160話 過去
【☆★おしらせ★☆】
あとがきに、
とても大切なお知らせが書いてあります。
最後まで読んでくださると嬉しいです。
あかりたちは松本駅から電車に乗り、北上。
安曇野市内にある駅へとやってきた。
「……寒いね、相変わらず」
「うん……」
あかりは姉の手をぎゅっと握りしめる。
やっぱり、手は冷たかった。
周りを見やる。
今時、無人駅の改札。周りには田んぼしかない。そして遠くには山が連なって見える。
山と田んぼしかない、寒々しい景色を前に、あかりはため息をつく。
「あんまり、きたくなかったな……」
「…………うん」
あかりたちは二人並んで歩き出す。
そして、実家を目指す。
ここから実家は徒歩で1時間くらいかかる。
都会であれば、バスやタクシーを使って移動できる。
なんだったら、電車でどこへでも行ける。
だがここは違う。基本的に移動は車だ。
電車やバスを使っての移動は、基本的に想定されていない。
だから電車、バスの本数は極端に少ないのだ。
……車を持たない若者は、自転車か徒歩で移動するしかないのである。
そしてあかりたちには自転車がないため、こうして徒歩で延々歩いて行くしかなかった。
「…………ほんと、不便だよね」
都会にも田舎にも住んでいたことのあるあかりだからこそ、ここの不便さがわかるのだ。
「…………」
あかりは家へ目指しながら、在りし日のことを思い出す。
伊那あかり、および菜々子は、長野県出身だ。
母親が長野の人だからだ。
あかりたちは小学校に上がる前まで長野で暮らしていた。
その後、母親は離婚し、再婚を機に都会に出る。
そこで岡谷とで会ったのだ。
しかしその後、母はまた離婚し、田舎に引っ越すことになった。
そして、母は長野で男を捕まえて……今に至る。
「…………」
あかりは母が嫌いだった。
男をとっかえひっかえするし、自分の都合で子供を連れて回るし。
都会と田舎を行ったり来たりしたせいで、あかりたちにはこっちでもあっちでも、友達らしい友達はできなかった。
「…………」
田舎を出て、岡谷のもとへ来て、あかりたちは本当に欲しかったモノを手に入れた。
楽しい暮らし、友達、そして……本当の家族。
あかりたちが切望していたものを、全部……岡谷のもとで手に入れた。
そして、この手につかんだモノを、決して離したくない。
ほどなくして、二人は実家の家の前までやってきた。
木造の平屋だ。あまり良い思い出が、ここにはない。
でも、立ち向かわないといけない。
この手に掴んだ幸せを、永遠のものにするために。
「いこ、お姉」
「…………うん」
【★大切なお知らせ】
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