幕間 ~名もなき悪魔王~
悪魔王。この世に存在する悪魔族の頂点に君臨する絶対王者。それが故にこれまで自分より上という立場が存在しなかった。
つい最近、誰かが目の前に突然現れ、こう言った。
「新たな魔王が生まれ、その存在はこの世において脅威となるだろう。お前がその魔王を導いてやるのだ。詳しいことは書き留めておいたから読むが良い。」
と。
つまりこれからは違う。自分より上の立場が生まれる。今までに無かった事だ。心の中では自分より上の立場、つまり頼れる存在が欲しかったのだ。その時の私はとても喜んだ。メモ書きもしっかり読んだ。準備万端になるまで時間はかからなかった。
そして召喚される。召喚されると目の前にはいかにも魔王と言って過言ではない、そんな風格を備える人物。いや、魔王が居た。椅子に腰掛けて。
話を進めたら我が主と認めるにふさわしい魔力と名前を授けて下さった。この上ないうれしさであった。本来魔物は名前を持つことはない。なぜなら名付けをするのには膨大な魔力が必要だから。だがこの我が主と認めるにふさわしい魔力、いやそれ以上の魔力を有しているようだった。
それに私は久し振りに気分が高揚している。今までに無い新鮮な生活を送れる気がするから。我らが魔王様の手によってこれからの世界はまた違う物になるであろう。
そして魔王様に仲間を連れてくることを承諾された。取り急ぎ集めて魔王様に私は使えると思っていただきたい。そして私は大急ぎで仲間を連れてくるのであった。