109話 偶然? 必然
俺たちは札幌のホテルに来ている。
……しかしホテルはほぼ無人で、支配人が頭をペコペコしていた。
そこに加えて……JK妹あかり、担当作家るしあ、そして妹のみどり湖まで来ていた。
「おまえら……何してるんだ?」
「う、うむ。あかりがな、おかやが心配だといって聞かなくってなっ」
白髪美少女のるしあが、目を泳がせながら言う。
隣にたつ金髪美少女あかりが、慌てて首を振るった。
「ち、ちち、ちがうし~? るしあが、おかりんとお姉が二人きりでいちゃつくのがいやだっていうから、だし~?」
……大方の事情は把握した。
つまり、ふたりとも俺が菜々子と二人きりになるのがいやだったのだろう。嫉妬だ。
可愛い奴らだな、まったく。
「……アホが二名」
「「なんだとっ?」」
長い髪をポニテにしてる俺の妹みどり湖が、あきれたようにため息をつく。
一歩引いた立ち位置だが、俺にはなんとなくこの子がここに居る理由がわかった。
「おまえまで心配だったのか?」
「……は、はぁ!? ち、ちがうしっ! 別に……ちがうし……」
……全員そろいもそろって、ヤキモチ焼いていたわけか。
まったく、可愛いな。
菜々子は特に、妹たちが着たことにたいして嫌がってないようだ。
むしろ、喜んでいるというか。
「……あかりちゃんたち、どうやってきたの?」
「そこのお嬢様のプライベートジェットでひとっ飛び」
「……わぁ! るしあちゃんすごい!」
るしあが苦虫をかみしめたような顔になる。
この子はあまり、自分の権力を使うことを好きじゃないと思ってるのだ。
ということはつまり……。
「このホテルも、高原様が?」
「……うむ。おかやのところへいくといったら、じぃじのやつが……」
……だからか。ホテルの人がやたら恐縮していたのは。
しかし……プライベートジェットをぽんと用意し、ホテルまでぽんと用意するなんて……。
もしかしてあの高原様って……かなりの、孫馬鹿?