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奴隷と買い物にいく

オレはこのところこの町について調べている。

『都』は、町の事みたいだった。

その奥にまた壁に困れた別の町があった。

そこには王様が住んでいて、王城もあるらしい。


つまり、そこが『王都』であり、兵もいるだろう。

セリカの村を襲ったのがそいつらどうか調べることにしている。


ただ、中々入れない。

中の様子もわからない。

だからオレはここ数日壁の外から、壁の外の町から様子をうかがっていた。


まとめると、オレは遊んでいない!

楽しんでいるわけじゃない!

サブタイトルも『奴隷と買い物にいく』じゃなくて、『王都の調査』とかにしてほしい!!




そんなことを考えながら、オレは朝食を準備していた。

エイティが来てから約1週間が過ぎた。

朝食は、一緒に作ることができるところまで成長した。

さすがに一人だとまだ心配かな。


12歳くらいって要するに小6くらいだよな。

一人で朝食の準備ができたら、それはすごすぎる。

まあ、朝食はパンと目玉焼きくらいだから、任せても大丈夫かも。


エイティは、オレと同じテーブルでご飯を食べることにも慣れてきた。

本当の意味で慣れたかどうかは分からないが、普通に座ってくれる。

もしかしたら、頑張っているのかもしれない。

それも日々の中で慣れていくだろう。


エイティの身体も少しずつ肉が付いてきた。

ここに来た時は、本当にガリガリだった。

あんまり食べられなくて・・・あまり食べない生活を強いられていたんだろう。

カロリーも栄養も多めの食事をしばらく食べさせていた。


脳内ネットスーパーの食材は栄養が多いみたいだ。

食材もあるので、簡単な料理はレシピを脳内のサポートデスクで教えてもらっている。

動画で見れない分不便だ。

クックパッド使いたい・・・


オレは朝食の途中で、エイティに切り出した。


「エイティ、今日は町に行くぞ。」


「はい、いってらっしゃいませ。」


「いや、そうじゃなくて、お前も一緒だ。」


「え?私がお供してよろしいんですか?」


「ああ、食材を買いに行けるようにならないとな。」


「・・・はい。」


あれ?喜ぶと思ったのに、あんまり乗り気じゃない?


「乗り気じゃなかった?」


「いえ、あの・・・あんまり外に出たことなくて・・・その少し怖いと申しますか・・・」


そうか。

聞けばずっと家の中にいたみたいだしな・・・

これも練習か。

メンタル的には大変なのかもしれないけれど、少しづつ変わっていかないと一人で生きてはいけないだろう。


「今日は着いてくるだけでいいよ。怖いことは何もないから、大丈夫だよ。」


「はい・・・よろしくおねがいします。」



少ししぶしぶみたいだけど、エイティと出かけることになった。


オレは、ここで異変に気づいた。

オレの顔の皮が異常に突っ張っている。

頬のあたりが特に。


これは・・・にやけているんだ!

なんだ、オレはにやけているのか!?

喜んでいるのか!?


こんな子供と町に買い物に行くのが!?


オレにはセリカと言う嫁もいる。


どうしたんだ、これ。

浮気なのか!?


いやいや、エイティは子供だし!


オレはオレであたふたしていた。

エイティはエイティであたふたしていた。

なんだこれ。


-----------------------------------------------------------------------------------------


