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魔王を想う星空、ご満悦なテカる太陽、やつれた白い月。

スティーヴンが帰った後の森の付近、夜営場所。


ディアーナとレオンハルト、ライアンが黙々と芋を食べていた。


何だか色々気まずくて、誰も言葉を発せない。


「……ディアーナ姉ちゃん、レオンハルト兄ちゃん……俺、ロージアと結婚するのは諦める。でも、ロージアの側に居たい…そんな理由でも、俺を鍛えてくれる?」


最初に口を開いたライアンに、寒々とした場が僅かに和んだ気がしたディアーナが、ありがたいとばかりに何度も頷いた。


「ええ、ええ!それでいいのよ!大丈夫、ライアンは……」


慢心するのではと本人には伝えてなかったが、ライアンはかなり強い。

剣の腕もそれなりに強いので、今の彼ならば「僕は王子です」なんて看板を下げて一人で歩いていても、誰もさらう事なんて無理だろう。

そんなライアンは剣の腕だけでなく魔力も強い。

しかも本人は無自覚で強い。


ただ、いまだに分からないのが魔物や魔獣を倒す時に剣を纏う魔力。


初めて見た時は「変態夫婦がぁ!」と言いながらタコを倒す剣に纏わせた魔法。


ピンクだった。なんだピンクな魔法。


レオンハルトの魔法は、高温の焔を纏わせる事が多く、剣は青白く輝く。あとは、雷や氷。

ま、雷は黄色だの氷は白だの、普通の火だったら赤やオレンジだの。

分かりやすい。普通はそうらしい。


ちなみにジャンセンは存在自体が魔力の塊つーか神なので、無属性ゆえか、無色透明。

ジャンセンの魔力が付与されたディアーナのナイフも見た目はただのナイフだ。

見えないだけで、強い魔力がだだ漏れしているが。


しかし、なんだピンクを纏わせる魔法。エロ魔法か?

そんなワケ無いか……。


「……ライアンは……前より、強くなったわよ。」


「そうでもないよ…俺、レオンハルト兄ちゃんに勝てた事が無いもん…。」


落ち込むライアンを見て、ディアーナとレオンハルトが口から芋を噴き出す。


当たり前だ、この世界でレオンハルトに敵う人間なんて存在しない。

そこは理解していないのだろうか。


「まあ、あと3年位かな…ライアンが15歳になる頃には一人前の剣士になっていて貰うわ。あと…ロージアは、姿は女の子だけど…心は半分、少年なの。その辺、分かっといてくれると嬉しいわね。」


レオンハルトが、どの口がそれを言う?的な目でディアーナを見ている。


心は少年でも、そこにあるモノは愛でる!!エエもんは、とりあえず触る!

なディアーナはレオンハルトの視線をスルーした。


「わかった。」


ライアンが頷く。何だか、沈黙の続く空間が息苦しかったのを、ライアンが最初に言葉を発してくれたお陰で場の雰囲気がうまくまとまった気がしたディアーナは満足げに腰に手を当て何度も頷く。


「うんうん!分かれば良し!」


「ライアンの問題が片付いたなら、じゃあ、次は俺な。」


言った瞬間、レオンハルトがディアーナを肩に担ぎ上げる。


「ライアン、朝まで帰らないから火の始末は頼む。」


肩に担ぎ上げられたディアーナは硬直状態で言葉を発せない。

ライアンに背を向け歩き出したレオンハルトの肩の上で、固まったままのディアーナはライアンと目が合った。


「ちょ、ちょっと!!ライアン!黙って見てないで助けてよ!!」


焚き火の前で黙々と芋を食うライアンに無視される。

もう、八つ当たりの剣の稽古は勘弁して欲しいライアンは、ケダモノなモードのレオンハルトには逆らわない事に決めた。


「さあ、ディアーナ!宿屋に行こう!大丈夫だ、今夜は俺だから!」


「い、今、オフィーリアでないから大丈夫とか、そんな問題じゃないわよ!ライアンの今後について話したり…ロージアについて話したり…色々!大事な話をしましょうよ!世界の平和についてとか!」


「無理!!」


笑顔でキッパリ言い切ったレオンハルトは、ディアーナを担ぎ上げたまま転移魔法を使った。


二人が居なくなった空間を見て、芋を食べ終わったライアンが火の後片付けを始める。


「俺も…ロージアと、あの二人みたいに旅をしたいな…。」


火が消えると光源は月の明かりだけとなる。

今夜の月は遠く高く細く、光が小さい為に辺りは暗闇に近い。

それゆえに、普段は月の光に負けそうな小さな物も含め、無数の星が輝く。


「ロージアと…二人で見れたらいいな…こんな星空を。」


淡く幼い恋心は純粋で美しい。


燃えるように激しい情愛も、見ようによっては、美しい。


朝日が昇り、空の月は白く霞む。

窓辺に佇む金の髪の美しい青年は、ほどいた長い髪を身体に纏わせ、汗ばんだ身体に薄いシャツを羽織って窓を開けると、翡翠色の美しい瞳を細めた。


「ご覧、ディアーナ…朝日がキレイだよ。」


太陽の化身とも呼ばれる事のあるレオンハルトは、彫刻のように均整の取れた美しい身体に朝日を浴び、光を纏うように輝く。


月の女神と呼ばれる妻のディアーナは、空の白く霞む細い月のようにベッドの上で細く真っ白になっていた。


「……レオン……私……一睡も…してないんだけど……」


ディアーナはキラキラ輝く……いやもう、テラッテラにテカるレオンハルトに、死人のような目を向ける。


「…朝までノンストップとか……勘弁して下さい…死ぬ…」



昨夜、転移魔法で宿屋の前に飛んだレオンハルトは、即部屋を取り、即ベッドにディアーナを下ろし、ディアーナが逃げる間を与えず即、事を始めてしまった。


「オフィーリアになっていたから、魔力を回復させないと!」


「今のレオンが、幻覚魔法ごときで魔力が無くなったりするワケ無いでしょ!!」


「俺の傷を癒せるのは、ディアだけだからな!今、すごく傷ついてるんだ、心が!ハァトが」


「ハァトって何だ!!ハァトって!……んッ!」


レオンハルトの唇が、ディアーナの言葉を遮るように重ねられた。


その後の記憶は曖昧で……よく覚えてない。

アニマルでケダモノが居た……位しか……。



そのアニマルでケダモノがオフィーリアの姿をしていたりなんかしたら……。



きっと、理解の範疇を越え過ぎて処理しきれなくなった脳が機能を停止し、私は廃人になってしまうだろう……。恐ろしい……。



「さあ、ディアーナ…ライアンの所に戻ろうか…」


「動けません…立ち上がれません…どうしてくれるんですか…」


「俺が抱き上げて行くから大丈夫だよ!」


馬鹿みたいにご機嫌のレオンハルトに無性に腹が立つ。

愛するレオンハルトと愛し合うのが嫌なワケではない。


ケダモノモードの時は、少しは加減しろよ!

こっちが死ぬわ!


グッタリしたままのディアーナを抱き上げ、レオンハルトは宿を後にした。













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