表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/17

46歳サラリーマン、神様と勘違いされてます

異世界の森で出会った美少女との初夜は・・・

次の日、オレはいつもと同じ(多分)6時30分に目が覚めた。

いつもは起きたらすぐにスマホをチェックするのだけれど、ここではスマホはないだろう・・・


肌感覚での6時30分だ。


オレは2人分の朝食を準備しながら、昨夜のことを思い出していて。

セリカは夜伽だと言って、部屋に来てくれたのだけれど、こっちは(中身が)46歳。

相手は年齢を聞いてないけれど、高校生かそれくらいだろう。


倫理的にダメだと思っているけれど、セリカに恥をかかせるのも良くないと思った。

思い切って手を出したのだけれど、セリカは初めてだったので、痛がって最後までは出来なかった。


お互い疲れていたこともあって、続きはまた次回と言うことでそのまま寝てしまったのだ。

でも、久々に女性の肌に触ったな・・・

あのやわらかさと良い匂いは独特だ。


また機会があったら、もう少し積極的に行ってみよう。



そんなあられもないことを考えながら進めていた朝食の準備が出来た。

今朝はトーストにした。

日本で目覚めると言う可能性も期待したのだけれど、目覚めたのはログハウスだった。

どうせ会社には行けないし、電話も出来ないので、久々にゆっくり朝食を作ることにしたのだ。


食パンにハムを乗せて焼き、レタスを何切れか乗せた。

それとは別に目玉焼きを焼いて更に盛り付けた。

そう言えば、驚いたことにフライパンやお皿、フライ返しまでちゃんとキッチンの引き出しに収まっていたのだ。


何この万能感。


神様は顔出しを省略した代わりに、転生特典としてこの家をくれたのかな?

セリカの分は、パンを焼いてしまったら食べるころには冷えてしまうので、準備だけしてそのまま寝かせていた。


聞けば、村で戦みたいなことが起きて、村が焼かれて命からがら逃げたのだと言う。

両親とも生き別れてしまったと言うことなので、その混乱ぶりが伝わった。


探してあげないとな。


オレは、テーブルの椅子に座って、コーヒーメーカーで淹れたコーヒーと、先ほどのトーストと目玉焼きで朝食を食べた。

キッチンで料理をするスペースとは別に、食事をするためのテーブルを置いている部屋とつながっている。

まあ、ダイニングキッチンと言うやつか。

何年ぶりだろう、いや、何十年ぶりだろう、こんなにゆっくりと朝食を食べるのは・・・


日頃からどんな生活をしていたんだ、オレって。

コーヒーには多めの牛乳を入れて、まったりとした朝食を楽しんだ。


半分くらい食べたところで、ダダダとキッチンの外で走る音が聞こえた。

セリカ・・・だよな。


キッチンに入ってくるなり、セリカは例の両ひざを地面に着くポーズで両掌を胸のところで合わせて急いで言った。


「申し訳ございませんっっ!ユーイチ様より寝過ごすなんてっっ!!」


何この怯え具合。

オレってそんなに威圧的かなぁ。

少し傷つき気味で聞いてみた。


「大丈夫だよ。何でオレより早く起きようと思ったの?」


「ユーイチ様は、神様ですのでヒューマンである私の方が寝ているわけにはっ・・・」


は?神様?

