瀬古さんと話してみます。
昼休み以降麻美と話す事が出来なかったらリカ。
次の日いつもより早く投稿して麻美と話をしてみる事にした。
(困ったな、結局、瀬古さんとお話しする事出来なかったな。休み時間は瀬古さんずっと海老さんとお話ししてたし、放課後はリコとすぐにバドミントン部に行っちゃったし……)
「はぁ……」
「どうしたリカ?何か困った事でもあったか?」
(あ、しまった、ため息ついちゃった……)
「あ、ううん、別に」
「なんだ、困った事があればちゃんというんだぞ?健全な家庭はちゃんとした話し合いから生まれるものだからな」
「ありがとう、お父さん……」
(ちょっと話にくいけど、話しを聞いてもらった方がいいのかな?)
「あのねーー」
「リカ?そういやあなた今日もバドミントン部の見学に行ってきたって言ってたわね?」
「あ、うん……」
(そうだ、お母さんにバドミントン部に入ることちゃんと言わないと)
「もしかして、バドミントン部に入るつもりなの?」
「うん。友達が誘ってくれて……」
「ちょっと、大丈夫なの?勉強は?ちゃんと授業についてけるの?」
「うん、ちゃんと勉強も頑張るから」
「大丈夫って、進学コースで運動部に入る子なんて殆どいないんでしょ?幕張高校の運動部は運動コースの人達に合わせてあるんでしょ?毎日遅くまでやるんだから勉強時間だって取れないじゃないの……」
(やっぱり、お母さんは反対してきた。もうリコと約束しちゃったしなんとか許してもらわないと……)
「まあまぁ、母さん、いいじゃないか、リカがやりたいって言ってるんだし。それに勉強も頑張るって言ってるじゃないか」
(お父さん……)
「あなたはまたそうやってリカを甘やかして……いい?学年十位以内に入らないと駄目ですからね?それより下になったらやめさせるからね?」
「まて、何もそんなに。幕張高校の特進コースは偏差値70以上の超進学校だぞ?!俺も中学は成績が良かったけど高校で授業についてけなくなってしまったんだ」
「あなたが落ちこぼれたのは勉強せずに野球ばかりやってたからでしょ?」
「うっ……」
「それでプロになろうとして結局甲子園にも出れなかったんですものね」
「クッ、もう一歩だったんだ、俺は野球よりお前を……」
「……結局、いい大学にも行けず今このお給料なんですから、リカには勉強を頑張ってもらいます」
「クッ……」
(お父さん、歩道橋の階段でつまづいたお母さんを見かけなかったらプロ野球選手になってたのかな?私はお母さんを助けたお父さんは間違ってないと思うんだけど)
「わかったリカ?!」
「はい……」
(バドミントンは許してもらえたけど、勉強も頑張らないと……)
「ごちそうさま」
リカは自分の食器を台所に戻して、自室に戻った。両親との晩ご飯は食事が終わった後もいつも父と母が話を続けるのでリカは先に席を立って食事を済ます事が多い。
(結局瀬古さんの事言いそびれちゃったな、明日こそ瀬古さんと話しなくちゃ。さ、今日の復習と明日の予習しよっと)
リカは学習机へ向かう。スマートホンを見てみるとリコ、足人、安堂、優子からLINEが来ていた。
(直ぐに返信しないと。優子は遅くなっても大丈夫よね)
次の日、リカはいつもより早く登校した。瀬古さんと話がしたかったからである。リコは驚くだろうが、リカには内心瀬古さんと話をしているところをリコ達に見られたくないという想いがあった。
ガラガラーー
(殆ど誰もいないな。瀬古さんは……良かった、いた!友紀達はまだみたい)
「瀬古さんおはよう」
「ああ、おはよう」
「あの……」
「何?」
「昨日はごめんね」
「ん?何が?」
「瀬古さんを置いて食堂に行っちゃって、教室で5人でお昼ご飯食べれたら良かったんだけどリコ達がどんどん行っちゃって……」
「……全然気にしてないけど?」
「え、そうなの?」
「うん」
「良かった。私瀬古さんに失礼なことしたんじゃないかって不安になって」
「いや、井上さん細かいこと気にしすぎじゃない?アタシは気にしてないよ」
「そっか、それでね、今週の日曜日なんだけどーー」
「ああ、ボーリングだっけ?良かったね楽しそうで」
「その、瀬古さんも来れないかな?それとも何か予定があるの?」
「いや、あたしゃいいよ、行ってらっしゃい」
(瀬古さん行きたくないのかな。けど理由をちゃんと聞かないと。リコ達が誤解してるだけかもしれないし)
「それってやっぱり何か理由があるの?私、瀬古さんの気持ち聞かせて欲しいの」
「え、別に理由なんてないよ、ただ行く気分じゃないってだけで」
「それだったらいいんだけど、私の勘違いかもしれないんだけど、瀬古さんもし何か思ってることあったら聞かせて欲しいの、誤解とかあったら嫌だから」
(……瀬古さん黙っちゃったけど、何か言った方がいいのかな?)
