表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

17/82

16#浄化魔法ねちねち版。


ロージアが去ったディアーナの寝室で、三人は大きなベッドに輪になるように座っている。


オフィーリアがディアーナの髪に触れ、指先に絡ませ遊びながら尋ねた。


「なあ、あいつ帰り際に魔法使ったぞ?ディアーナ気付いてたか?」


「魔法?何の?」


ネグリジェから普段着ているドレスに着替えたディアーナは、髪を遊ぶオフィーリアの方を見る。


「簡単に言えば、忘れる魔法?今夜の記憶を消したかったようだな…ディアーナは俺と繋がっているから、強い抗魔体質だし魔法の影響受けにくいんだが…まぁ、分からないよな、魔力の無い普通の人間だと思われていれば。」


「こうま?子馬体質?パカパカ?」


「……ディアーナは、抗菌コートされてるからバイ菌が付きにくい。」


分かりやすく言い直してくれたが、魔力をバイ菌扱い。


「なるほどね、でも、それは知られない方がいいから今夜の事は魔法が効いて、忘れた事にしておくわよ。…所で、私達いつまで三人でここにいればいいの?」


「分かんないけど、親父がリターン魔法…っ!?」




「お帰りなさい、オフィーリア。そして久しぶり、姫さん。何十年ぶりかね?」


オフィーリアの口から出た単語が引き金となり、三人はいきなりジャンセンの居る教会に転移させられた。


「きゃあ!師匠~!!師匠!はぁはぁ!36年と185日ぶりのナマ師匠!」


「……相変わらず気持ち悪いな、姫さんは…」


ジャンセンは顔をしかめて「うわぁ…」と呟く。

そんなジャンセンの姿を見るなり興奮して飛び付きたがるディアーナを羽交い締めして止めるオフィーリア。


「何で親父には興味無いのに、ジャンセンはツボなんだよ!同一人物だろ!抱き付くなら俺にしろよ!」


リリーはそのおかしな光景を見ながら困り顔をする。

そもそも自分と同じ姿で男言葉を喋るオフィーリアが、何だか気持ち悪い。


「神父様…初めてこの村に来て、お見かけした時から普通の人間ではないと感じていました。…貴方は…一体…そして、ディアーナ様や、私そっくりなオフィーリアさんは…」


「あのねリリー、私は何度も言ってるけど思い込みでも妄想でもなく、月の女神と呼ばれているわ。元々は月の聖女と呼ばれていたのよ。数百年前から。」


ディアーナはクスリと笑ってリリーの両手を握る。


「あなたソックリなオフィーリアは、普段は男性で私の夫なのだけど、創造神の御子なのよ。不老不死で、千年以上前からこの世界を守り続けているわ…。」


ディアーナに手を握られたリリーは、ビクッと身を跳ねさせる。


「そんな…そんな恐れ多い…!あなた方は、本当に神だと…」


「いいえ、神と呼ばれるのは正確にはジャンセンだけね…この村で神父をしていたジャンセンは私達の父で、この世界を造った創造主なのよ。この世の誰にも触れる事すら許されない、頂点の存在よ。」


その頂点を振り回すディアーナなのだが。


リリーはディアーナに手を握られたまま気を失った。

事が大き過ぎて処理しきれなかったようだ。


「あらあら…リリーの話しも聞きたかったのに…目を覚ますまで待つしかないわね。」


ソファにリリーを寝かせ、ため息をつくディアーナにジャンセンが鼻を押さえる。


「姫さん…臭い。すっげカビ臭い。めっちゃ瘴気浴びて来たろ?」


「えっ!!瘴気ってカビ!?カビ臭いの!?」


ディアーナの抗菌コートは防カビ効果が無いようだ。


ディアーナは自分の身体のにおいを嗅ぎ出す。


「浄化が必要だな、くせぇもん。」

「浄化?浄化って…レオンがバーンてやるやつ?」

「そう、浄化出来るのは、この世にレオンしか居ないしな。レオン、ディアーナの浄化をお願いします。奥の寝室を使って良いので。」

「え?」


ディアーナはオフィーリアから姿を戻したレオンハルトに抱き上げられた。


「バーンなんて一瞬で終わらせない。ゆっくり時間を掛けてアイツのニオイが消えるまで、隅々まで浄化しよう。たっぷりと愛してあげるよ、俺のディアーナ。」


「ちょっ!おとんの、師匠の居る部屋の隣で!?ままま待って!無理!無理!声とか!何かいろいろ出る!無理!助けて師匠!」


ジャンセンはまずい茶をすすりながら鼻で笑う。


「ハッ…呼んで下さいよ、おトン、出番でやんす!と。最中でも飛び込んで助けてあげますよ。」


う、恨んでるの!?私が、そんな救助要請した事を!

抱き上げられたままディアーナは寝室に運ばれた。


そして、レオンハルトの嫉妬もあってか、激しく熱い夜を過ごしたディアーナはベッドの上でグッタリとした朝を迎えた。


「ゴリラ並に体力のあるディアーナが足腰立たないとは…やりますねぇレオン。」


シレッと言ってのけるジャンセンを睨んでディアーナが声を上げる。


「誰のせいだと思ってるのよ!師匠!!」

「貴女のせいですよ?」


ニッコリ黒い笑顔を見せるジャンセン。

もう、何も言えなくなったディアーナはガックリ項垂れた。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