第二話
林 賢一です。
突然ですが皆さんは、経験したことはないだろうか、
仕事を抜け出し、公園で一休みしていると。
突然、「お兄ちゃん」
、と見知らぬ人に言われたことは
ないだろうか?
私は、あります。
そして今、その子は、私の家に居ます。
しかも、その子は人の家ですごく、くつろいでいます。
て言うか、ベットで寝てるし・・
その子の名前は麻子、高校1年生、聞けば
私は(お兄ちゃんの事)、どうやら、就職を親に反対され
親の反対を押し切り、家を飛び出したらしい。
それっきり家にも連絡はなく、
心配になった麻子は、インターネットで
お兄ちゃんの写真を公開し(本当はだめだよ!!)
この街の公園に似た人がいるよ。と誰かからの
情報を信じてこの街にやって来たらしい。
そして、私がその公園にいたって訳だ。
だが、私の過去はそんなものじゃない!!
林 賢一
二十歳。高校時代はボクシングで青春をし、
高校卒業後、仕事もしないで
パソコンいじりの毎日、その腕前は、結構なもので
市町村の個人情報を
簡単に見れるほどで・・(やっちゃいけないよ)
案の定、警察に御用。
しばらく、警察に厄介になって、外にでると
知らないおっさん(現部長)が仕事の話を
持ってきた。いわゆるヘッドハンティングってやつ。
しかし、二つ返事でやるとは言ったものの
しょうもなく、ちっさい会社で
「この会社、君のゲームに将来かかってるから」
そう言われた時は、正直あせった。
しかし、簡単なボクシングのパソコンゲームが
飛ぶように売れ、会社の売上がウナギ登り
次に、中学時代にやっていた柔道経験を生かし
柔道のゲームを結構、本気で作ると、
売上が落ち、我が社は、経済氷河期に突入してしまった。
傑作だったのに・・・
そして、ある企業に買収され現在にいたる
と言う訳。
まぁ、そんなことは、どうでもいいと。
しかし、麻子の写真をのせたというサイトを見てみると、
たしかに、似ていた。
髪型は坊主でこの身長、この体格
これ、私の写真じゃね?って思うぐらい似ていた。
間違えても仕方がないか・・
つまり、私はこのお兄ちゃんを見つけなければ、
麻子という呪縛から解放されないって訳だ。
いつの間にか、朝になっていた。
麻子はまだ寝てる気づかれないように
仕事に行かなくちゃ あの子の事だ
私の予想だと、仕事場まで付いて来そうだ
いゃ、もしくは、麻子が起きてしまって、
行くな、と私の首にしがみつき、絞め殺してしまう
そう言うオチかもしれない。
どちらにしても、麻子を起こしてはいけないという意味だ。
すると、ベットの方で、
「お兄ちゃん、おはよう・・」
今の一言で私の寿命がどれほど縮んだか・・
落ち着け 私・・慎重に、丁寧に対処するんだ。
「お,おはよう 起きちゃったのか?もう少し寝てていいぞ
これから、ちょっと仕事に行ってくるから」
「えぇ〜、だめだよ。私も行くんだから」
そう言いながら麻子は、ベットから飛び出した。
な,なんて格好をしているんだ・・
上はTシャツ一枚に下は***かょ!!(ご想像にお任せします)
なに?今時の高校生って大胆なの?
そう思いながら
「頼むから、服を着てくれ!!」
すると、麻子からの一言
「えぇ〜兄妹だからいいじゃん」
「だから、私は兄ちゃんじゃない」
そう言っても無駄だった。
なんと、そのままの格好で、また飛びかかって来たのだ
しかも、予想道理、なんと首に手を巻きつけてきた。
ヤバい、死ぬ・・・
その時、私はある名案を思い付いた。
「わかった。連れてってやる」
「え?本当 やった〜」
その時の彼女の嬉しそうな笑顔はとても可愛かった。
って、何考えてるんだ。バカか?
この任務に成功したら、麻子と言う呪縛からも解放されるかもしれない
だから、心を鬼にして
「あぁ、本当だ。だから首を絞めるのは止めてくれ
若干苦しいぞこれ、ってか これ絞まってるよね? 絞まってるよ!!
