物語の前に
ここに一人の男がいる。年齢は17歳、花の高校二年生である。本来ならば、『目に映る全てがキラッキラ』と言った具合に青春を謳歌しているはずだが、残念ながら彼にはその素質がなかった。青春を謳歌するに当たって必要とされる素質、それは学業であったり部活動であったり、あるいは顔とかコミュニケーション能力などでもいい。とにかく何かしらが何かしらに秀でていなければならないのだ。
ところが彼には秀でているものが何一つなかった。ようするに平凡なのである。通常学園という限られたコミュニティにおいて、平凡な人間は非凡な人間と相対されることで平凡以下であるかのように見られてしまう。そのため彼は実質平凡以下の青春など謳歌しようがない人間であった。ただ、個性のない人はいないというやつか、そんな彼にもたった一つだけ平凡ではない一面があった。
何を隠そう、彼は女を愛でる男であった。
『なに、ただの女好きではないか』そんな声が聞こえてきそうだがちょっと待って頂きたい。女を愛でる、というのは女好きというものとは似て非なるものだ。その言葉通り、女を愛でているのである。
例えば『花を愛でる』と言えば、それは花が好きであることには違いないが、綺麗な花を取っかえ引っかえの浮気性という意味ではないだろう。単純に花という生物そのものに興味を持ち、また好いているというニュアンスになるはずだ。彼の『女を愛でる』という考え方もそれと同じだ。女という生物そのものに関心があり、またその存在を好ましく思っている。決して女をいやらしい目で見ているというわけではない。むしろ性欲の対象として見ていないほどである。
とまあ長々と説明してきたが、平凡な彼の非凡な趣味についてある程度は理解していただけただろうか。これから語られるのはそんな彼の平凡でいて非凡な日常である。ちなみに趣味とは言っても性癖とは異なるので、文章にモザイクを掛けたくなるような、そんな下品な展開には断じてならないので安心して欲しい。
しかしなんだ、これから物語を書き進めようというのに主人公が『彼』では味気ない。そうだな……では、女を愛でる男ということで、仮に小那古愛夫と呼ぶことにしよう。如何にもセンスのない、軽率なネーミングだと思われるかも知れないが、ネーミングというものはこれくらいシンプルな方がかえって良いのである。
では改めて、女を愛でる男こと小那古愛夫の平凡でいて非凡な女を愛でる日常へ。
ありがとうございます!
と、いうことで…………。
おそらく不定期連載、始動します。
筆者は常々思うのです。女の子はやっぱり特別だと。
二次元や三次元の世界には色々な女の子がいますよね。そんな女の子達の主人公の話を書きたいと思ったわけです。筆者が現実の女の子と関われない分、愛男くんに関わってもらおうと思って。
一応言っておきますが、筆者は変態性癖ではないですよ。まじで。
ではみなさん、第一回はこの辺で終わらせていただきます。
念のためハードルは低めに設定して置いて下さい。