女とは、最近知り合いました。


 せんせえの妹さんということですが、あんまり似てません。


 ちょっとピリピリしてるといいますか……。


 でも、悪い子じゃないとは思うんです。


 せんせえの妹さんですし……。

 

 で、でも初対面には違いないので、き、きんちょーです……。


「……あのさ」

「ひゃいっ」


「……突っ立ってないで、座ったら?」

「そ、そうですね。失礼します」


 わたしはチョビを抱っこしたまま、みどり湖ちゃんの前に、座ります。


「……いや、なんでそこ座るの。別に普通にしていいし」


「え、あ、は、はい……」


 あれ? 今朝よりなんだか、怖くないです。


 朝はちょっとヤンキーといいますか、苦手なタイプかなーって思ってましたけど。


 わたしはみどり湖ちゃんの隣に座ります。


「「…………」」


 お互い無言です。

 うー……気まずいです。


 わたし、初対面の人と話すの、苦手なんだけどなぁ。


 あかりは、わたしのことこみゅしょーって言います。ひどい……。


「……あのさ」

「な、んでしょー?」


 みどり湖ちゃんがじろっとにらみつけます。


 ひぃい。


「……いちいちびびんなし」

「ご、ごめんなひゃい……」


 妹ちゃん、眼光鋭すぎです。

 もーきんるいみたいです。くえー。


「で、な、なんでしょー?」


「…………」


 すっ、とみどり湖ちゃんが手を伸ばしてきます。


 け、ケンカですかっ?

 そんなっ! わたしたちのことが、そんなに目障りだったの!?


 ちょ、チョビ~。たしゅけて~!


「あんあん♡」


 ああだめだっ、チョビはいつも通り吠えてます。くぬ、可愛いペットめっ。


「……あのさ」

「はひ……」


「……その子、触らせて?」

「は……………………ひ?」


 今、なんと?


「……だからその、あんたが今胸に抱いてる犬、触らせてくんない?」


 頬を赤く染め、みどり湖ちゃんが言います。


 聞き間違えじゃないのなら、チョビを触りたいといってきました。


 ぴん、と来ました。

 わかりましたよ、明智くん。


 この子……犬好きです!


 なんという名推理です。

 わたし将来は探偵になるのもいいかもです。 


「……ちょっと」

「あ、えっと、ど、どうぞ」


 わたしはチョビを手渡します。


「くーん……」


 チョビが悲しそうな目でわたしを見てます!


 安心してチョビ、君を売ったりしないよっ。


 貸したげるだけ、わかった?


 わかったわん、菜々子ちゃん!(裏声)


 わたしはチョビとの会話(一方通行)を終えて、みどり湖ちゃんにチョビを渡します。


「…………」


 わきわき、とみどり湖ちゃんは両手を伸ばす物の、チョビを抱っこしようとしません。


「もしかして……抱っこの仕方、わからないの?」


 かぁ……とみどり湖ちゃんが頬を赤くします。


「……べつに」


 といいつつも、受け取ろうとしない辺り、やっぱり抱っこの仕方がわからないみたいです。


 ぴん、と来ました。

 この子もまた……コミュ障なのだと!


 コミュ障同士は惹かれあうのです。

 陰の者がゆえにです!


「そんなに難しく考えなくて良いです。こう、ふわっと、ふわっと、です」


 わたしはチョビを抱っこして見せます。


 みどり湖ちゃんがわかりやすいように、位置を変えて。


 ふんふん、とみどり湖ちゃんはわたしの仕草を真面目に見ていました。


 ややあって、わたしはみどり湖ちゃんに相棒を渡します。


 くーん、菜々子ちゃん、離ればなれいやだよー(裏声)


 大丈夫さ、チョビくん、すぐにまたあえますっ!


 とまあ寸劇はさておきです。


「……か、かわええ」


 みどり湖ちゃんがチョビを抱っこしながら、頬を緩めます。


 えへへ、友達を可愛いって褒めてもらえて、うれしいです!


