138話 ストーカーの正体
あかりをストーキングする人物が現れた。
対応をどうするか考えてるところに現れたのは、開田高原氏。
高原氏はるしあの実の祖父だ。
るしあのことを溺愛してる。
「おひさしぶりです、高原様」
俺はるしあの祖父に頭を下げる。
暫定彼女、というあやふやな関係を孫と結んでいる。
本来なら、保護者である高原氏は、俺に対してあまり言い感情を抱いていないだろうと思うが……。
「おお! 光彦くん! 元気そうでなによりじゃあ……!」
高原氏は俺に対して、笑顔をむけてくる。そして俺の手を握り、ぶんぶんと上下する。
「それで、流子との赤ちゃんは、いつ生まれるのじゃ?」
「お爺さまあああああああああああああああああ!」
……るしあが顔を真っ赤にして、高原氏の頭を叩く。
そう、この老人は俺と孫との関係を容認してるどころか、むしろ喜んでいるところさえある。
どうにも、常人には理解できない感性を持っているようだ。
……もっとも、複数の若い女を囲っている俺も、他者から見れば同類扱いなのだろうけども。
「マタニティグッズを大量にかってあるぞ?」
「気持ち悪いですおじいさま!」
「おまえと光彦君との初夜の様子もバッチリ録画……」
「このへんたいぃいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!」
……ややあって。
「話は聞かされてもらったぞ」
「何も言ってないんですが……」
るしあは完全にきれ、他の女子たちは、ドン引きしていた。
それはそうだ、俺たちの会話を、この老人は盗み聞きしていたということなのだから。
「既に犯人【ら】の特定は済んでおる」
「……ちょっと待ってください」
いま、気になることを、この老人は言っていたぞ。
犯人らと。
「時に光彦君。自分もストーキングされていたことに、気づいてなかったのかな?」
「なっ!?」
お、俺にもストーカーがついていたのか?
「うむ。彼奴らはおぬしに縁のあるものたちだ。過去の亡霊……といえばいいか」
「俺の知り合い……なんですか? ストーカー達は」
「うむ、そうじゃ……」
そういって、高原氏はストーカー達の名前を言う。
俺は……思わず天を仰いだ。
「あいつら……」
「ま、処遇はわしに任せるのじゃ」
警察は動いてくれないだろう。
かといってほっておけば、あかりや、他の女子たちにも被害が及ぶ。
……ここは、この老人に頼るほかないか。
「お願いします」