この町ではオレは仕事をしていない。

しかも、お金はほとんどない。


お金は脳内ネットスーパーで出したものを売っている。


エイティには、働いてお金を稼ぐことから覚えてもらわないといけないけれど、まずは買い物することを覚えた方が理由も分かるだろう。


奴隷って、基本的にご主人様に依存して生きていくんだろうからな。

『ご主人様に嫌われる=死』みたいな構図が出来上がっていて、そこから脱却できないとずっと奴隷のままだ。


今日はいくらか塩と胡椒、たまごあたりを取り出して、売ることにしよう。

これらを袋に入れ、出かけることにした。



「シルフィ出かけよう。準備はいいか?」


「はい、ただいま。」


シルフィはパタパタと駆け寄ってきた。

少し髪が乱れている。

準備の途中でもオレに呼ばれたから急いできたのだろう。


オレは、ブラシを取り出して、髪を整えてあげた。


「ご主人様、ありがとうございます。」


「ああ、いいんだよ。」


「今までこんなすごい生活をさせていただいたことがないので、毎日本当に夢のようです。」


「そうか。」


喜んでいるのならば、それでいい。


「私、お姫様にでもなったみたいです・・・あっ、すいません。私奴隷なのに!」


「いいんだよ、それで。」


否定するとまた話がややこしくなってしまう。

さて、行くか。



玄関を出るとき少し躊躇していたみたいだが、エイティも家を出られた。


オレは、買取店にいくことにした。

買取店と言っても、売店と同じだ。

買取専門でやっているような店はなかった。


以前俺が探して見つからなかったのもそのためだ。


買取と言うより、店にとっては『仕入れ』なのだ。


だからこそ、オレは質のいいものを安く提供しないと買い取ってもらえない。

最初は塩や胡椒、たまごなんかは買い取ってもらえないと思った。


この世界では、精製の能力がそれほど高くなく、不純物が多いみたいだった。

だから、オレが持ってくるものは高品質みたいで買取価格も高かった。


その分、普通の人は買えないらしく、少しいいお店に行かないと買取自体断られてしまうのだった。


今回エイティには『仕事』として、荷物持ちを頼んだ。



ん?

エイティが少し離れて後ろから着いてくる。


人はそこそこに多い。

はぐれてしまったら大変だ。


「エイティ、もう少し近くにおいで。」



「は、はい。・・・での、ご主人様、私と一緒でかまわないのでしょうか?」


「どういうこと?」


「奴隷の私と一緒に歩いていたら、ご主人様も低く見られてしまうかもしれません・・・」


気を使ってくれたのか。




漫画とかみたいに、奴隷は首輪をしていたりしない。

ただ、奴隷は奴隷。


服がボロボロだったり、身体がボロボロだったり・・・


焼印みたいなのは押されているみたいだけど、それ以外は首輪のような象徴的なものではなく、立ち振る舞いや服装そういったもので奴隷は奴隷だと周囲から分かるようになっていた。


エイティに関していえば、傷は治したし、焼印自体も修復したからない。

服もオレからしたら普通の服だから誰も奴隷だとは思わないだろう。


あとは、エイティの心の問題なのだ。

これは時間のかかる問題。

オレがどうにか力づくでやってしまってはいけないのだ。


「いいんだよ。オレはエイティと一緒に歩きたい。他の人がどう思うかはどうでもいいんだ。」


「はい、ご主人様がそうおっしゃるなら・・・」


オレとエイティは横に並んで歩いた。

相変わらず、居心地は良くないようだけど、これも慣れてもらわないとな。


歩いて30分ほどかかっただろうか。

少し遠いが、比較的大きな商店についた。



「おじさん、こんにちは!」


「お!ぼうず、また良いもの持ってきてくれたか!」


体格のいい店主の店に入って最初の会話だ。

たしかに、オレは15歳くらいの身体だから、最初はなめられていたけれど、色々品物を見せていたら、収納魔法が使える色々なものを持った魔法使いだという認識でちゃんと交渉に応じてくれるようになった。


