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12/17

奴隷との休日

今朝は寝坊した。

日曜日なので、休みにしたのだ。

なんだかんだで毎日忙しい。


ここのところで一番忙しいのは、エイティに料理を教えることだろうか。

もう朝食は完全に任せて大丈夫だし、ランチや夕食でも簡単なものは作れるようになってきた。


多分今朝も準備してくれているはず。

オレはベッドで眠い目をこすりつつ目を開けた。


!!


めちゃくちゃびっくりした!

そこには、エイティがいたのだ。


「エイティ、いたのか!びっくりしたよ!」


「すいません、ご主人様。中々起きていらっしゃらないので、寂しくて・・・でも、寝顔を見たら、起こしてはいけないと思い、でも、やっぱり寂しいと思って・・・」


そんなことを考えつつ、どれくらいの時間ここにいたのかな??

いかん、いかん、ちゃんと教えないと、エイティがストーカー体質になってしまう・・・


とりあえず起きるか。


「おはよう、エイティ。」


「はい!おはようございます!ご主人様」


「寝顔は見られると恥ずかしいから、寝ているとき寝顔を見ないでくれ。」


「はい・・・でも、ご主人様は寝顔もカッコよかったです。」


見てたのね、寝顔。

恥ずかしいじゃないか。


「あと、起きた時びっくりするから。」


「では、やっぱり一緒に寝てはいけないでしょうか。」


何度か一緒に寝てほしいと頼まれていた。

17歳男子は、12歳女子と一緒に寝て良いのか!?

今のところは、少しだけ添い寝して、エイティが寝たタイミングで自分のベッドに移動して寝ている。


一応ベッドは広いし、考えてみるか。


「考えておくよ。」


「はい。」


エイティは満面の笑顔だった。

朝からまぶしいぜ。

まだOK出していないのに。



オレは、リビングのテーブルのイスに座った。

エイティが甲斐甲斐しくオレの朝食を準備してくれている。


今朝はトーストと目玉焼き、それとサラダらしい。

完璧に朝食だ!


完璧「な」朝食、ではなく、完璧「に」朝食だ。


エイティはこれまでちゃんとした食事を与えられていなかったようで、食べ物の概念が薄い。

ヘタしたらネズミなんかでも捉まえて食べそうだった。

そのうち、脚とか(食べやすいところ?)をオレにくれようとしていた。


気を使ってくれるのは嬉しいが、ネズミの足は食べたいと思わないし、食べたことがない。


好物の人には申し訳ないが、オレとは意見が合わなそうだ。



エイティには、オレの常識を教え込んだ。

朝食は、1日の元気の元だから必ず食べること。


あまり重たいものは、まだ胃が起き切っていないから食が進まない。

パンとか、ご飯なら味噌汁を添えてとか、色々と教えた。


そして、その作り方も教えていたのだ。

もうエイティがこの家に来てから2週間くらいになるか。

最初のうちは何を言っても、何をしても、おびえていたエイティがびっくりする回数が減った。


ほとんどなかった表情も少し笑うようになった。

起きた時の「満面の笑顔」と言うのも、頭に「エイティにしては」が付くくらいだ。

こればっかりは、もっともっと時間がかかるだろう。


たった2週間でこんなに変わった事を褒めたいし、喜びたい。


おっと、スープも出てきた。

インスタントだけど。


多分、この世界の人が見たらびっくりするだろうけど、エイティはオレが見せるものが初めてだ。

「こんなもの」とどんな非常識でも受け入れていってくれる。

オレとしてはありがたい。


エイティも自分の食事をオレのテーブルの向かいに準備した。

オレが起きるまで朝食を待っていてくれたみたいだ。


「エイティも朝食待ってくれていたんだね、先に食べてもよかったのに。」


「いえ、ご主人様が食事は一緒に食べた方がおいしいし、楽しいと教えてくれました。」


確かに言った。

それでエイティがお腹を空かしていたらいけない。

今度からは、早めに起きるようにしようか。


「じゃあ、いただきます。」


「いただきます。」



エイティは嬉しそうに食べている。

最初のうちは、とにかく何でも手でつかんでガツガツ食べていた。

もしかしたら、前の家では早く食べないと誰かに取られてしまう環境だったのかもしれない。


ここでは誰もエイティの分を取ったりしない。

オレは努めてエイティと同じタイミングで、同じものを食べた。


少しづつだけど、オレの真似をしてフォークやスプーンを使うようになっている。


「ご主人様、このパンがおいしいです。」


「ああ、そうだな。焼き具合もちょうどいいよ。」


キッチンには、オーブントースターを置いている。

欲しいと思ったら、キッチンにあったのだ。


エイティには使い方を教えたので、食パンはいつも焼いてから出してくれる。


「あのとーすたーと言う魔道具はすごいです。少しの間入れているだけで焼き立てのパンにしてくれます。」


「そうだな。」


家電は魔道具っていう認識なんだな。

まあいいけど。


「でも、自分がパンを食べることが出来るとは思いませんでした。」


んん?また変な事を言い始めたか?


