171話 コスプレ
夜、俺は病室に一人いる。
コンコン、と病室がノックされる。
……夜だぞ? こんな時間に面会?
いや、医者かも知れない……。
『み、光彦君……あたしよ』
……一花?
がらり、と扉が開いて、入ってきたのは……。
「い、一花……? なんだその格好……?」
一花は、その、看護師の服を着ていた。
が、サイズがちょっとあっていないらしく、パツパツだった。
胸とか、尻とかが、凄い窮屈そうである。
「へ、変かな……?」
一花が顔を真っ赤にしてる。多分、自分で着たんじゃあないんだろう……多分。
「いや、変っていうか……無理矢理きせられたんだったら、別に脱いでもいいと覆うけど」
「変?」
やけにこだわるな……。
「おばさんが、こんなコスプレ、変じゃないかな……」
そこを気にしてるのか。というか、コスプレって……。
もしやだが、自分で望んできたのか?
「変じゃない」
「っ! 良かったぁ~……」
この感じからすると、やっぱり自分できたっぽいな。
「なんでコスプレ……?」
「夜、侵入するための変装……それと、その……み、光彦君に喜んでほしくて……」
「誰の入れ知恵?」
「三郎……」
あの人は……まったく……。
姉で遊んでるな。恐れ知らずだな。どんなしっぺ返しが来るかわかってるだろうに。