変わり身が早いところ、商売人だと言える。

オレにとってはありがたかった。


ちなみに、今回は最初から商材を取り出してから持ってきたのは、エイティに物を売ることができることを覚えてもらうためだ。

オレがここで品物を出すことは簡単だが、エイティにとっては『他人事』。


自分が持ち運んだものが売れるから『自分事』として認識することができるだろう。


「今日はこれです。」


エイティに店主へ品物を渡すように促した。


「お、なになに?塩か!こりゃまた白い!」


今回は、普通の食卓塩じゃなくて、海水から作った塩を持ってきた。

胡椒は、瓶の中で実の状態で入っていて、ふたにミルが付いていて、いつでも新鮮な香りが楽しめるタイプの胡椒だ。


たまごはどんなものがいいのか、まだよくわからないので、黄身がオレンジ色がかった良さげの物を持ってきた。


「ぼうず、またすごいのを仕入れてきたな。全部買い取らせてもらうよ。全部で金貨2枚と銅貨5枚でどうだい?」


割とたくさん持ってきたので、金貨1枚くらいかな。

それぞれ計算してみたら、塩は1kg1,000円位で買ってくれている。

胡椒は、1本2,000円くらい。

たまごは10個で1,000円くらいかな。


多分、合計で2万5000円くらいになってる。

十分すぎる。

もう少し少ない量でも十分だったな。


オレは、もらったお金をエイティに手渡した。


「今日の利上げだ。」


エイティは、両手で受け取りしばらくまじまじとお金を見ていた。


なんか固まってるけど、少し口元が笑顔だからしばらくそのままにしておこう。



オレは、そのままおじさんと話して、おじさんがほしい商品の傾向を探るのと、これらの商品は、一般人が買うには高級すぎるはず。

その売り先を聞き出すことにしよう。


「おじさん、こういった塩とかは、誰が買うの?」


「あーだめだめ、直接売りに行こうったって、そもそも受け付けてないよ。枠がないからね。」


「いやいや、おじさんを飛び抜かして売りに行こうっていうんじゃないよ。どんな人が欲しいのかわかったら、他の商品も持ってこれるかと思って。」


「なるほどな。そいつはありがたい。じゃあ、ちょっとだけおしえてやるか。」



基本的に、この商店のおじさんはいい人なんだな。

色々教えてくれた。


まず、これらの塩や胡椒は貴族向けの店で売るのだそうだ。

そして、その店は、内側の壁の中にだけにあるのだそうだ。


おじさんは、内側の壁の商人に品物を売っているらしい。


…と言うことは、内側の壁の中の商人なら壁を行き来していても怪しくないのかもしれない。



ここからは、おじさんの利益になる事も話しておくか。


「そっか、貴族様に売るための商品なら、ふわふわのパンとか、珍しいドレッシングとかもいいんじゃない?」


そう言って、オレは、サンプルとして、食パンとマヨネーズをおじさんにあげた。

もちろん、脳内ネットスーパーから出した。


「なに、くれるのか!?これ!?」


「ああ、おじさんが良いと思わないと、売るときに気合入れてうってくれないだろう?そしたら、オレの商品も買ってくれないじゃない。」


「そりゃまたすげえ考え方だな。ぼうずは良い商売人になるよ。」


まあ、昔はちょっとだけ営業していたからな。

ただで渡せるものは渡して印象を良くしておくのも戦略の一つだ。


もちろん、おじさんに商品の良さを知ってもらうのも狙いの一つ。

品質で売る場合、その価値を知っている人しか売れないだろうし、買えないだろう。


まずは、このおじさんに良さを知ってもらうのが一番というわけだ。

脳内ネットスーパーは元手タダだし。



「あの、ご主人様。」


「どうしたエイティ。」


ここであちらの世界からエイティが帰ってきたみたいで話しかけてきた。


「このお金、私のようなものが持っていても良いのでしょうか?」


「ああ、今日売れた品物はエイティが運んでくれたものだ。うちに帰るまで持っていてくれ。」


良い驚きとか、良いワクワクを経験していったら、色々なことに興味がわいてくるかもしれない。

なんかやべえな。

すでにオレはエイティの保護者の立ち位置だ。意識的に。