「前のご主人様は、私が痛い思いをして、上手に悲鳴を上げられた時だけ食事を投げ入れてくれていました。」


「投げ入れる?どこに?」


「私の檻です。」


檻に入れられていたのか・・・

この世界では奴隷とはそんな扱いか・・・


確かに町で見た奴隷商でも奴隷は商品として檻に入れられて売られていた。

オレの常識で言うと、ペットショップで売られているペットと同じ扱いだ。


日々痛めつけられて、主人の変な趣味を満足させられた時だけ褒美として食事が与えられる・・・考えたら地獄だな。


「今はもう、檻はないし、自分の部屋もある。食事だって好きなように食べて良いからね。」


「ありがとうございます。ご主人様は私にとって神様みたいです。」


食事中の会話として適しているのか、これ?



「ご主人様」


「どうした?」


「前のご主人様は、私が悲鳴を上げた時だけ食事をくれたのですが、今は私なにもしていません。どうして食事をしていいのでしょうか?」


なるほど。理由もなく食事が出来たり、住んだりできると思ったら、教育上良くない。

ここは色々と教えて置こう。


「エイティは、こうしてオレの食事の準備をしたり、物を運んだりしてくれている。」


「はい。」


「今は、オレと一緒にやったりしているが、そのうちエイティ一人で出来るようになるんだよ。今朝の朝食みたいに。」


「はい。」


「オレはそれを望んでいるから、それは『仕事』だ。エイティが仕事をしたら、オレはご褒美で食事だったり、お金だったりをあげるんだよ。」


「・・・」


少し考えているようだった。

エイティなりに理解してくれたらそれでいい。


「ご主人様が喜んでくださったらいいんですね?」


「まあ、そうなるな。」


「前のご主人様は私が悲鳴を上げると喜んでいたから、それが『仕事』だったんですね。」


「んー、まあ、広い意味ではそうなるな。」


「ご主人様は私が悲鳴を上げても嬉しくないんですね?」


「ああ、そうだな。どちらかと言うと、笑っていた方が嬉しいな。悲鳴はむしろ嫌だ。」


「じゃあ、私はもっともっとご主人様が喜ぶことを覚えます!そして、もっともっとご主人様を幸せにします!」


なんかプロポーズされているみたいで嬉しいぞ?


「期待しているよ。」


オレは照れ隠しで、短い言葉で答えた。



うん、コーヒーも美味しく淹れられるようになったな。

教えたことは忠実に実行するのはエイティの良いところの一つだ。



「ご主人様、今日はお出かけですか?」


「いや、今日は休みにしようと思ってる。」


「じゃ、じゃあ・・・」


遊んでほしいみたいだ。

まだ12歳だしな。


これまで愛情らしい愛情に触れてこなかったのだろう。

オレは親ではないが、しかも、17歳くらいらしいから、保護者と言うよりはお兄さん的な存在だろうけど、かまってやるか。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


ネットもテレビも無い世界で、遊ぶとなると、オレが経験がない。

意外とすることがないのだ。


とりあえず、動揺を歌って聞かせたりしたが、オレ自体がそんなに歌を知らない。

意外に受けが良かったのは絵本だ。

脳内通販から絵本をいくつか取り出したのだが、全部日本語だ。


オレは読めるが、エイティはこれで字を覚えてしまったらこの世界の文字が読めなくなってしまう。

この世界の本屋に行って、絵本を買うときっとこの世界の文字で書かれているだろうからオレが読めない。


これは問題として先延ばしにしている。

とりあえず、日本語の本で読み聞かせをした。



オレはリビングのソファの真ん中に座っていた。

エイティは、オレの脇にちょこんと座っている。


絵本を読んでいたが、1冊2冊が良いところだ。

それ以上読むのは中々しんどい。


『もう少し足りない』くらいでやめた方が、次回を楽しみにできるというものだ。

(と言う言い訳を自分にして、疲れたのでやめた。)


