言の葉の毒にて、目を覚ます
不浄の夜の始まりは、ファストフードのハンバーガーからだった。
大口を開けて、それを貪る。
終えると、関心という名の棒切れを杖にして、ネットの世界に潜り込んだ。
この時点で、僕は気づく。これは不浄な夜なのだと。
ネットという名の楽園は、決して僕を飽きさせることはない。
コンテンツは僕によって次から次へ消費され、時には誰かの渾身を読み流す。
それでも、コンテンツが生産されるスピードは、僕の消費を遥かに凌駕するわけだから。
不浄の夜には終わりは来ない。
ああ、生み出す者達よ。哀れなり。
また僕の時間を奪いに来たのかい?
PCの前に張り付いて、呼吸をしているだけの男が、時折戯言を喋る。
彼に価値は無く、彼を喜ばすだけの作品にも意味はない。
今、彼に最も必要なのは、彼の脳天を貫き、
脳髄を鷲掴みにして引っ張り出すかの如く衝撃。
そしてその、ぽっかりと空いた頭の中に、無為の悔恨を植え付けてやることだ。
それは、エンタメでも構わない。
寧ろ、彼の蕩けた頭が理解できるのは、もはやそれしか無いのかもしれない。
さあ、言葉の中に毒を撒け。
音の隙間に、酸を詰め、
映像のナイフで彼を刺せ。
これが、エンタメの役割なのではないだろうか。
ー終ー