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中級魔導士は地球に転生致しました  作者: A×A
幼稚園生  僕とお隣さん騒動
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第四話  僕と人見知りガールとほーれんそー

 

 セミがやかましく鳴き立てる中、彼らはやってきた。


 荒地の件に関しては、別のいい場所を見つけ、とうに諦めがついてた。

 むしろ、家がどんどんと造られていく姿を見て感心していたくらいだ。


 あまりの暑さに陽炎が出来る中、彼らはやってきた。


 ぴーんぽーんと、チャイムが鳴った。

 しばらく経った後に、母のあーくんと呼ぶ声がした。


「なーに? おかあさん」


 僕はとてとてと玄関に歩いていく。


「あーくん、挨拶して。お隣に引っ越してきた、光坂さん家よ」


 外には、若い女性。

 僕の母とは違って落ち着いた印象の人だった。

 髪は後ろでひとつにまとめている。


「よろしくね、有馬くん。ほら、まり。こんにちわは?」


 その後ろに隠れている、水色のワンピースを着た小さな女の子。

 女性の服の袖をギュッと掴んで僕を覗き見る。

 丸い目が、更に丸く開かれた。


 なんてことだ。

 よりによって。


 動揺して固まっていると、母に肩をぽんと叩かれた。

 慌てて挨拶する。


「……あーくん」

「こんにちは、まりちゃん」

「……」

「まり、まり。有馬くん、挨拶してきたよ?」

「…………こんちわ」


 そう呟くように言うと、まりという女の子はぴゃっと引っ込んでしまった。

 女の子の、ふたつに束ねられた髪がふわりと揺れる。

 女性、恐らく女の子の母は、微笑んで女の子を見ている。


「ごめんなさい。うちの子、人見知りなものでして。ああ、これ。つまらないものですが」

「まぁ。ありがとうございますー。ふふ。同い年だし、あ-くんと幼馴染になるのね」


 幼馴染。おさななじみ。オサナナジミ。

 遠い日の記憶。

 濃い桃色の目の、あの子。


 よりによって。

 また僕に、女の子の幼馴染なんて。


 僕はただ、そこに立っていた。



 お隣さんが、やってきた。







 渦巻きに書かれた黒い線に沿って、ぺたぺたと小さくて丸いシールを貼る。

 幼児教育のひとつらしい。

 僕はひたすら、貼ってはがしてを繰り返してた。


「ありまー。まほう教えてー」


 そこに、つんつん頭こと通君が入ってきた。

 通君はあれ以来僕に懐き、こうやって魔法陣の書き方を習いに来た。

 今はへたに大人に怪しまれても困るから、形だけの落書きにしか見えないものしか教えてないが。


 ゆくゆくは魔法をちゃんと教えて、仲間にする予定だ。

 あの映画でも、仲間は重要だったしね。


「あれ、まだそれやってるのか? センセ―に集められなかった?」


 というか、魔法を語り合う相手がいないというのは寂しい。


「いや、新しくもらったの。なんとなく何かに集中してたくて」


 ちなみにそれについて先生に言ったとき、先生は


「でもなぁ、シールで悪戯されちゃあ、いや、有馬君だからないな。

 他の子に取られて、いや、有馬君だからないな。魔王だし」


 なんていってた。

 褒めていただき光栄です。


「あともう少しで終わるし、いいよ。何がやりたい?」

「火! かっこいいし」

「火じゃ、ほうきで空は飛べないよ?」

「花火とばしたい」


 どうやら、通君の夢は少々変更されたようである。



 シールを貼っていた紙を裏返し、ク―ピーでもって、ぐりぐりと魔法陣を描く。

 通君はあらかじめ紙をもってきていた。僕に倣って同じように図形を描いていく。


「あ。そこは緑でいいのか?赤じゃなくて」

「うん。火を飛ばしたいんでしょ? だからここでは少し風、緑を使う」

「へー」


 先程、のちのちといったが。

 魔法の基礎はもう教え込もうとしてます。


「なー、ありま。どうしたの? おちこんでるけど」

「……何で分かったの?」

「あのときとおなじ感じがするから。こわい感じ」


 おこらせたらもっとこわいけどな、といって通君がにひと笑った。

 ねぇ、通君。じゃあ何故?

 何故、怖い感じがする人が描いていた絵を、奪い去った上でびりびりに破った?


「なやみあるんなら、聴くぜ。ほーれんそー」

「ほーれんそー?」

「そう。ほーこくれんらくそーだん。パパが悲しそうにいってたんだぜ」


 通君のパパに何があったんだ?

 通君はまた、にひと笑う。


 その笑顔を見てたら、なんだか気が抜けた。

 話しても、いいかなって思った。

 彼に話しても、変なことにはならないだろう。


 僕は、誰かに話したかった。


「……昔ね、仲の良かった女の子がいたんだ。その子のこと、守るって言ったのに守れなかった」

「ふぅん」

「それで、今日。新しく、お隣に女の子が来たんだ。それで、僕は」


 また、守りたいなんて思ってしまった。

 彼女はあの子じゃない。それでも。

 心が、僕の性質みたいなものが、何故かそんなことを叫んでた。


 もう、失敗しただろう?

 そんな資格なんてないのに。


「ひっこしてきたのか、その子。ここにくるのか?」

「……うん」

「ふぅん」


「ねぇ、ありま」


 通君は言う。

 通君は笑う。


 にひ、と効果音が付きそうな特徴的な笑い方だ。




「だったら……」




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他作品 連載「俺が死ぬと世界が終わるらしい」 →男子高校生がある日「おめーが死んだら世界終わるから」と予言された上に、世界中から命を狙われるハメになる話
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