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10# 魔獣化した奴はプチれ。

ガキどもを振り切って、村の端に来た俺は自身の姿をオフィーリアに変えた。


金色の柔らかい髪に翡翠色の瞳を持つ美少女。

かつては、聖女だとか言われていた!

乙女ゲームの主人公だし!


さすがに、これをパシりにはするまい!


「あ、リリーさん!あんた、無事だったのかい?」


村の端にある、小さな畑の中からオジサンが声を掛けて来た。

リリー?誰それ。


「ミーナとビスケが拐われた時に、一緒に捕まっていただろう?旅人のあんたがあの二人を守ろうとしてくれたのは有難いが、申し訳なくてな…」


話がよく分からないが…あのクソガキどもの姉貴たち以外に、旅人で拐われた少女がいると…。

名前がリリーで、オフィーリアに似ていると…。


「で、ミーナとビスケは、どこに?顔を見たいんだが。」


「えっ…えっと…」


オフィーリアをリリーだと思い込んでいるオジサンの質問に、焦る俺。


「二人なら無事ですよ、ただ精神的に参っているようなので教会で休んでもらっています。会わせる事は出来ません。」


どこからか、唐突に現れたジャンセン神父がオジサンに説明をする。

正確に言うと、説明と言う名の暗示をかけている。


「そうか…怖い目にあったんなら暫くはそっとしておいてやらなきゃな…。」


オジサンはジャンセンとオフィーリアにお辞儀をして、畑仕事に戻って行った。


「……で、リリーさん…あなたには、レオンハルト殿に出来なかった仕事を頼みたいのです。」


「…こんな、まどろこしいやり方しなくても、最初からオフィーリアになってリリーとやらのふりをして手伝えと言えば良かったんじゃないの?」


オフィーリアの姿のまま腕を組んで、苛立つようにジャンセンを睨む。


「息子が、振り回される姿を見たかったのでね。ザマァミロと思ってましたよ。」


あっさり本音を吐露するジャンセン。

クソムカつくわ!この親父!


「さて、レオンハルト…いや、リリーさん…今まで多くの魔獣を倒してきたあなたに聞きます。魔獣は、獣が巨大化したモノが多かったと思いますが、人間が魔獣化したモノとは遭った事があります?」


「何年、修復人やらされてると思ってんの。千年以上よ?遭った事あるに決まっているじゃない。……バカみたいに巨人化した人間もいたわよ。…あと、人間の姿を捨てて、欲望の赴くままに人を襲う化け物みたいになった奴とか…。」


「近隣の村や町で、多くの人が拐われてます。拐って行くのはバクスガハーツ帝国の兵士。…とは、限らなくてですね、いるみたいなんですよ魔獣化した人間が。それも何人も。」


「何人も?……そんな、複数人が一気に魔獣化するなんて…初めて聞いたわ…。」


「聖女ディアナンネ教会の関係者ばかりですね。そいつらを一人一人プチっと、してくれません?あなたは、美しいから餌としては申し分無いし。」


嫌な言い方をする。

この姿を囮にして、プチっと退治していけと?


「その教会とやら自体が怪しいのなら、バーンとやっちゃえば?あなた、普通の人間が巻き込まれたって気にもしないくせに。」


「分かりませんかね?今はまだ、蟻を一匹ずつ指先で潰していきたいんですよ。プチっプチっとね。」


楽しそうにほくそ笑み、指先で虫をにじり潰す仕草をするジャンセン。

分かるか!その考えの方が怖いわ!


「…ねぇ、ディアーナは無事なんでしょうね?」


「無事で無いワケが無いでしょう?」


それはそうだ…覇王的なディアーナを何とか出来る者など、そうはいない。

ただ、魔力が無いディアーナは強い魔力を使われると多少、影響を受けてしまう。


「まだ呼ばれてませんから。お父様、助けてと。」


ジャンセンは微笑む。


もしかしたら、期待してる?

愛娘に「お父様、助けて!」と頼られる事を。


そこは親父…どうだろう…


なにしろディアーナだからな。





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