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その4


「腹へったー」


 後ろに座る真咲がぶつぶつ呟いている。

 昼休みまで、後少しだ。


「腹へったー」「腹へったー」「腹へったー」「腹へったー」「腹へったー」「腹へったー」…………


 まだ言ってんぞ、こいつ。

 いい加減、うざくなってきた。


 チラリと隣を見ると、雫はコクコク舟を漕いでいる。

 こいつら、呆れるぐらい変わってねーわ。


 小学生の懐かしい思い出が頭の中に浮かぶ。

 真咲はガキ大将で、休み時間は暴れるように遊び、授業中はずっとしゃべっている。雫は休み時間も授業中も関係なく、隙を見ては眠っていた。


 懐かしみながら、雫の頭を撫でる。

 こうすると、すやすやと安心したようにねむ…………


 何やってんだ、俺!? 授業中だぞ!? すやすや眠らせてどうする!!?


 慌てて、雫を起こす。


「うん、は? ありぇ、たっちゃんどうし……」


 ……もう一度眠り始めた雫。

 一体、昨日は何時に寝たのだろうか。

 寝ぼけている雫の足をつねることによって、完全に起こす。

 涙目で睨まれたのは、ご愛嬌あいきょうということで。


 目の冴えた雫にノートを写させていると、ふと視線を感じた。

 こっそり後ろに目をやると、真咲がニヤニヤしながら俺たちを見ていた。


 

 §§§ side∶笛吹うずしき恵実めぐみ §§§


 

 私はこのクラスで委員長をしています。笛吹恵実といいます。


 私の──いえ、私たちの趣味は『桜井龍生と鳴無雫のイチャイチャを観察し、妄想すること』です。


 何を言っているのかわからない人もいるでしょう。

 ですが大丈夫! この学校に来れば、絶対に気持ちが分かる筈です!

 桜井くんと鳴無さんのイチャイチャを見ていると楽しくなりますよ! そのイチャイチャを報告したり、楽しんだりするためだけに学年、性別の関係ないグループLI(N)Eができるくらいですよ!

 まあ、あの二人は無自覚にイチャイチャしてるみたいですけどね。


 そんなある日、イギリスから帰ってきたという、二人の幼馴染みが転校して来ました。

 とんでもない美少女です。見た目とは裏腹に、男っぽいですけど。

 

 まあ、そんなことはどうでもいいのです。

 私の中で、今後の行動が決まりました。


 “猪村真咲さんを我々の仲間に引き入れる”


 これを目標に行動しましょう。

 猪村さんを仲間にすれば、二人のイチャイチャをより知ることができるでしょう。

 さぁ、頑張りましょう! と、思っていましたが、意外と簡単そうです。




 それは、四時間目のことでした。


 鳴無さんがうとうとと眠り始めたのです。

 そして───桜井くんが頭を撫でました!!!

 授業中にイチャつき始めやがったのです!!!

 何なんですか!!? 授業に集中できませんよ!!?


 興奮した面持おももちで眺めていると、桜井くんが急に鳴無さんを起こしたのです。

 そして、肩を寄せあって、ノートを取っています!!!!

 もう!! 何ナチュラルにイチャついてんですか!!!


 猪村さんの様子が気になり、見てみると───ニマニマして二人を眺めています!!!


 これはもう、昼休みに勧誘するしかありませんね!!!



 §§§§§§



 ──そして、イチャイチャと勧誘の怒涛どとうの昼休みが幕を開ける──


 ブクマ、ありがとうございます。

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