172話 叱る
ナースのエロいコスプレをした一花が、病室に入ってきた。
しかし、こんな深夜に、彼女は何をしに来たというのだろう……。
「光彦君」
「はい」
一花は険しい表情をしてる。
「ごめんね」
「え?」
ばしっ! と一花が俺の頬を強めにぶった。……でも、手加減してくれてるのはわかった。
このパワー系美女が、本気で殴れば、俺なんて一発ノックアウトしていただろうから……。
「何一人で、危ないことしてるの!? 刺されるとか! 死んだらどうするのっ!?」
……一花が涙を流しながら、俺を叱ってくれる。
心配していたんだ、この人は。俺のこと、本気で。
だから……一人で勝手に、危ないことをしでかした、俺を叱ってるのである。
……本当に、優しい人だ。子供がいるまえじゃ、俺の大人としてのメンツを潰すと思ったから、こうして夜に一人で来てくれたんだ。
「お願いよ……もう……こんな危ないまねは、二度としないで……」
一花が俺に抱きついて涙を流してる。
……本当に、悪いことをしてしまった。
「すまん。もうしないよ」
「……ほんと?」
「ああ、誓って」
もう誰も、もう、二度と……悲しませないと。
「……よかった」
一花が俺の腕の中で、安堵の息をつく。そして……すりすり、と甘えてきた。
「光彦君……あのね、ごめんね。その……」
もじもじしてる一花。多分、俺に抱いて欲しいと思ってるのだろう。
俺は……そんな恥じらう一花に興奮を覚えてしまった。
「一花……」
「光彦君……」
……その日、俺たちはいつも以上に激しく求め合った。
障害を乗り越えたからか、俺が死にかけたからか。
とにかく、かなり盛り上がってしまい……。
結果、ナースに見つかり、しこたま怒られたのだった。まあ、しょうがないな……うん……。