150話 甘い天国
あかりを抱いた翌朝。
俺はまず一花に連絡を入れた。ストーカーの事件は解決したこと。
あかりの不安を解消してやるために、彼女を抱いたこと。
……正直自分でも、何やってんだよって思ってしまうところは多い。
一花とともに、前に進む。そう決めたはずだったのに、結局俺はこの生ぬるい、甘い天国から抜け出せないでいた。
一花に、ふぬけた俺に、活を入れて欲しかった。
でも……一花から帰ってきたのは、『おつかれさま』という文字だけだ。
……一花はどう思ってるんだろう。
俺は着替えて、一花の様子を見に行くことにした。
彼女は高原氏のところにいるはずだ。
木曽川達のことで、開田高原氏には迷惑をかけてしまった。
そのお礼とお詫びもしなきゃいけなかったので、ちょうどいい。
「おかりん?」
裸身のあかりが眠たげなまなざしを向けながら言う。
「どっかいくの?」
……その青い瞳はすべてを見通してるようだった。
俺がどこへ行こうとしてるのかわかった上で、尋ねてきてるようであった。
「一花のとこいってくる」
「ん……そか。わかったよ。いってら~」
……一花、あかり。どちらも俺のことを求めてくれている。
俺を愛してくれている。でも俺はどっちの愛も選べないで居る。……不甲斐ない。本当に不甲斐ない。
「おかりん。ありがとう」
あかりがふにゃりと笑う。
「元気になれたよ。ありがと。大好き♡」
……このさとい子は、どこまでわかった上で、俺にそんなこと言ってくるんだろうな。
「どういたしまして。じゃあ、いってくる」
「うぃー」
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