エイティは、髪がサラサラだ。

風呂に入った時にシャンプーしてあげているのもあるが、元々良い髪質だったのだろう。


そして、頭の形が良いのだろう。

ついついなでたくなってしまう。



なでなでなで。



絵本を読んでいるときに、ついついなでてしまった。


「私はご主人様から頭を撫でられるのが好きです。」


「オレもエイティの頭をなでるのは好きだよ。」


「やっぱりご主人様は私の神様です。もし私の前からご主人様がいなくなったら、もう私は生きていけません。」


人に頼ってもらうというのは嬉しいものだな・・・


よく考えたら、オレはサラリーマン時代から仕事仕事だった。

会社では、頼られているというよりは、仕事を振られている感じだった。


上司の分を回されたり、部下や後輩が手の回らない仕事のサポートをしたり・・・

その時その時は、最善だと思っていたけど、振り返ってみたらオレには何も残っていないな。


家族もいないし、友人もいない。

会社の人とはある程度、普通に会話したけれど、別に会社の人ってだけで友達じゃない。


こうしてエイティに頼られて、オレは完全に癒されているな・・・


エイティがどんな人生を歩んできたかは、聞いた話と身に付いている異常な常識からしか分からないけれど、幸せにしてあげたいな。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


今日は休日らしく無駄に時間をすごしている。

絵本に飽きたオレ達は(正確にはオレは)、エイティの服で楽しんでいた。


とりあえず、この世界の服ではないのだけれど、オレが出せる女な子物の子供服を色々出して、エイティに着せてみている。


1着1着エイティは感動したり、喜んだりしているのを見るのが楽しい。

もはや、お兄さんやお父さんを飛び越えて、おじいちゃんが孫に接しているのと似ているかもしれない。


セーラー服っぽい服を着せると実にかわいい。

近所でも話題の娘だろう。(どこの近所かは不明)


