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魔王と微成長中のアホの子。

「アイツ…どうしてるんだろう…」


白い白い空間が何処までも広がる創造神界で、ロージアはちゃぶ台の上に両肘をついて頬杖をつきながらポツリと呟いた。


「あら…アイツって、あのライアンとかいう少年の事でしょう?気になりますの?」


水色の美しい長い髪に、水色の美しい瞳。

ディアーナの夫、レオンハルト命名の豊満我が儘ボディを持つロージアのお世話係、ウィリアが微笑む。


ロージアは、ウィリアのせり出した大きな胸に思わず目が行く。


「いつ見ても立派なソレ…ディアーナはよく、無視出来るよね」


自分でも何を聞いてるのかと、ロージアは赤くなって手の平で顔を押さえた。


「無視?されませんでしたわよ…夫より先に、ディアーナ様はわたくしの胸を、色々堪能されましたわ。」


思いもよらぬ…いや、逆に予想通りの答えに、ロージアは脱力してちゃぶ台に突っ伏した。


「…変態だとは分かっていたけど、大昔から変態なんだね…」


「そうですわね。ただ、女の子同士だからノーカウントパイだと、おっしゃっていましたけど…。」


ディアーナのマイルールは意味が分からない。

ディアーナ自身が納得していても、回りが納得出来ない事が多い。

無理矢理、納得せざるを得ない感じになってしまう。


「ロージア様は、ライアン少年の事が気になりますの?」


先ほどの呟きを思い出したウィリアが微笑みながらロージアに尋ねた。


「気になる…と言うか…ジャンセンが、ディアナンネ国に新しい剣を進呈しろって言うんだよね。前に僕が与えた剣は、あのクソガキが持ち出して家出したらしくて。」


「まぁ家出…心配…ですわね?」


ちゃぶ台で突っ伏した顔を上げて、ロージアは嘲笑を浮かべる。


「はあ?心配?しないよ。あんな馬鹿、どっかで野垂れ死にすればいいさ。」


「そうですわね。ディアーナ様に振り回されてるでしょうから、死にそうな目にはあってますでしょうね…わたくしも旅にご一緒させて頂いてましたから分かりますが、あのご夫婦は楽しむ為には加減と言うものを知りません。……まぁ、変態馬鹿夫婦ですからね。」


ロージアが固まった。

なぜ、ライアンの話にディアーナの話が出て来た?

なぜ、神の御子夫婦の存在が語られる?


「あら、存じませんでしたの?ライアン少年はディアーナ様に誘拐されましたのよ?一年ほど前に……何でも、勇者にしたいとか……」


ロージアの顔が青ざめる。

もう、嫌な予感しかしない。


「ちょっ…ちょっと…なに、何で?何で勇者に?僕を魔王にして倒させたいの?こんな早くにまた、魔王になれって言うの?」


「いーえ、ライアン少年を勇者にして、この先ロージア様が魔王になってしまった時は止めて貰う。そんな夫にするのだと…」


ウィリアの説明が終わらない内にロージアは下界に降りた。


「馬鹿だ!馬鹿だ!馬鹿だ!どアホだぁ!ナニを考えてんだ!馬鹿ディアーナ!!」


ロージアはディアーナ達の近くに気配を隠して降り立った。


森の奥深く、湖の畔にディアーナ達が夜営の支度がしてある。


ロージアはディアーナ達に見付からないよう細心の注意をはらいつつ、ライアン少年の姿を探して自分が創った剣の在処を探る。


「……!僕の剣あった、コッチだ!」





「おりゃあ!トン!カツ!!ゲットだぁあ!!」


美しい剣に一刀両断された巨大なイノシシの魔獣は、ズシンと大きな音を立てライアンの前に倒れた。


「フッ…他愛もねえ!こんなザコ、剣の練習にもなりゃしないぜ!」


「ど阿呆ぉぉ!!!僕の美しい剣で、イノシシなんか斬るなぁ!!!」


繁みから涙目になったロージアが飛び出した。

急にわいて出たロージアにライアンがビクッと驚き、身体が跳ねる。


「魔王を倒せる剣なんだぞ…!僕を倒せる剣なのに!僕を倒す前にイノシシ倒すとか!あり得ない!!」


「……いや、もうタコやらイカやら……ブタやら、ナマコやら…いっぱい倒してるし…この剣で。」


少し申し訳無さげに言いながら、ライアンはロージアに駆け寄る。

考えるより先に動いた身体は、そのままロージアの元に向かい、そのまま正面からロージアを抱き締める。


「逢いたかった!逢いたかった!ロージア!ずっと…ずっと!」


抱き締められたロージアは石化したかのように固まった。

12歳となっていたライアンの身長はロージアと同じ位となり、まだ幼さは残るものの細身の身体ながら鍛えられたために筋肉が付いており、男の身体つきになっていた。


同じ位の身長になったライアンの唇が、ロージアの耳の近くを掠め、吐息がロージアの柔らかな髪をフワリと持ち上げる。


ロージアの頭の中に、レオンハルトの言葉が蘇った。


「お前、ディアーナを抱くんだぁって言っていたけどな、チュッチュッしたり、同じベッドで一緒に寝て抱き着くだけじゃないんだぞ?………あんな事されたり、こんな事されたり………どちらかって言うと、お前もされる立場になっちまったよなぁ…ふははは!」


固まったロージアの額から汗がダラダラ流れる。


変態ディアーナにされる、全身まさぐるセクハラ行為(とジャンセンが言っている)の、もっと凄い事をされるのだとレオンハルトは言った。


あの、顔から火が出る程恥ずかしくて、疲れる行為の、もっと凄いヤツ。


「し、死ぬ…恥ずかしくて死ねる…。」


「あん、何だって!?どうしたって!?」


硬直したまま呟いたロージアの言葉が聞き取れなかったライアンは、抱き着いた身体を少し離してキラキラした面持ちで正面からロージアの顔を覗き込む。


ロージアは


反吐が出るんじゃないかって位、イヤそうな顔をした。


「……お前、あんな奴等といたら精神がヤられるから…ディアナンネに帰れ……僕が転移魔法で送ってやるからさ。」


「え、何で?」


「何でって…お前みたいなアンポンタンが、勇者になんかなれるワケ無いし、僕はお前みたいなアンポンタンに倒されたくもない。だから、勇者になるのは諦めて帰れ。」


「俺もさあ、自分が勇者になれるなんて思えないんだよなぁ…でもさ……」


ロージアは自分の両腕を掴んで正面から顔を見つめるライアンの腕も視線も鬱陶しく、何とか離したくて口をへの字型に曲げたまま身を捩る。


「勇者になれなくても、ロージアと結婚はするんだ!!!」


キラキラの顔で、拳を握って断言するアホの子に、ロージアが大きな声を出す。


「するわけ無いだろぉお!!!!クソ馬鹿がぁ!!!」






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