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24# 本音は、どんな姿でも愛し合いたい。

ロージアのもとから離れたディアーナとオフィーリアは、村から離れた湖の畔に来ていた。


空に在る月と、大きな水面に映る月と2つの月明かりが目映い。


「…落ち着いた?レオン」


ディアーナは湖に足を浸して爪先で水を蹴って遊びながら、隣に居るオフィーリアの顔を覗きこむ。


「ダメ、心臓が破裂しそう。怒りに身を任せて暴れたい。」


「レオンが本気で暴れたら、国どころか世界が終わるからやめなさいね。」


ディアーナは苦笑しながらオフィーリアに寄り掛かる。


「…嫉妬…してくれたのかしら?だとしたら、嬉しいわ…」


「嫉妬しないワケが無いだろ!?本当は…指一本、髪の毛一本だって触れて欲しくないし、誰にもディアーナを見せたくない!俺の…俺だけの…!…………悪い、何でもない…」


独占欲を見せる事が、ディアーナにとって負担になるのじゃないかと、レオンは口に出し掛けた言葉を引っ込めてしまった。


「何を遠慮しているのよ。今さら…馬鹿ね……。私がレオンだけのものだって言いきる事を、なぜ謝るの?レオンだって私だけのモノなんでしょう?」


ディアーナは腕をオフィーリアの方にのばし……止まる。


━━━キスしたい!キスされたい!今、私、レオンの唇に飢えてます!でもな!でもなぁ!オフィーリアだけはなぁ! ━━━


「ディア?」


かつて聖女と呼ばれた、そんな設定のゲームヒロイン。

そして、悪役令嬢だった私の婚約者を奪った設定の少女。


オフィーリアは可愛らしい美少女だ。


個人的に言わせて貰えば、かなり好きなタイプだが…。

でも…女の子とキスぅ?


「ディーア?どぉしたの~?」


顔を覗き込んで来たオフィーリアと目が合い、のばしかけて止まった手に手の平が合わされ、指を絡められる。


あ、コイツ分かってやがる!私が困ってんの!


「意地悪ね!レオンはっ……」


言いかけた言葉を遮るように、ディアーナの唇にオフィーリアの唇が触れる。


柔らかい唇が触れるだけの短いキスを終えると、オフィーリアはレオンハルトに姿を戻し、ディアーナを強く抱き締めた。


「ディアーナが、どんな姿であっても…俺がどんな姿であっても…いつも愛していた。それこそ、男同士であっても女同士であっても。」


私の数多くある前世の記憶は…私には、あまり無い。

今の私の前の香月の記憶だけは、ある程度鮮明にあるのだが…。


「俺にとっては、どんな姿でもディアーナにかわりはなかった…でも、記憶を無くしていたディアーナにとっては、そうではない。」


記憶を無くしている間の自分にとって、レオンハルトは全くの他人だ。

愛を囁かれた所で、ただの変な人でしかない。


実際、今の私も侯爵令嬢としてレオンハルトに逢った時は、ただの変態イケメンだと思っていた。


今は愛する変態になったのだが。


「だから…俺にとっては………」


「馬鹿ね!どんな姿をしていたって、今の私にとってはレオンはレオンよ!た、ただ……キスぅ…とか、は…難しぃ…」


何を言わせてんだ、と頬を膨らませて睨む。


「……ディアーナが騎士団長のオッサンで、俺が少年兵だった時は、さすがに抱く気にはならなかったからな…お互い様かも。」


意地悪そうに微笑むレオンハルトの額に攻撃の意味を込めて軽く頭突きをする。


優しいこの人は、こうやって私を甘やかして逃げ道を作ってくれる。


「ひどっ!結局、レオンも見た目優先しちゃってるじゃないのー…どんな私だったのよ」


互いの額を付き合わせたまま言葉を紡いで語り合う。


「いい人だったよ…強くて…豪快で……優し過ぎて、部下を見捨てられなかった…。」


レオンハルトは、その騎士団長をやっていた私の死も見ているのだと、改めて知る。


「じゃあ、私がお父様にガサツだと言われるのは、その騎士団長の記憶のせいね…ふふ…私の中に生きてるんでしょう?その人も…」


「いや、騎士団長がガサツだったのは魂の根源のディアーナのせいだと俺は思っている。」


額を付き合わせたまま笑う。


触れ合えている、言葉を交わせている、それだけで何て幸せなんだろうと二人はそれぞれで感じている。


「レオン…その…………」


ディアーナは、自身を欲深いなと感じつつレオンハルトの目を見詰める。


「なぁに?ディアーナ。」


「……浄化……」


もっともっとレオンハルトと触れ合いたいと、欲は深まるが、いざ言葉にしようとすると恥ずかし過ぎて口に出せない。


「どうしたの?ディアーナ…。」


レオンハルトも、自身を欲深い男だと自覚している。

ディアーナの潤んだ金の瞳と僅かに上気した顔つきに、彼女の求める物が何かを知った上で、その答えを本人の口から言わせたい。


「……浄化…して欲しい…の…でも…翌朝、足腰立つ位で…」


レオンハルトは、真っ赤になりながら頑張っておねだりをした可愛い妻を抱き寄せ、こめかみに口付ける。


「喜んで…俺のディアーナ…でも、加減するのは無理。転移先は、即ベッドでいい?」


ああ…レオン…………分かっていたわ…つか、


だろうね!!加減して、は無理なお願いだったね!



ああ、明日の朝の私は、生ける屍状態です。











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