「ご主人様、こんな服初めてみました。」


「そうか、似合っているぞ。」


「ご主人様が褒めてくださるならこの服をずっと着ています。」


「うん、ありがたいけど、色々あるから、色々着てみよう。」


「はい!」



アイドル風の服もいいな。

普段ではいつ着ていいか分からないが、これはこれでかわいい。

パーティー的な所だったら合うのだろうか・・・

そんなパーティー的なものに出る予定は一切ないけど。


「なんだかにぎやかな服ですね。」


「そうだな。」


「どんな時に着る服ですか?」


「やっぱりエイティもどう思うか・・・」



ワンピースはシンプルだけどよい。

白いワンピースは、エイティの白い肌と合わさって何だか幻想的だ。

妖精のようじゃないか。

何かワンポイント欲しいと思ったら、花でも持たせるべきか・・・


「シンプルで好きです、これ。」


「うん、いいな。色違いも試してみよう。」


「はい。」


「こんな白い生地の服生まれて初めてみました。この世の服じゃないみたいです。」


・・・この世の服ではないんだよ。言わないけど。


パジャマもおもしろい。

だぼだぼのパジャマは、もうかわいがられるために存在している天使だ。

少しサイズが大きかったのか、胸元が開いているデザインなのか、胸元が少し緩い。

しゃがんだ時などに膨らみかけの胸がチラチラ見えてしまっているので、オレ以外には見せられない服だな。


「ダブダブですね。」


「これは寝るときに着るパジャマだよ。」


既にパジャマは2着渡していたが、これはそれらより大きいサイズみたいだ。


「大きくなってもずっと着れそうです。」


いい子だなー。



「こんなにたくさんの服をお持ちのご主人様って、服の卸問屋様ですか?」


「いや、オレの仕事は・・・魔法使いかな。」


「魔法使い様・・・」


「魔法使いってだけじゃ食べていけないから、手持ちのものを売ってお金にしているんだよ。」


「なるほど。それをお店に時々売りに行っているんですね!」


行動と商売が頭の中でつながったみたいだ。

エイティにとっては良いことだな。


オレの場合は、脳内ネットスーパーから品物を出しているので、原価ゼロだ。

買ってくれる人がいる限り食べていける。

何なら脳内セットスーパーから出したものを食べていけば、何もなくても生きていける。


でも、エイティはこの生き方は出来ない。

だから、住むところと仕事を確保できるようになってもらわないとな。


「前のご主人様のところには、たくさんの奴隷がいました。私は痛いことをされて悲鳴を上げる担当だったのですが、ご主人様と寝るとご飯がもらえる奴隷もいました。」


いっぱいいたんだ・・・


「その奴隷は良いご飯をもらっていたのですが、何を売っていたのでしょう。」


「そうだな。春を売って生きていたんだろうな。」


「春ですか。」


「もうちょっと大きくなったら分かるよ。」


「私よりおいしそうなご飯をもらっていて、羨ましかったんです。でも、今はもっと良いご飯が食べられています。」


「春をひさぐと、その時は良いかもしれないが、段々心が壊れていく。オレはエイティの心が壊れていくと嫌だから、エイティは違うものが売れるようになろうな。」


「ご主人様が嫌なら、私は絶対春を売りませんっ。」


意味は分かっていないかもしれないが、正しいことを言っているから良いだろう。



「私は何を売ることができるでしょうか?」


「そうだな、元手がかからないものが一番いんだ。ただで手に入るものが最強だ。」


「ただで手に入れたものが売れるんですか?」


「売り方次第だな。例えば、森に行くと木から汁が出ている。」


「へー。」


エイティは森に行ったことがないんだな。

例えとしては失敗したかな。


「木の汁は固めるとゴムになる。こんなやつだ。」


オレはテーブルの脚でゴムを使っている部分を指さした。


「タダだったゴムが、10個で銅貨1枚くらいで売れるれるようになった。」


「すごい。」


「風船になると、もっと材料は少なくてすむ。」


オレは風船を出してみた。


「ふうせん・・・」


「これを膨らませる。」


オレは風船を膨らませてみた。


「すごいです!ご主人様!」


オレは風船に棒を付けて、エイティに渡した。


「これは貴族の子供たちが欲しくなるので、1個で銅貨2枚にはなる。」


エイティは既に風船に気を取られている。

そこで、オレは膨らませた風船を20個ほどだし、魔法で部屋の中をくるくると循環させた。


「こんなショーをも町の中でやったら、いろんな人からお金がもらえて、銀貨数枚にはなる。」


「わあ!すごい!!」


「さらに、結婚式の飾りなんかで使うとしたら、風船は500個とか1000個とか必要だけど、金貨10枚にはなるだろう。」


エイティは小さく拍手している。


「同じゴムでも、使い方次第で、すごくお金になるんだ。」


「私も出来るだけ安く手に入る物を、出来るだけ高く売るアイデアを思いついたらいいんですね。」


「そうだな。他の人に真似できない、価値を上げる方法を思いつくことも大事だ。」


「ところで、ご主人様、『けっけんしき』ってなんですか?」



そうか、エイティは奴隷で檻の中で過ごすことが多かったみたいだから、結婚式も知らないか。


「好き合っている男女が家族になることだよ。」


「家族に!」


エイティが今日一番驚いた。


「わたし、ご主人様と結婚式したいです!」


「うーん・・・」


「私、ご主人様が大好きです!ご主人様は私がおきらいですか?」


「好きか、嫌いかで言ったら好きだし、むしろ大好きだよ。」


「じゃあ、ご主人様結婚式してください!」


プロポーズされたよ。

46年で初めての出来事だよ!

異世界すげえな!


でも、セリカとねんごろになってしまったし…


「エイティは将来好きになった男の子と結婚しなさい。」


「私はご主人様が一番好きです!ご主人様以外は嫌です!」


子供に『パパと結婚する』って言われるパパの気持ちを体験したよ!

