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7# 皇太后を犠牲に受肉。

「僕ね、実は聖女ディアナンネ様の御子なんだ…」


「あら…そうなの…。」


ロージアは、私が一人で中庭のベンチに座って皇帝のテーブルからくすねて来たブドウを頬張っている時に現れやがった。


転移魔法かしら?

どうでもいいが、ハムスターみたいに両頬が膨らんでる時にいきなり来るな!

多分、私が他の少女達と居ないのを見計らって来たのよね?うぜぇなコイツ。


「……驚かないんだね」


ロージアはベンチの隣に座り、ブドウを一粒口に含む。

おい、それは私のブドウだ!


「なぜ驚くの?神の子だとか聖女の生まれ変わりだとか、祭り上げられていたり自称だったり、どちらにせよ、よく聞く話じゃないの。わたくしだって月の女神よ?それとも驚いて欲しかったのは、急に現れた事の方?」


そして、言わないけど…何でお前が私の御子になるんだよ。


「転移魔法は知ってるんだ?…月の女神ね…君の素敵な妄想もいいけど…僕ね、この国の皇帝の弟なんだよ?って、それは聞いてるよね」


返事をするのが面倒くさいので、ブドウを頬張りながら頷く。


「僕は、この国の皇子であり、ディアナンネ様の御意志によって、この世に生まれた聖女の御子なんだよ…僕の産みの母である皇太后の慈悲を与えられ受肉した…。」


「へー…それは、お疲れ様でした」


興味無さげに呟く。僕自慢かよ。


私の意志だと?貴様のような息子を欲した事など一度も無いんだけど。



先日、アゴーンの胸ぐらを掴んだ後にアゴーンと側近ジジイから聞いた。


皇太后であるアゴーン皇帝の母は五年前、日課の散歩中に行方不明になった。


五十路を越えた彼女は健康の為だと、彼女の為に造られた別荘の回りの林を散策するのが好きだった。

護衛もおり、侍女も居て、街から離れた自然の多い場所で穏やかに毎日を過ごしていた彼女が行方不明になり、護衛や侍女が遺体で見付かった。


皇帝に恨みを持つ者の仕業かと思われたが、行方不明から三日目に彼女は見付かった。


臨月のような腹部を抱えて。


発見から三日目、彼女は子を産んだ。

その命と引き換えに。


生まれた赤子は、金色の髪を持つ美しい子供だった。

皇太后がバラの咲く場所で見付かった事からロージアと名付けられた少年は、1ヶ月で今の姿になった。


起こった事だけを語ればそうなのだが、だから何者かと言えば分からない、が答えとなる。


人間ではない。だけど、何者か分からないと。




「皇子であり、聖女ディアナンネ様の御子…僕の事、気にならない…?」


ロージアは手をのばし、私の髪に触れようとする。

あーうぜぇ…。

身体を引いて避けながら、質問を投げ掛けてみる。


「ロージアのお母様は、どうしているの?皇太后なのよね?」


「もう!ちゃんと聞いてる?だから、僕に慈悲を与えて死んだよ?」


皇太后が亡くなっている事を知っていて聞いてみたのだが、悪怯れる様子もなく当たり前のように無邪気に話すロージアにムカついた。


気が付くと、思い切りロージアの頬をはたいていた。


ベンチの下に落ち、地面に尻をついて私を見上げるロージアは、涙目でワナワナと震えている。


「な、何で…?ナニこれ、痛い…」


「何で?あんたがクソガキだからよ。誰のお陰で生まれて、そこに居て、ブドウ食えてると思ってんだ。皇太后の犠牲を嬉しそうに語るんじゃない!」


地面に尻をついたままのロージアを置いたまま、私は中庭から城に戻った。


「………ブドウ…置いて来た……」


中庭に取りに戻ってロージアの顔を見たら、今度は絶対右ストレートかましてしまう。

だからブドウは諦めよう…。



しかし、アイツ…何者?

本物の神である師匠…おとんや、神の御子である夫のレオンハルトと違う…。

永く旅をしてきて、魔獣や魔物も多く見て来たが…。

瘴気から生まれた魔物……と、何か違う…。


あー分からないのもウゼェ!

ムカつくなロージア!







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