155話 クレイじぃじ
……あかりたちの前に、るしあがやってきて、意味不明な発言をした。
「は、ハーレム……?」「法……?」
JKたちが首をかしげる。
るしあはこくんと真面目な顔でうなずく。
「じぃじが、やりやがったのだ。一夫多妻制度を、この日本に! 導入することを決定したのだ!」
……確かるしあの祖父は金持ちで、日本の裏のドンみたいなことを言っていたと、あかりは記憶している。
だが……。
「いや、るしあ。それはない」
さっきまで落ち込んでいたあかりだが、今は逆に冷静になっていた。
それくらい、るしあの言ってることが、荒唐無稽すぎたのだ。
「開田のおじいさんが、勝手に言ってるだけっしょ? ここ日本だよ。一夫多妻ってありえないでしょ……」
「これを見るがいい」
すっ、とるしあはスマホを取り出す。
そこには、YouTubeのライブ配信が移っていた。
【新総理 一夫多妻を正式導入】
「しん……?」「そーり……?」
そこに写っているのは、あかりの知る日本の総理大臣ではなかった。
るしあによく似た老人がたたずんでいる。
「これ……もしかして、るしあのおじいさん?」
「……ああ。ワタシの祖父だ。目を離した隙に……日本のトップになっていたのだ……」
……はい?
あかりはまたも耳を疑った。
「え? っとぉ……?」
「る、るーちゃん……? 今、おじいさんが日本の……トップって……?」
こくん、とるしあがうなずく。
「じぃじ……日本の総理大臣になってた」
「「な!? なんだってぇえええええええええええええええええ!?」」
あり得ない。日本の総理大臣が、そんな簡単に変わるものなのか……?
るしあは青ざめた顔で言う。
「じぃじに言ってしまったんだ……お願い、じぃじって……」
「それで日本のトップになって、法律まで変えちゃうわけ!?」
あかりは、改めて思う。
「く、クレイじぃじ……」