エイティかわいいなぁ。


なでなでなで


とりあえず、頭をたくさん撫でておいた。


「♪」


エイティは頭をなでられて嬉しいようだ。

オレもなんだか温かい気持ちになった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



今日は、エイティの勉強もできたし、オレも休めたし、エイティのファッションショーも見れたし、良い一日だった。


「ご主人様、お湯が入りました。お風呂に入りましょう。」


風呂は、エイティが掃除もしてくれたし、お湯も入れてくれた。

エイティの仕事の一つだ。


この世界の人はお風呂に入らないみたいだから、きっとシャワーだけなんだな。

エイティはオレと同じく湯船につかる。

この世界の常識から外れてしまっているかなぁ・・・


オレは、エイティと脱衣所に行った。


エイティは遠慮なく脱ぐ。

オレの方が少し躊躇してしまう・・・


まずは、身体を洗うのだけど・・・いつもオレはここで困る。

身体はまだいいけど、大事なところは、どのくらいの圧力で洗ったらいいのか・・・

世のお父さんはどこでそんなのを習っているんだ。


「ご主人様、お風呂って気持ちいいですね。」


「そうだな。」


「私、このお屋敷に来てから初めてお風呂に入りました。」


「そうだったのか。」


確かに、初日はめちゃくちゃ警戒していたな。

今までは、どうしていたのだろう・・・聞くのが怖いから聞かないでおこう。


この家の風呂は、当然オレの魔法で出したものだ。

少し広めの湯舟にしたので、エイティと二人で入っても広々している。


「エイティ、20数えてからあがろうな。」


「はい、ご主人様。」


「じゃあ、エイティが数えてくれ。」


「いち、に、さん・・・」


エイティはこれまで教育を受けたことがなかった。

だから、数字を数えられないのも当たり前だ。


20まで数えると、12の後がたどたどしい。

日本語だったら、10の後だけど、この国の言葉はどうなっているのかオレには分からない。

オレは普通に日本語を話しているつもりだけど、この国が日本語で暮らしているとはとても思えない。


第一、文字は読めないのだから。


英語やヨーロッパのことば的に『twelve』とかあって、13から急に法則が変わって『thirteen』戸かになるようなことが起きているのだと予想している。


「じゅうに、じゅうに、じゅう・・・」


「13」


「じゅうさん!じゅう・・・」


エイティが20を数えるまでに、大体10分くらいかかる。

それだけつかっていたら十分身体は温まっているだろう。

早く100くらいまで数えられるようになってほしい。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



夜になり、オレは一人でお酒を飲んでいた。

オレは本当は46歳だし、この世界では17歳と言えば成人らしいので、全く問題ない。


脳内ネットスーパーから、紙パックのワインを出して飲んでいた。


ワインって難しい。

1本5,000円のワインを飲んでも、美味しくないと感じるときがある。


逆に、1800mlの紙パックで800円のワインを飲んだら美味しいと感じるときもある。

きっと、オレの舌はバカ舌なんだな。

美味しいと思ったものを飲む。

それがオレ流だ。


誰かがおいしいと言った高いワインは、別に興味がない。

リビングのソファに座って飲んでいたのだが、エイティがすぐ横にちょこんと座った。


「ご主人様、おさけっておいしいんですか?」


「んー、まあね。」


「私も一口だけ飲んでも良いですか?」


17歳は成人だとしても、12歳にはまだ早いかな・・・


異世界だし、どこかの男に酔わされてひどい目にあわされることを考えたら、少しくらい酒の味を覚えていても良いだろう。


「よし、一口だけだぞ。」


オレは、ワイングラスと言うよりは、コップなのだが、オレのワインをエイティの前に置いた。


「ほんの一口だけだからな。ごくっと飲むなよ?」


「はい、ご主人様。」


ごくっ


ごくって行ったな。完全に。


「だ、だいじょうぶか?」


「はい、ぶどうの味が少しします。甘いみたいな、少し酸っぱいみたいな・・・」


うーん、ワインってそんな味なのか。

オレとしては『うまい』なのだが。


まあ、変な事にはならなかったみたいだから、よしとするか。


「エイティ、大きくなって、知らない男が酒を勧めてきても飲んだらダメだぞ。」


「なんれれすか?」


「男はお前と仲良くなるためにお酒を飲ませるからな。」


「わらしは、ご主人様意外とはなかよくなりません・・・」


何か段々ろれつが回らなくなってないか?

エイティを見たら、顔が真っ赤だった。

子供に酒は早すぎたかー。


「ごしゅじんたま、なんだか楽しくなってきました。」


エイティは酔うと楽しくなるタイプみたいだ。

とりあえず、量はほんの少しだから、寝かせてしまえば大丈夫だろう。


「知らない男は、その楽しくなった時に、エイティの身体に触ったりするからな。将来気を付けるんだよ。」


「ごしゅじんたまは、わらしにさわらないのれすか?」


「オレは触らないよ。」


何だか背徳感と言うか、誰かに責められるのではないかと言う強迫観念でそんなことできない。この世界的に考えたら、12歳と17歳。

そんなに歳が離れているわけではないから、そこまで気にしなくてもいいのかもしれないが・・・


「わらしは、ごしゅじんたまにさわってほしいれす。」


そういって、オレの手を取り、胸のあたりに押し当てた。


「ごしゅじんたまが、さわってくれたら、ほかほかと温かい気持ちになります。」



言われると嬉しいものだな。

膨らみかけの胸もなんだかドキドキするし。


「あらまをなでられると、ふわーとして、ほわーっとします。」


『あらま』は『頭』だな。

エイティの頭はなでやすいし、オレもなでるのが好きだ。


「ごしゅじんたま、ずっといっしょにてくらはい・・・」


オレの指を口に咥えながら、エイティは寝てしまった。

子供に酒は早すぎたな。

反省だ。


オレは、エイティを抱きかかえて、ベッドに連れて行った。

これも、『お姫様だっこ』と言うのだろうか。


今日出してあげた少しぶかぶかのパジャマは、エイティのかわいさを引き立てていた。

オレは布団をかけて、部屋を後にした。


あとは、一人でワインの続きを楽しんだのだった。



明日は、本屋にでも行ってみるか。

エイティに文字を教えないと・・・


夜は過ぎていった。


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