6話 垣間見えた真実
直人が鑑定できると分かり、クラスメートたちは大慌てで彼のもとに行き、自分の能力を鑑定してもらっている。
その瞳は自分が英雄になれることを夢見ているようだった。
僕は自分の技能がわかっているので、その様子を遠巻きに見ていた。
「ある意味いつもの光景だな。」
実際、彼はかなりの美形として学校中に噂が広まっていて、日ごろから女子たちに囲まれることも珍しくはない。......今回の場合で言ったら男子も混じっているので、いつもより捌くのに手間取っているようだったが。
そんなこともあり猶更行けないな、などと思っているうちに皆の鑑定が終わり、直人が疲れた様子でこちらに歩いてくる。
「お疲れさん、大変そうだったな。」
「......仕方ないさ、出来るのが僕しかいなかったんだからね。あ、でも斂二たちはまだやってないのに、来なかったよね。」
「そりゃ、いつものお前を見てたら行こうなんては思わないんだよなぁ......」
照介が苦笑しながらそうぼやく。
実は、照介や怜、それに昌も僕の近くで直人の様子を窺っていて、まだ鑑定していない。
皆、同じことが頭に浮かんでいたらしく、つられて苦笑していた。
ちなみに千陽も近くにいたが、それはただ単に真っ先に鑑定してもらっていたからであった。
「みんな、ありがとう。じゃあもうひと踏ん張りしますかね。」
「直人、大丈夫なの?」
心配そうに怜が聞く。
「ああ、大丈夫。なんともないよ。」
「それならよろしくね。」
直人は怜に微笑みながらそう返すと、僕たちの鑑定をして回る。
そして、僕の番がくる。
「斂二は......ステータスは筋力B、魔力A、体力C、精神力S、幸運は......なんだろうノイズがかかって読めないや。持っている技能は吸収?だね。......いろいろわからない感じだけど、終わり!あーやっと全員終わった~」
直人はそのまま大きく伸びた後、壁にしだれかかっていた。
(ふむ、幸運が読めないのはウルズを吸収したせいか?まあ、そ個までひどいことはないとは思うけど......)
きっともし、この時の鑑定結果を正常に直人が読めていたなら、このあとの僕らの行動も変わったかもしれない。
なぜなら僕の幸運はG、基本Eまでしかないステータスの最低値を下回る、最悪のものであり、それを知るのは最悪の事態のあとだった。
一応説明部分です!
ステータス(ランクが上からS、A、B、C、D)
・筋力 力と体の強さ(物理攻撃力、防御力)
・魔力 魔法の威力、抵抗力(魔法攻撃力、防御力)
・体力 生命力(HP)・スタミナの多さ
・精神力 マナ(MP)の多さ・魔法の発動効率
・幸運 そのまま
最初は説明パートもいれようかな、と思ったんですが、結局こんな漠然としたものになってしまってすいません......
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