139話 犯人
《???Side》
12月。
岡谷の様子を、遠くから見つめる女がいた。
女の手にはゴツいカメラが握られてる。
岡谷が自分のタワマンから出てくるところを、まず激写。
岡谷は伊那あかりを連れて歩いてる。
彼女がストーカーの被害にあってること、その護衛のために彼が一緒について登校してることも……知ってる。
「バカがぁ……」
にちゃあ……と笑う彼女は、後から岡谷の写真を撮りまくる。
全てはこのあと、彼を【ゆする】ための証拠集めた。
「けけ……バカが……」
「バカはあんただよ」
「な!?」
そこには、サングラスをかけた大男が立っていた。
「はーい、使えない方のターミネーターでーす」
贄川三郎がニヤリと笑う。
突然の大男の登場に、彼女は戸惑いながら……。
しかし、一目散に逃げ出す。
「はあ……はあ……はあ……」
ここで捕まるわけにはいかない。
彼女の計画が崩れてしまう。
曲がり角を曲がった先には……。
「きゃっ!」
どんっ! と何かにぶつかる。
彼女が見上げると、三郎が、そこにはいた……。
「ひ! え、エスパー!? 瞬間移動ぅ!?」
「あ、にーちゃーん、ナイスぅ~」
女を捕まえたのは、三郎の兄、次郎太だった。
「おれらの出番久しぶりじゃね?」
「それだけ、最近は治安が良くなっていたってことださぁ」
「そらそうか。おれらのかり出されるときって、こういうヤバいときだけだもんね~」
巨漢二人に挟まれ、彼女は観念したようにうなだれるのだった。
「さ、もう観念しなさいな。君ぃ」