そうか、そういうことか。

そういう風に思っていたのか。


確かに、セリカにとってみたら、突然目の前に出てきて、食事をくれて、家を突然出現させたんだ。

神様的に思えてしまってもしょうがないだろう。


でも、オレはあくまで人間。

ちょっと変な事は起きているが、オレ自身はただの人間なのだ。


「いやいや、オレはただの人間だよ。セリカと同じヒュ―マンだよ。」


多分、人間=ヒューマンだろうという推測の元、安心させようと思って笑顔で落ち着いて話した。


「でも、神の奇跡で家や水を出して・・・」


確かに、水道や洗濯機は珍しかったのだろう。

オレもどうなっているのかはわからない。


「あれは、オレの世界の物なんだ。オレは魔法使いなんだよ。」


とりあえず、口から出まかせで言ってみた。


「魔法使い・・・」


オレは、セリカを椅子に案内して座らせた。

オレが異世界から来たことを簡単に話した。

話をしながら、セリカの朝食の準備を進めた。


オレにとってもセリカと話すことで、この世界のことを知ることができてとても有益だった。


チン


トースターで食パンが焼けた音だ。

レタスを数枚乗せて、マヨネーズをかけて、目玉焼きやコーヒーと共にテーブルに置いた。


セリカは、一瞬驚いた様子だった。


「あの・・・これ、もしかして私がいただいても・・・」


「ああ、もちろん。きみのために作ったわけだし。」


「あっ、ありがとうございます。」


セリカは、オレが食べているのをチラチラ見ながら、トーストにかぶりついていた。


セリカと話して分かったことはいくつかあった。

この世界には、本物の魔法が存在する。


火をおこしたり、水を出したりすることは出来る人もいるけれど、それを使って戦ったりすることができるのはごくわずかだという事だった。

そんなことができる人は、専門職だという事だった。


大きな町などもあるらしいが、セリカは行ったことがないという事だった。


森には、あの角の生えたウサギやブタの化け物がいて、普通の動物とは違うらしかった。

動物とは違う扱いで、やつらのことはモンスターと呼んでいるようだ。


人間はモンスターを倒すことは難しく、村では柵を作ったりしてモンスターから村を守っていたのだという。



「あの・・・」


考え事をしていたら、セリカに話しかけられて我に返った。


「あ、はい。なに?」


「これ、すごくおいしいです!」


「そっか。それはよかった。」


「見たことがない調理器具、見たことがない野菜、見たことがない調味料・・・やっぱり、ユーイチ様は神様なのでは?」


そうか、異世界の調理器具だし、異世界の料理だもんな。

オレ自身、朝食を作りながらすごい発見をしたのを思い出した。


イメージしたものが目の前に現れるのだ。

漠然としたイメージではダメだけど、明確にイメージしたものは目の前にある。


感覚的には、頭の中でネットスーパーの画面を開いて、選択したものがすぐに届くようなイメージ。

スーパーや通販で買えるようなものはすぐに目の前に現れるのだ。


たまごとマヨネーズは冷蔵庫に入っていなかったので、欲しいと思ったら出てきたのだ。

オレが魔法使いだと信じさせるために、セリカの前でも何か取り出してみることにした。


テーブルの向かいに座っているセリカを見ながらゆっくり話した。


「見ていて、塩を出すよ。」


オレは頭の中で、ネットスーパーを思い浮かべ、1㎏の塩の袋を選んだ。

「注文」ボタンを押したら、テーブルの上に塩の袋が現れた。


「ほら、こんな感じ。これはオレの世界の食べ物なんだよ。」


セリカがものすごく驚いていた。


「この透明の袋は何ですか?」


ビニールのことか。

この世界にはビニールはないのか。

オレは、ネットスーパーのイメージだから、注文したら、普通にビニールに入って出てきてしまう。


オレは、ハサミを出して、ビニールを少し切って、お皿に塩を少し出して見せた。


「これって・・・塩!?こんな真っ白な塩!?」


これまたセリカが驚いていた。

やることなすこと驚いてくれて、もはやオレは面白くなってきていた(笑)