「あのーー」
「…………アタシさ」
「あ、うん」
ガラガラーー
「あれ、リカッちじゃん、今日は早いね〜」
「あ……瞳、友紀おはよう」
(どうしよう、瞳達きちゃった……)
「瀬古ちんはいつも早いけどリカちん今日はどうしたの?」
「もしかしてセコッちと秘密の話し合い?」
「えっ、秘密ってわけじゃ……」
「ならアタシらも混ぜてよ!」
「え、あ、うん……」
「何なにこの微妙な感じ、あ!昨日の事でセコちんアタシのこと愚痴ってたとか?!」
「ちょっと友紀!」
「……何?」
「……そんな話、するわけないじゃない」
(友紀、目が怒ってる……)
「じゃあ何の話さ?」
「その……」
「……ボーリング楽しんできてねって話してたんだよ、アタシは行きたくないって言ってるんだけど、井上さんがしつこく誘ってきて迷惑なんだよ」
「えっ?!ちょっと待ーー」
「あ〜なるほどね、じゃもう誘わなくていいじゃん。せっかくリカちんが誘ってんのに何その態度?」
「セコッち、マジないでしょそれ……」
「瞳、友紀、ちょっと待って!瀬古さん本心じゃないと思うの、瀬古さんさっきのは嘘だよね?」
「セコちんそうなの?」
「セコッち本当のこと言った方がいいよ?」
「……本心だよ、だからアタシの事はもうほっといて!」
「だってさ、いこリカちん」
「え、でも……」
「何、セコちん瀬古さんの肩持つの?酷いこと言ってんの瀬古さんの方じゃない?」
「それは……」
(どうしよう……)
ガラガラ!
「おっはよ〜〜ん?!何なに、この雰囲気??」
(あ、リコ!!)
「あ、リコちんおはよ!いや瀬古さんがさ〜〜」
「ふむふむ……じゃあ、別にいいんじゃないの行かなくて?アタシも昨日セコムの事考えててさ〜〜無理やり連れまわしたりしてたのかなって思ってたんだよね、セコムごめんね」
「いや、別に……」
「ま、空気の合う合わないは絶対あるしさ、そこは置いといて同じクラスなんだしこれからもよろしく頼むよ!」
「……うん」
(良かった、リコのおかげでなんとか収まった……)
「……それより、周りの男子も止めなよね?なんでほったらかしにしてるわけ、西君!!」
「え、僕!?」
「あんた真隣じゃん」
「いや、こういうのは言いたいこと言いあった方がいいかなって……」
「それで仲直り出来なかったら意味ないじゃん?西君のはただ見てるだけって言うんじゃないの?」
「いや、そんなつもりはーー」
(どうしよう、西君が怒られちゃった……)
「今朝のキャプテン凄かったな〜〜」
(あ、足人君達の声だ!!)
「みんな、おはよう、あれ、どうかしたの?」
「あ、加藤君、安堂君、助かった!!」
「おい西、お前なんで朝からリコに叱られてんだ?」
「いや、安堂君、僕は何もしてなくて」
「ハァ、またややこしいのが……」
「ややこしいとはあんまりだな。リコ、クラスの問題は俺達の問題でもあるだろ?話してみろ」
「ハァ…。セコムと友紀が言い合いしてるのを西君が止めようとしなかったのよ」
「なるほど、西、お前が悪い!」
「なんで!?」
「見て見ぬ振りはよくないだろ西、見なくていいのは黒板だけだ、な、加藤?」
「黒板は見とかないといけないだろ?その、とりあえず謝っといた方がいいんじゃないかな……」
「加藤君まで……」
「何よ、とりあえずって!?」
「いや、その、なぁ?」
(あ、珍しく足人君慌ててる……)
「あ、ああ……そうだ!!そろそろチャイムなるしトイレに行っとこうぜ、西、お前も行くだろ!?」
「あ、うん!」
「ちょっと、話し終わってないじゃん!?」
「リコ……イエローカードだ。いくらお前でも西と加藤の生理現象を止めるのはアンフェアだぜ?さ、行こうぜ」
「あ、ああ……」
(安堂君達言っちゃった……けど、フフ、足人君も怒ったリコの前だと形なしだったな)
「たく、人の事なんだと思ってるのよ……リカなんで笑ってるの?」
「えっ?!その、足人君達のあわてたとこ見てたら面白くってつい」
「もーリカまで、どうせ男子同士で私の悪口でも言ってるんでしょ」
「足人君はそんな人じゃないと思うけど……」
「ん〜〜それもそっか、じゃ、セコム、そう言う事で!これからもよろしくね」
「うん……」
「じゃいこリカ!」
「うん……」
「ウチらも行こっか」
「だね」
(リコのおかげでなんとか収まったけど、……これで良かったのかな?瀬古さん何か言ってくれそうだったけど……)