00 荒野での出会い
新作です!
更新頻度は恐らく低いと思いますが、よろしくお願いします!
一人の少年が荒野を歩く。
年は12~14歳ほどだろうか
砂避けのフードのせいで、
顔を見ることは出来ない。
その足に迷いはなく、何かを目指して真っ直ぐ歩いている。
「これ以上進むのは危険か………」
そう呟くと木でテントを張り始める。
背負っている袋から紐と棒を何本か取り出すとそれを組み立てていく。
テントを張り終わった少年。
ふいに気配を感じ、少年は振り返った。
だが、そこには誰もいない。
(………気のせいか?……いや、明らかに今何か動いたはず……)
この世界には大きく分けて二つの種族がある。
一つは物質体、一つは精神体である。
そして、それらが闇に染まると魔族と呼ばれる強力な生命体が生まれる。
彼らは人間と敵対する傾向にあるので、少年が警戒するのは当然だった。
魔族は元の状態より強くなって現れる。並の人間では殺されてしまうのである。
少年は確かに動いたであろう場所に持っていた棒を投げてみた。
ゴンッと鈍い音がした。どうやら、何かがいたのはあっていたらしい。
少年が近くへ行くと何かが震えていた。
「これは...」
少年の棒が当たった何かしらのもの、それは獣人のようだった。
「君は一体...?」
「痛ってぇな!!何しやがる!!」
「え?あっ、ごめん……」
「ったくよぉ肉を狩りに来たってのに何でこんな目に……」
そう愚痴る男の獣人は虎のような特徴を持っていた。
真っ赤な目に黄色いメッシュの入った茶色の髪の毛。
かなり鍛えられたであろう肉体が、その獣人の存在感を強めている。
「てか暑っちいなぁ…溶けちまいそうだ...なんで俺がこんな所に...」
「よかったらこれあげるよ」
少年はそう言って水の入ったボトルを獣人に渡した。
「お、おぉ、ありがたくいただくわ」
(てっきり悪いやつかと思っていたが、意外と優しいな...)
「君、名前は?」少年は聞く。
「俺の名前はクルト。見ての通り獣人さ。」
「ってか人に名乗らせたならお前も名乗れよな!!」
「げ、元気だね………。僕の名前は……確か……フィムロ.....……フィムロ・リッターだった……はず……」
「はずって…まぁ良い、よろしくなフィムロ!!」
「………?」
「ん....?な、なぁフィムロ、なんか...揺れてないか?」
「確かに...気のせいじゃなさそうだね…」
大きな音を立てて岩が動いた。
そこから大きな岩の巨人が這い出てくる。
「こ、こいつはグラウンドゴーレムじゃねぇか!!」
クルトの絶叫にも似た声が荒野に響いた。
コメント、評価を頂けると幸いです