頼むから、放して〜」
「あっごめんね」
皆さん、知っていただろうか?
首を絞められて、本当に苦しいと思った瞬間に
手を放される その時が、一番苦しいと言うことを
いや・・苦しいと言うかあれは、痛かった。
「あぁ〜、死ぬかと思った・・
とにかく、連れて行ってやるから早く着替えてきなさい。
その格好で行くつもりか?」
「わかった〜着替えてくるね〜」
「あぁ、私は玄関で待ってるから早くしなよ〜」
さて、皆さんもうお分かりでしょう。
もちろん、その期待には、お答えします。
玄関で待つだなんて真っ赤なウソ!!
今のうちにダッシュで仕事場に行くと言うのが今回の任務・・
しかし、もはやその任務は
終わりを告げようとしていた。
「準備できたよ〜」
ありえない、早すぎる、考えられない、
・・いや急いで扉を閉めるんだ。
扉の裏側では麻子が叫んでいた。
ヤバい、見つかった・・いやまだ大丈夫だ。
今、鍵も閉めておいた。
これでしばらく、大丈夫だ。
なぜなら俺の家の鍵は、とんでもない気分屋でどんなに力任せに回しても
開かないのだ。テクニックが必要なのさ
ガチャガチャ・・バキッ・・
えっ?今、バキって言った?嘘・・マジで?力でねじ伏せた?
うわ〜ヤバいな、大家さんになんて言おう・・
とっとにかく今は逃げるんだ。
どうする?いつもの道か?
それとも、ホームレスの近道か?
急がば回れとも言うしな・・
いや・・考えるな、ホームレスのほうだ!!
あれからどのくらい走ったかな・・なんか後ろには相変わらず
麻子が、付いてくるし、しかもなんか叫んでるし・・
「お兄ちゃん、待って〜」
止まったら最後だ、止まる時は、私が死ぬ時だ・・
しばらく、走っていると
いつもの場所にいつもいる、ホームレスが前の方に出てきた。
「おはよう、おじさん ごめん急いでるから」
そのまま、通り過ぎようとしたら
「よぅ、優しいあんちゃん、昨日はお手柄だったね」
「えっ?何の話?」
その時、少し脚を止めてしまった。
「お兄ちゃん!!」
そう言いながら、思いっきり体当たりされた。
何m飛ばされたかな・・
「私を置いて行くだなんてサイテー」
麻子は、倒れてる私の上にまたがり手を高々く上げ
今にも振り下そうとしていた。
ヤバいっ!!あれを喰らったら絶対にヤバい
つーか、ヤバイってレベルじゃないでしょ、あれっ・・振り下ろしてるっ!!
「待てっ、今あの人が有力な情報を・・」
麻子の手が顔のほんの手前で止まった。
「情報ってなんの情報?」
ここで、麻子のお兄ちゃんの情報って言ったら
絶対にだめだ。また振り回される。
「それを今聞くところだから、とりあえずどいてくれ」
まだ、疑っていてどけてくれない、
すると、横にいたホームレスは、
「あんちゃん、昨日の威勢はどこに行った」
やっぱり、聞き間違えじゃなかった。
「ねぇ、おじさん、私さ、昨日何をしてた?」
「何を言っとる、昨日は強盗を撃退してただろ」
よし、来た私以外の私を発見!!
「嘘言わないでよ、おじさん だって昨日はずっとお兄ちゃんと
一緒にいたもの」
よし、この流れに乗って行けば大丈夫だ
「だからな麻子、きっと強盗を退治した方が本当のお兄ちゃんだよ」
「じゃあ、今ここにいるお兄ちゃんは誰なのよ?」
よし、麻子も乗ってきたぞ
「だから、私は麻子のお兄ちゃんに似た ただのそっくりさんなんだよ」
・・・ようやく理解してくれた。
でも、少々気が動転してるみたいだ。
今、彼女を外に出しておくのは危険だ。
なぜならあの怪力で大暴れされたら機動隊が出動するかも知れない、いゃマジで・・
「麻子、仕事が終わったら兄ちゃん探し一緒にしてあげるから
今は、私の家で大人しくしてなさい。私のパソコンのゲーム
してていいから、わかったな?」
麻子は、一度うなずき元の来た道を歩いて行った。
その後ろ姿は、とても寂しそうで
やべ〜、ちょっと悪いことしちゃったかな?
