【番外編】
【☆★おしらせ★☆】
あとがきに、
とても大切なお知らせが書いてあります。
最後まで読んでくださると嬉しいです。
その後、俺は自分の荷物を整理しようと段ボールに手を伸ばした。
だが、
「ああっ! 光彦様! いけません!」
すかさず、年配の使用人さんが血相を変えて飛んできた。
「そのような雑事は我々の仕事です! どうかお座りになっていてください!」
「いや、でも、自分の荷物くらい自分で……」
「滅相もございません! 主人の手を煩わせたとあっては、使用人としての沽券に関わります!」
使用人長さんに強引に段ボールを奪われ、俺は手持ち無沙汰に立ち尽くす。
食事の準備も、風呂の用意も、何から何まで至れり尽くせり。
自分でやろうとすると、逆に申し訳なさそうな顔をされてしまう。
「……はぁ」
俺がまたため息をつこうとすると、るしあが静かに近づいてきた。
俺の手を取り、優しく諭すように言う。
「仕事を取らないでやってくれ、おかや」
「るしあ」
「彼らはそれで飯を食っているのだ。お前が働けば働くほど、彼らの職務を奪うことになる。……ここでは、『何もしない』のが主人の仕事なのだよ」
「……しかしな」
理屈は分かる。
分かるが、染み付いた庶民根性が「働かざる者食うべからず」と叫んでいるのだ。
「……戸惑わせてすまない」
るしあが眉を下げ、申し訳なさそうに視線を落とした。
「私のワガママを聞いてもらって……ごめんな」
「いや、るしあが謝る必要なんてないが」
「うん……。でも、やっぱりおかやは、外で暮らした方が気楽でよかったかもしれん。お前は根っからの庶民だし、こんな窮屈な場所、息が詰まるだろう?」
るしあは、窓の外で庭の手入れをしている庭師を見つめながら、ポツリと漏らす。
「じぃじには、孫が私しかいないのだ。口うるさいが、寂しがり屋でな。私が側にいないと、すぐに弱ってしまう」
「ああ……なんとなく分かるよ」
「だから、側にいてやりたいと思った。だが、それにおかやを巻き込んでしまった。……すまない」
るしあの声が震えている。
彼女なりに、ずっと気にしていたのだ。
俺という人間を、この格式ばった開田の家に縛り付けてしまうことを。
俺は、るしあの肩を抱き寄せた。
「そんなことないさ」
俺は努めて明るく、そして力強く答える。
「俺は、ここでの生活に慣れてみせるよ。いや、慣れるどころか満喫してやる」
「おかや……?」
「だってそうだろ? 飯は美味いし、掃除も洗濯もやってもらえる。こんな王様みたいな生活、慣れちまえば楽で最高じゃないか」
「む……。お前、意外と図太いな」
「それに――」
俺はるしあの瞳を真っ直ぐに見つめた。
「多少の窮屈さなんて、無理でもなんでもない。お前と一緒に暮らすための『必要経費』だ」
「必要、経費……?」
「ああ。愛する奥さんと、生まれてくる子供の側にいられるなら、これくらいの苦労、お釣りが来るくらい安いもんだよ」
俺が笑って見せると、るしあは呆気にとられたように瞬きをし、やがて顔を真っ赤に染めた。
瞳が潤み、トロンとした甘い色が宿る。
「……っ、馬鹿者。口だけは達者になりおって」
「本心だ」
「……おかや」
るしあが背伸びをして、俺の首に腕を回してくる。
「愛しているぞ……」
吐息のような囁きと共に、柔らかい唇が重なった。
甘く、深い口付け。
使用人たちの気配も、広すぎる部屋の居心地の悪さも、この瞬間だけは全て消え失せた。
「んっ……ちゅ……」
何度も角度を変えて、唇を啄む。
これから始まる新生活。
色々と大変なことはあるだろうが、この愛おしい妻がいる限り、俺はどこでだって幸せになれる。
そう確信した瞬間だった。
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