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167話 証拠



 岡谷が毅然とした態度で、禿男と相対してる。

 ……なんて頼れる人だろう。


 岡谷がきただけで、とても安心しきっている自分がいた。

 姉も同様に思ってるのが伝わってくる。


 ……やっぱりこの人の側にずっと居たい。


「だ、だがよぉお! 証拠……証拠あんのかよぉお!」


 禿男がそう叫ぶ。


「おれが動物虐待したっていう証拠はよぉ、どこにあるんだよぉ!」


 ……何を言ってるのだろうか、この男は。


「おれはちゃんと動物を檻の中に入れてかってるじゃあねえか! ちょっとその檻が狭いだけだ! これだけで虐待とは言えないよなぁ!?」


 ……何を言ってるのだろうか。

 檻にいれられた犬たちは全員が痩せ細っている。無駄吠えもしてる。


 どう考えても、虐待してるのは明らかだ。……が、確かに禿男が言うとおり、殴ったり蹴ったりと虐待してる姿を記録として残してるわけではない。


「動物虐待でうったえたところで、どうせ不起訴になるだけだぜぇ!? 証拠がねえんだからよぉ、証拠がよぉお!」


 岡谷が険しい表情をする。

 そう、確かに証拠がない。だが……あかりは立ち上がって、自分が持ってきたカバンを取り出す。


「確かに動物に虐待した証拠はない……けど! あんたがアタシらに虐待した証拠は、ここにある!」


 あかりが取り出したのはスマホだ。


「ここへ入る前に、録画しておいたの!」

「なっ、て、てめえ!」


 あかりはスマホを録画状態にしてカバンの中にいれておいたのだ。

 当然、殴られたときの音声データは残っている。


「動物虐待で訴えられないなら、児童虐待で訴えてやるよ! そうすれば、余罪がずるずると芋づる式でバレるでしょ?」


 そうすれば、この不幸な犬たちもこの禿男から解放される。

 ……そしてこの男がいなくなれば、もう自分たちを過去に縛り付ける鎖もなくなる。


「あんたは終わりよ、禿男……!」

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