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忘れた記憶  作者: Bros
0-1 出会い
9/17

08 旅路

遅くなりました!8話です!

「なぁテラール、トゥービックネイションってどの向きか分かるか?」


テラールを見つけるのに大きな回り道をしたらしい。今は完全に迷子だ。


「はい!この岩場を抜ければすぐだと思いますよ!」


「じゃあまずはこの岩場を抜けようか」


「んじゃ、俺が先にっと!」


すごいスピードでクルトが岩場を駆け上がっていく。

さすが獣人だ。


「あ………置いてかれ…………ちゃったね…………」


フィムロがそう笑いながら隣をみるが、そこにテラールはいない。


フィムロが岩場の方をみるとテラールがクルトと一緒にいる。


「いつのまに……………仕方………ない」


フィムロは剣を取り出し、グルグルと回し始めた。すると風が剣の周りを覆い始めた。


「─ウインド─」

フィムロはそう言うと、フィムロの体が浮き上がり、岩場までひとっ飛びで昇る。


「す、すごいですね!!フィムロ様っ!!」


「お〜さっすが〜」


感心したようにパチパチ手を叩くテラールと若干諦観の念がこもった視線を向けてくるクルトにフィムロは苦笑する。


「………とりあえず進もっか」


ようやく岩場を乗り越えたフィムロ達はまた歩き始めた。


その夜─


「このスープおいしいですね!!」


「ヤクルっていうスープなんだ………クルトは………何度も火傷してるんだよ」


「うるさいせぇ!もう火傷なんてしねぇよ!」


「テラール……くれぐれも火傷しないように……」


「あっつ〜い!!」


「…………遅かった」


「あっつぁぁああ!!!」


「クルト……?」


忙しい食事を終え、フィムロ達は各々の時間を過ごし、寝床に付く時間になった。


「ねぇ、フィムロさん?」


「………なんだいクルトさん?」


「何でこいつ(テラール)が俺たちのテントにいるんだ?」


「…………………ごめん……僕も分からない」


そうテラールはフィムロと同じテントに居て、しかもべっっっったりくっついているのだ


「フィムロ様と共にっ!」


「それはもう聞いた!!」


「何度だって言って見せます…………フィムロ様と共に!」


「わざわざ言い直すな!」


仲が良いのか悪いのか、2人は寝るまで言い合っていた。


その日の深夜、フィムロはテントから出て、夜空を眺めていた。


「……………」


何もせず、ただただ空を見ていた。


爽やかな風が湖畔から吹いてフィムロの頬を優しく撫でる。


「…………」


フィムロは基本的に表情筋が仕事をしない。

それゆえに独りでいるときは特にその表情を伺うのが難しい。


フィムロは胸の位置にあるペンダントに手を伸ばし、握る。

ペンダントは固く閉ざされていて開く様子はない。


「僕は…………何処へ………向かうんだろう………」


フィムロの静かな独り言が湖畔に溶けて消えていった。

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