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2話 夢と現実


平穏な日常。


それが壊されるのはあまりに一瞬のことであった。





僕たちにとって崩壊の始まりは昌のある一言からだった。







「なあ、先生の背中になんかくっついてない?」


昌にしては珍しく真剣な、訝しむ声に何事かと目を向けると、




「え?あれって......」





そこにいたのは顔は醜悪、体は3頭身ほどで、特徴的な禍々しい双角のバケモノ。



そうその姿は......



まるで悪魔じゃないか、そう僕が言い切る前にさらなる変化が起きた。



蛍光灯の明かりが突如消え、今まで何故か誰も気づいていなかったことに気がつく。


「紅い......」


空が夕暮れなどとは程遠い紅色に染まっていたのだ。



「赤い?何が?」


惚けた様子で尋ねる昌。


周りも不思議な顔をしている。


「いやだって、見てみろよ!」


僕が窓を指さし、昌たちが窓のほうを確認する。


しかしその表情は不思議そうなままだ。


「どうしたんだよ?熱でもあるのか?外は全然赤くなんてないぞ?」


「え?」


昌は目がおかしいのだろうか?


そう思いつつももう一度確認を―――












僕の記憶はそこで途切れている。




----------------------------------------------------------------------------------------------



「あはは、思い出したみたいだね、レンジくん?」


「あ、ああ、でもどうしてこんなところに?」


突然のキャラの変わりように吃驚しながら彼?彼女?に問いかける。


「ん?こんなところとはひどいなぁ。まぁ実際ここはボクの牢獄・・なんだからひどいところか~」


あっけらかんと言い放つ神・ウルズの言葉に僕は耳を疑った。


「牢獄!?」


「ああ、牢獄だよ?あーでもボクが見えないようにしてるからわからないかもね。見たいかい?」


「いや、いいです!」



急いで拒否する。


「まぁでも見てもらわないと話が進まないから、結界解除っと」


話を完全にスルーしたウルズが何か呪文のようなものを唱えると周りを覆っていた白い光が輝きながら消えていく。


その眩しさに眼を瞑る。


「もう大丈夫ですよ。目を開けてみてください。」


ウルズに言われ目を開ける。


「......洞窟?」


そこは仄暗い洞窟の中だった。


そしてウルズの声がしたほうを向くと、そこにはさっきまで着ていた白いローブが原型がなくなるほど斬り刻まれ、切り口から白い光を漏らす美女が鎖で吊るされていた。


「......まさか、ウルズ......なのか?」


辛うじて出てきたその言葉に美女が薄く微笑みながら、


「そうだよ。......ぐっ......やっぱり力を使うと堪えるね.......」


とかすれた声で答える。彼女の苦悶とともにかなりの量の光が口元からこぼれる。


きっとあの光は彼女にとっての血にあたるものだろう、とはすぐに予想できた。


そうして眺めているとさっきの白い場所―――彼女の言う通りなら結界に再び戻される。


「......どうしてあんなことに?」


「ん~とね、僕はもともとこのセカイの3大神だったんだ。その時は生命と豊饒の女神なんて呼ばれてたんだ。でもね或る時、仲良くしてた上級天使の子にね裏切られちゃってさ~気が付いたらこんなところに繋がれてて。.......というか僕の話はあとで、まずは君の世界の話をしようか。」



神が現れる時点で何となく察していたのだがこれはやはり異世界転移というやつであろう。


時々読むライトノベルでたまに見る。


「.......ふむ、やっぱり君たちの文明は面白いね、魔素マナがない世界で世界間転移のことを思いついてしまうとは。」


僕の記憶なのか思念なのかを読んだウルズが感心したように言葉を漏らす。


「まぁそれなら話は早いね。君はその異世界転移をしてボクらのセカイにやってきたわけなんだけど.......一つ言っておかなくちゃならないことがあるんだ。」




変に緊迫した空気の中、ウルズが若干口元を苦そうにしながら吐いた言葉は.......




「君の世界はね、もうないんだ。ボクはね君の世界の残滓を掬い上げてこのセカイに呼び寄せた。それが君たちなんだ。」




あまりにも残酷な現実を告げる言葉だった。



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