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3話 明かされた現実と穏やかな時間





「え?どういうことだ?もう一回言ってくれないか?」



「うん、やっぱりそうなるよね。じゃあもう一回言うよ?()()()()()()()()()()()()()()()()()。......きっとなっど言っても変わらないとは思うけど、もう一回言うかい?」


白いローブで口元以外はわからないが、柔らかな苦笑いを浮かべているような気がするウルズ。


そこでようやく、ショックで一旦はフリーズしていた頭が働き始める。



「......いや、流石にもうわかったよ。何が起こったんだ?......いや、まさか......」


「そうそのまさかだよ。君の世界で最期の最後まで正しいものを見ていたのは君一人だけだったんだ。あの悪魔......こちらの世界で言う所の魔物、レッサーデーモンが現れていたのも、空が赤く染まったのもある前兆なんだ。」


「ある前兆?」


「......狂暴化させた魔族と凶暴な魔物、そして堕ちたボクの味方()()()下級神たち、《災厄》の1柱を乗せた巨大生物兵器艦隊、《死の呼び鈴(デスマーチ)》の侵略の前兆さ。その侵略の代償に大陸1つと夥しい数の魔族たち、更にはこの世界に力関係を調整するシステムに使う筈のリソースまで食い散らかした最悪の兵器が君たちの星、そして銀河までもを破壊してしまったんだ。」


そう言い切ったウルズがこちらを見て息をのむ。


きっとこの時の僕の顔は見るに堪えない酷いものだったのだろう、と思う。


憎悪、哀惜、無力感......他にも色々な感情が混ざり合い、言葉が出なかった。


「......ごめんね。ほんとに、ごめん。ボクもこんなところにさえいなければ......」



その謝罪は消え入りそうな声で紡がれた。


それが一瞬、薄っぺらいようなものな気がして叫びかける。


しかし、顔を上げた時、出来なくなってしまった。



ウルズが頭を下げていた。


しかも、顔を隠していた部分のフードから雫が垂れている。



「泣いているのか?」


唖然としつつそう溢す。



すると、ウルズの身体が一度震えるとともに顔を上げる。


その顔を覆うフードは捲れていて泣きじゃくった後の酷い顔を晒す。


その顔で口元だけで笑いながら、


「ボクらも元は人間だからね、感情はあるんだ。だから涙を流したりもするんだ。でも、きっと君に起こったことは許してはもらえないだろうし、許されるつもりはないよ。」


そう話すウルズは涙を指でこすり、一息つき話を続ける。


「もう数百年前の記憶だけれど大切な人が殺された時のことは未だに忘れることはできないし、やった奴も許せない。こんな奴が神を名乗るんだから滑稽でしょ?」


「......いや、そのほうが安心できるかもな。そういう神様ならきちんと罰も下してくれそうだし。」


そう言うとウルズは驚いた顔をしたと思うと緊張から解放されたような見ているこっちが息をのんでしまうような笑みを浮かべる。


「......君はちょっと女の子に気を付けたほうがいいかもね。すぐに騙されそうだ。」


「騙したのか?」


「いや、そうじゃないけど、心配になってね。あと神は嘘をつけないんだ。嘘をついた時点で世界から拒絶されてしまうからね。」


......サラッと恐ろしいことを言いながら悪戯っぽく笑うウルズ。


なんとなく気まずくて目を逸らすと結界の一部が消えかけているのを見つける。


「なあ、やっぱりもうアンタはながくないだろ?」


結界の外で見たウルズの身体は今にも消えそうだったのを思い出す。


「......うん。だからあともうちょっとしたらお別れだね。だからさ、一つお願いがあるんだ。いや、二つかな?」


「ん?なんだ?」


問い返すされたウルズはちょっと照れたようにした後に重そうな口を開く。


「友達になってくれない?それでできれば最期の話相手になって欲しいんだけど.......いいかな?」


そんななんとも人間らしいようなことを聞く神にちょっと脱力しながら、「いいよ」と答える。



告白の返事を待つような感じで待っていたウルズは心から嬉しそうな表情を浮かべ「ありがとう!」と傍に寄ってくる。





その後、ウルズとなんてないことで笑いあうような穏やかな時間を過ごした。






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