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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

辛口

世界でいちばん頭のいいキツネの話

どうぶつ達の王国に、世界でいちばん頭のいいキツネがいました。


キツネの言うことはかならず正しいので、みんながキツネを尊敬していましたが、キツネはいつでも「ぼくなんか全然さ」と謙遜するのでした。


キツネの日課はどうぶつ達の様子を見て回ることです。



あるとき、サルが硬い石で木の実を叩いては「こんなに増えた」と喜ぶのを見ましたが、その場は黙って通り過ぎ、あとでウサギに言いました。


「木の実が増えるもんか。どんどん小さく割れていくだけじゃないか」


するとウサギが、ちょっと首をかしげてから言いました。「そうだね。キツネくんはすごいや」


「ぼくなんか全然さ」キツネが言いました。



あるとき、サルがきれいな石を集めて王様ごっこをしているのを見ましたが、その場は黙って通り過ぎ、あとでカラスに言いました。


「石ころなんか集めたっておなかがふくれるもんか」


するとカラスが、ちょっと首をかしげてから言いました。「そうだね。キツネくんはすごいや」


「ぼくなんか全然さ」キツネが言いました。



しばらく経って、キツネが様子を見に行きますと、どうぶつ達がよってたかってサルをいじめています。


「木の実が増えるもんか」「石ころでおなかがふくれるもんか」


硬い石やきれいな石を投げつけられ泣きながら逃げていくサルを見ても、キツネは何も言いません。


世界でいちばん頭のいいキツネは、みずからサルを侮辱すれば恨まれるのもキツネ自身だと知っていたのです。


そして、どうぶつ達がキツネの言うことをちっとも理解していないけれど、尊敬するキツネに軽蔑されたくないと思っていることも知っていました。


「ぼくなんか全然さ」と言いつづけるかぎり、キツネはみんなの王様でした。



ところがあくる日、ほんものの王様であるライオンが王国の視察から帰ってきて、キツネはぺろりと平らげられてしまいました。


みんなの中に隠れていなければ、しょせん一匹のキツネですからね。

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