セリカは、少しだけ塩を指に付けると、口に含んでまた驚いていた。


「これって、町とかでしか売っていない高級な塩ではないのでしょうか。」


「そうなの?オレたちの世界では、これが普通に塩なんだよ。」


ついでに、テーブル胡椒も出してみた。


「これは?」


セリカがテーブル胡椒を手に取った。


先端に小さなミルが付いているタイプで、胡椒をゴリゴリやって削りたてを使うことができるタイプなのだが、セリカはミルごとフタを取って、中の胡椒を数粒取り出した。


「これっって、まさか胡椒!?」


また驚いていた。

そう言えば、昔のヨーロッパでは胡椒の価値が高くて、同じ重さの金と交換できた高級品だったのだとか。

もしかしたら、この世界でも胡椒は高級品なのかもしれない。


「やっぱり、ユーイチ様は神様としか・・・」


「いやいや、何でもできるわけじゃないので、万能って訳じゃないよ」


そうなのだ、生き別れたセリカの両親を出すことなどは出来ない。


「ユーイチ様、出したものをしまうこともできるのでしょうか?」


そうだなぁ、考えたこともなかった。

本とかでは、収納魔法とかあって、取り出したものをパソコンのストレージみたいにしまうこともできていた。

オレにも出来ないか、試してみた。


さっきの塩や胡椒はテーブルの上から消えたり、現れたりするのだ。

なんかすげえ。

オレ、何でこんなことができるんだ。



「こ、これも魔法ですか!?こんな魔法見たことがありません」


そりゃあそうだろう、オレも今初めてやってみて、初めてできたのだから。


多分異世界に来たから、転生特典で魔法が使えるようになったのだろう。

セリカの立場から考えてみたら、神様と思ってもしょうがないだろう。


とりあえず、魔法である、という事で押し通すことにした。


オレの食事が終わるころには、セリカも食べ終わっていたが、コーヒーをずっと見つめている。

どうしたのだろうか。

猫舌だったか?


「セリカ、どうしたの?」


「この黒い飲み物・・・は、何ですか?香りが強くて・・・ヒューマンの私が飲んでも大丈夫ですか?」


落ち着いてくると、セリカは面白い娘だ。

ある程度の敬意は外さないけれど、好奇心が旺盛だ。


「これはコーヒーだよ。少し苦いかもしれないから、ミルクを入れてあげるよ。」


好みもあるかな、と思って、ブラックで出していたコーヒーにミルクを少し入れてあげた。

そういえば、砂糖も必要だったかな。

オレはいつもコーヒーには牛乳を入れるけれど、砂糖は入れないので失念していた。


ミニポットの砂糖を出して、コーヒーの横に添えた。


「好みで、砂糖を入れて。」


「砂糖・・・」


セリカは、ミニポットのふたを取り、付属のスプーンで砂糖を一杯すくい上げた。

少しだけ手に乗せたら、なめていた。


「あまい!なんですか!?これ!?」


どうやら、砂糖も貴重品だったみたいだ。

そういえば、日本にも塩の方が圧倒的に先に持ち込まれて、砂糖が持ち込まれたのは歴史的には最近だ。


オレが日本人として1,000年以上何代もかけて経験することをセリカはこの10分程度で経験したのだ。

そりゃあ、驚くのは当たり前か。



砂糖とミルク入りのコーヒーをセリカは気に入ってくれたみたいで、飲んでくれた。

少し気になったのは、コーヒーの飲み方じゃないことだ。

ぐっと一気に飲んでいたので、イメージ的には薬かな。


まあ、喜んでくれたら何でもいいや。



食事が終わったので、洗い物を済ませて、オレたちはログハウスの外に出てみた。


いい天気。

暑すぎず、寒いことはなく。

多分気温は16℃とか17℃とかそんな感じだろう。


辺りは静かで、ブタの化け物などの敵がいる様子はない。


オレにとっては、急な休日。

本音を言えば、部屋に引きこもって過ごしたい。

でも、セリカがいる以上、なかなかそうもいかない。


何より彼女の両親を探してあげないといけないのだ。


食べ物問題や住むとこ問題は、オレの変な力で何とかなった。

オレはセリカと話し合って、森を探索することにした。


ただ、忘れてはいけないのが家の場所だ。

Googleマップも何もないこの世界では、迷子になった時、元の場所に戻る術がない。

闇雲に歩き回る、という一番原始的な方法しかないのだ。


迷子にならない範囲で、森の探索を開始したのだった。

コメントもらえると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