オレは、商店のおじさんに挨拶をすると、エイティと2件目の用事のために移動した。

2件目はすごく簡単だ。


1件目で稼いだので、2件目はお金を使うこと。

そう、ランチに行くのだ。


町中の出店なんかを見て回りながら、ランチが食べられそうな店を見つけた。

どうせなら、オレが作れないような料理が出る店がいい。


選んだ店は定食屋みたいな店だ。

2人で5,000円くらいはするだろうちょっといい店を選んだ。


今日は2万5000円位稼いだけれど、全部使うように教えてしまったら、エイティは今後一人では生きていけない。


お駄賃は1,000円くらいあげるとして、ご褒美としてランチに連れて行くことにしたのだ。


「よし、この店にしよう。」


「はい、では、私はお店の裏でお待ちしています。」


「そうじゃなくて。エイティも一緒に来るんだよ。」


「でも、私みたいな奴隷がこんなきれいなお店に入るなんて・・・」


「誰もエイティの事を奴隷だなんて見てないよ。」


エイティはきょろきょろと周囲を見渡した。

特に誰も注目していないし、普通の人通り、普通の日常がそこにあるだけだった。


身ぎれいにしているし、髪はつやつや。

服はそこらの人より良い素材の服だ。

エイティの服は、女性ものと言うことでフリルもついているし、かわいい感じだ。

肌も白くきれいで、傷など一つもない。

もちろん、奴隷の焼印もない。


これらの事は、何度かエイティにも説明した。

エイティはしばらくして、両手を軽く握って、奮起したみたいだ。


「ご主人様、お供します。」


「ああ、そうしてくれ。」


オレは笑顔で答えた。




お店に入ると、お店の人にテーブルまで案内されてしまった。

しかも、座るときには椅子を引かれてしまった。


ご褒美は、ファストフードじゃ何だから、定食屋くらいと思っていたけれど、ここはどちらかと言うと、レストランって感じだった。

しかも、頭に『ファミリー』が付かない方のレストラン。


体感での5,000円はもっと価値がありそうだ。

オレは価値の分からない男だったようだ・・・


おっと、エイティがパニック気味だ。


「ごごごごごごごしゅじんさま・・・ほほ、本当に私のようなものがこんなお店に」


きょろきょろしている。


「エイティ、実はこんなしっかりした店だとはオレも思っていなかったんだ。でも、せっかく入ったんだし、どんな料理が出てくるのか楽しんでやろうじゃないか。」


オレはニヤリとして言った。


エイティは少し落ち着いたみたいで、上目遣いで言った。


「ご主人様ったら。」




オレはメニューが読めないので、適当に2番目のやつを選んだ。

エイティもオレにまねた。


よく似こまれたシチューと固めのパン、そしてサラダのランチだった。

シチューは何の肉だろう。

あんまり食べたことがない味だったけれど、美味しかった。


パンは日本と違って固かった。

あんまり発酵させないのか、ふくらみもそんなに大きくなかった。


こういうのを見ると、食文化の違いを感じる。


食後にはデザートが出た。


なんか、オレンジのケーキっぽいのだった。

エイティはまだまだ慣れないフォークとナイフで一生懸命食べていた。


何かすごくほほえましい。


「ご主人様、これすごく甘いです!美味しいです!」


「そりゃあよかった。ゆっくりお食べ。」


たまに切ったケーキが、皿からこぼれたりしていた。

慌ててお皿に戻す姿がほほえましい。


まだ12歳くらいなんだ。

多少失敗しても誰もなんとも思わないのに・・・



会計の時、オレはわざとエイティが持っているお金から支払いを済ませた。

うちに帰ってから、お金を稼ぐことと、使うことを話すためだ。


実感があることの方が覚えやすい。


店を出ると、オレはエイティに話しかけた。


「じゃあ、帰ろうか。」


そういって、手を差し伸べた。


「はい。」


エイティはその手を取った。


オレたちは、手をつないで家に帰ったのだった。


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