「……名前、なんてーの?」


「チョビです!」


「チョビって……たしか【デジマス】のヒロインの?」


「でじ、ます?」


 聞いたことないです。


「……あ、あんた現代日本に生きてて、デジマス知らないとかマジ?」


「あ、なんだかとっても流行ってるって、あかりがよく言ってます」


「……マジで見たことないんだ。すごい、天然記念物だ」


 会話している感じでは、みどり湖ちゃんに最初に抱いた、怖いイメージはありませんでした。


 普通の子……だなぁと。


「……じゃあなんでチョビって名前なの?」


「動物のお医者さんのチョビから取りました!」


「……ど? なんて?」


「えー! みどり湖ちゃん、動物のお医者さん知らないんですか!?」


 そんなばかな!

 あんなに面白い神漫画を、知らないだなんて!


「人生損してますよっ!」

「……お、おう……急にテンション高いな」


 これはゆゆしき事態です!

 動物のお医者さんを知らない人間なんて、いてはいかんとですよ!


「ちょっと待ってて! 漫画、取ってくるから!」


「……あ、ちょっと!」


 わたしは一旦自分の部屋へと戻ります。


 本棚にささってる、単行本を12冊、もってきます。


「これです! これがかの有名な動物のお医者さん、です!」


 ソファの上に単行本を積みます。


「……あ、漫画なんだ」


「はい! 文庫版も出てますし、そっちももってますが、どっちにしますっ?」


「……へ? いや、別に読むなんて一言もあーし言ってないけど……」


「だめです! 読んでください……人生を損しないために! さぁ!」


 わたしが第一巻をもって、ずいっ、とみどり湖ちゃんに向けます。


 少し引いた彼女でしたが、はぁ……とため息をつきます。


「……わかったし」


    ★


「ただいま~。お姉。あかりんが帰ってきたぞー」


 夜、あかりがバイト先から帰ってきました。


「……これメッチャ面白いねっ」

「でしょう! ね、ここのチョビが可愛いんです」


「……わかるっ」


 わたしたちはすっかり、動物のお医者さんトークで盛り上がってました。


 それくらいこれ、神漫画です。

 ほんとうにおすすめです!

 みんな……買おう!