ホームレスのおじさんは、訳が分からずおどおどしていた。
「おじさん、その強盗が出た場所わかる?」
さて、賢一の話で前回も長くなってしまったが、
そろそろ他の人たちも動かさなくてはいけないので、ご了承ください。
井上 美輝です。
皆さんは、こんな経験はないだろうか。
たとえば、今日好きな人に告白しようと、学校の玄関前で待っていると
下駄箱の所で違う人が、先にその人に告白をし
しかも、彼がいいよ、と言っている場面に出くわしたことはないだろうか?
私は、ありません。でも昨夜似たような体験をしました。
・・い,いや別に好きとかじゃなかったし、
全然好きとかじゃなくて、む,むしろ気持ち悪いみたいな?
第一、引きこもりだし
ただちょっといいかな?って思っただけであって
あぁ〜もう、私、どうしちゃったんだろ?
本当は、前回作だけの捨てキャラの予定だったのに〜
昨日から変だな私・・そう思う今日この頃
って、何言ってるの私、捨てキャラじゃないし、レギュラーだし
はぁ〜、大学に登校しながら何考えてるんだろ・・
そんなことを考えてるうちにここは、昨晩強盗に襲われた場所だ。
あれっ?誰かいる、賢二さん?な訳ないか
何を私期待してるんだろ・・
ってあれ、賢二さんだ・・え?なんで?
もしかして、待っててくれたのかな?
とにかく、話しかけてみよう
「あ,あの林さん?」
「はい?」
えっ?何その反応・・待っててくれたんじゃないの?
でもなんで待っててくれたのかな?
朝早くに出かけるのは見たけれど・・
「あ,あの〜すみません どちらさまでしたっけ?」
今の一言で私の心の中にある何かが壊れました。
「どうしてそんな、ひどいこと言うんですか?賢二さん
いくら、あなたが引きこもりだからってそんなことを言う人だとは
思いませんでした。さよなら」
私、なに泣いてるんだろ・・なんで走ってるんだろ
どうせ、賢二さんは、追って来ないだろうし
「ちょっと、待ってください あなた、賢二さんと知り合いですか?」
えっ?追ってきてる なんで?
「いゃ、ついてこないで!!」
「いやっちょっと、待って・・ちくしょうなんで今日朝から走り回ってるんだ?
しかも、今回は追う番かよ・・ 私は、あなたの知ってる
賢二さんじゃないんです。」
何言ってるの賢二さん
「なに言ってるんですかどこをどう見たって賢二さんですよ」
「私は、賢二さんを探してるんです。どこにいるのか知りませんか?」
「鏡でも見てなさい 馬鹿」
「バ,馬鹿とはなんですか〜泣きますよ 私」
そんな事を言ってるうちに捕まってしまった。
「ようやく、捕まえた」
「ちょっと、手を放してください」
「家の場所を教えてくれればいいんです。お願いします」
えぇ?なに突然 あなたの部屋の向かいなの知ってるでしょ
も,もしかして、これ・・告白?
まさか、ちょっと自意識過剰よ私、
「なにが、あったか知りませんがこれ以上泣かないでください」
・・・これは間違えなく告白だ。私、なんて言ったらいいんだろう
住所を言えばいいのかな?
でも言ったらOKってことになっちゃうし・・
「**アパート207です。」
「ほ,本当ですか?」
私は、顔が熱くなるのを感じながらうなずいた。
すると、賢二さんは胸をなでおろしながら
「よかった〜ありがとうございます。今日仕事が終わったら伺います」
そう言って賢二さんはどこかに行ってしまった。
今日伺う?本気?でも私もなんか流れでOKしちゃったわけだし・・
その日の講義は全く身に入らず
アパートに帰ってから部屋の掃除、化粧直しに
力を入れる井上であった。
だが、言うまでもないが、
井上が、賢二だと思っている彼は
本当は賢一だと言うことは言うまでもない