114話 緊張するあかり
JK姉菜々子のつきそいで、北海道に来ている。
嫉妬したあかりが妹のみどり湖、担当作家のるしあを連れて、北海道へとやってきた。
開田高原氏の用意したスウィートルームに泊まっている俺たち。
とつもなく豪華な食事をして、ひとっ風呂浴びた後。
「さ、おかりん♡ えっちしよーぜ♡」
JK妹あかりが、そんなことを突然言う。
ものすごい屈託のない笑顔だ。
この子の情操教育に不安がつのる。
俺はあかりの綺麗な金髪に、ちょん、とチョップする。
「何言ってんだおまえ」
「だってだってだって! るしあとも一花さんともやったんでしょ!」
俺は複数人の女性と恋人関係を持っている。
それは世間一般からすれば、異常なことだとは承知している。
だが全員が納得してるし、俺自身も、彼女たちから元気や、癒やしをもらっていて、離れられないと思っている。
駄目だとは思っていても、関係を拒むことはできなかった。が……。
「それとも、アタシとじゃ……や?」
「…………」
俺はあかりの肩をつかむ。
彼女がびくんっ、とこわばらせる。
「な、なに?」
「おまえ……こんなに緊張してるじゃないか」
あかりが生娘のように、顔を真っ赤にして、体を震わせていた。
「き、緊張なんてし、して、ないし~?」
目を泳がせるあかり。みどり湖があきれたようにため息をつく。
「いやめっちゃ、びびってんじゃん」
「び、びびってねーよ! あかりちゃんはほら、ひゃ、百戦錬磨だし!」
そういや、この子は昔から強がりなとこあったからな。
大丈夫だって口で入ってても、実は……ってことが、塾講師時代何度もあった。
「あかり」
「な、なに?」
「俺の目を見てみ?」
俺はあかりの青い瞳をじっとのぞく。
一秒もしないうちに、顔を真っ赤にして、さっと目をそらした。
「……緊張してるじゃないか」
「だ、だ、だって! だって……しょうがないじゃん……好きなんだもん、おかりんのこと、だいすきなんだもんっ! だから……失敗したくないって……だから……」
あかりは消え入りそうな声音で、そういうのだった。