「お姉……それと、あんたも。何してるわけ?」


 じろ、とあかりがみどり湖ちゃんをにらみつけます。


 朝の出来事から、妹はみどり湖ちゃんに良い印象を抱いてないのでしょう。


「……別に」


「何その態度っ」


 わたしは……妹の前に立って言います。


「あかりちゃん、落ち着いて」

「お姉……?」


 意外そうに目を丸くしたあと、あかりは首をかしげます。


「みどり湖ちゃん、ぶっきらぼうですが、悪い人じゃないです」


 ぽかん……とみどり湖ちゃんが口を開いてます。


「ど、どうしちゃったの、お姉。急に?」


「わたしとみどり湖ちゃんは、同じ漫画を愛する……同士ですから」


「ごめんちょっと何言ってるかわからない……」


 頭痛を堪えるようにあかりが額に触れます。


「頭痛いの? バファリンのみます?」


「いや、大丈夫だけど……」


 はぁ、とあかりがため息をつきます。


「…………」


 みどり湖ちゃんは、わたしと、そしてあかりを何度もチラチラ見てます。


 なんとなくですが、何か言いたいのかなって、思いました。


「なによ、あんた」

「あかりちゃん、め、です」


 わたしは妹の唇に、指をちょんと起きます。


「みどり湖ちゃん、何か言いたいみたいです」


 彼女は目を丸くしたあと、すっ、と立ち上がります。


 そして……。


「……ごめん」


 ぺこり、とわたしたちに、頭を下げてきました。


「……昨日と今朝は、その、ごめん。ちょっと……大人げなかった。ごめん」


 あかりは一瞬目を見開きます。

 そこには疑念が浮かんでるように思えました。


 双子だから、お姉ちゃんだから、わかるんです。


 あかりは……みどり湖ちゃんの真意を測りかねてるみたいです。


 だから、わたしはこうします。


「気にしてないですよ、ね、あかり」

「お、お姉……?」


 わかってます。あかりは、結構強情なところもありますし、心にわだかまりがあるって。


 怒ってる理由一番の理由は、みどり湖ちゃんが、わたしに、キャンディの棒をぶつけたからです。


 あかりは……優しいんです。


 わたしが、【あの人】に酷いことされたとき、いつも、庇ってくれてました。


 わたしはバカで、力もなくて、弱いから……。


 いつも、あかりがわたしを守ってくれます。


 優しい子なんです。だから、みどり湖ちゃんの態度が、許せなかったんです。たぶんそこに一番怒ってるんじゃないかなーって思います。


 でも……いいんです。

 わたしは気にしてないんです。


「お姉……でもこいつ……」

「誰だって、イライラするときくらい、あるでしょう?」


「そりゃ……まあ。そうだけど」

「それにあかり……今朝の態度、あかりもちょっと良くなかったよ」


「でもそれは……」

「わたしのためって、わかってる。でも……ね。仲良くしようよ、ふたりとも」


 わたしはあかりと、そしてみどり湖ちゃんを見ます。


「だって……ね? 同じ家に住むんですもの。仲良くがいいです。お家が明るいほうが、せんせえも喜びますよ。ね?」


 みどり湖ちゃんもあかりも、そして、わたしも。


 せんせえのことが大好きなのです。


 だから……せんせえに迷惑かけたくない。

 そこを共通してるから、仲良くできるって、思うんです。


「ほら、あかり?」


「……悪かったわよ、アタシも。大人げなかったわ」


 あかりがペコッと頭を下げます。


「わたしも、ごめんなさい」


 ぺこっ、と頭を下げる。


「ちょ、なんでお姉が謝るのさっ」

「……そ、そうだし。あんた悪くないじゃん……あ」


 あかりたちが顔を見合わせます。

 気まずそうに、目をそらし……がしがし、と髪の毛をかきます。


「わたしだって、みどり湖ちゃんが何にイライラしてるのか、わかってあげられませんでした。だから、ごめんなさいです」


「……ん」


 みどり湖ちゃんも、あかりからも、今朝のようなギスギスした感じがなくなりました。


 よかったよかった、みんな仲よくが一番です!


「……あーしも、ごめんね」

「ん……まあ、いいよ」


 ふたりが仲直りしてくれました!

 よかったよかった!


「ってか、あれ? おかりんは?」

「……ちょっと席外してもらってるし」


「あ、そーゆーこと……」


 あかりは何かを察したようでした。

 でも、わたしにはなんのこっちゃです。


 チョビ、わかります?


 足下に居たチョビが見上げてきます。


 わからないや、菜々子ちゃん、きりっ(裏声)


 ですよねー。


「……もう用事すんだし、お兄にLINEするわ」


 と、そのときでした。


 ぽこんっ♪


 わたしのスマホにLINEの通知がアリマした。


「アタシんとこにもだ」

「……あーしにも。お兄からだ」


 わたしがLINEのアプリを立ち上げます。


【友達の家に、今日は泊まる】


「「……は?」」


「あ、そうなんだ~……って、どうしたの、ふたりとも?」


 あかりとみどり湖が、急にこ、怖い顔してます。


 どうしよー、チョビ~。こわいよ~。


 まかせな、ぼくを抱っこするんだ菜々子ちゃんっ(裏声)


 わたしはチョビを抱っこしてぎゅっとします。


「ふーん……泊まり。へえー……」

「……お兄。帰ったら、尋問するから」


「あ、それアタシも手伝うわ」

「……ん」


 な、なんだか不穏なワードが……!


 せ、せんせえ! 

 早く帰ってきてくださいー!

  

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― 新着の感想 ―
[一言] あらま強力な連合軍ができちゃった。おかりんは明日の太陽は拝めるのか? 帰宅と同時に「ギルティ」言い渡されそう(笑)
[一言] 問い質すでもなく追及する訳でもなく、尋問ですかもう有罪前提で言ってますやんw。 みどり湖はギリ誤魔化しきけるかもしれんが、あかりは無理やな生きて帰れるかな岡谷。
[一言] 動物のお医者さんですか、あの作品は好きで飼い犬にチョビと名前つけてました。同じ感性の人がいるんですね
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