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サイボーぐぇ 09

 09 パンツを穿こう



「それで、深溜院みりゅういんのお嬢さん。頼んだものは買ってきてくれたのか?」

「はいはーい、ちゃんと買ってきました」


 美少女はガサゴソとビニール袋を先生に手渡した。

 お金持ちのお嬢様の割には、陽気で気さくな性格のようだった。

 僕が生きていれば、いや、死んでいても惚れてしまいそうだった。


「ほう、そう来たか」


 何だろう。

 先生の顔が一瞬だが、悪人っぽくなった気がする。


「喜べ、義体人サイボーグA。お嬢さんがお前のために態々買ってきてくれたぞ」

「何を?」

「これだ!」


 僕は透明のビニール包装された商品を受け取った。

 130とか書かれている、何となくピンクっぽい商品である。


「ぱ、パンツよ、サイボーぐぇ」

「でも、これって……」


 僕は商品を取り出して眺めた。


「どう見たって、女児用じゃないか!」

「仕方がないじゃない! 恥ずかしくて男子用なんて買えないんだもん」

「僕だって、女児用は恥ずかしいって!」

「可愛いから大丈夫よ、きっと」

「可愛いって? ええっ」

「ち、違うわよ。女児用が可愛いって意味よ」

「でも、130って子供用だよね」

「そ、それくらいでしょう?」

「いや、身長はもう少しあるって。ねえ、先生?」


 先生は作業用ルーペを外しながら、面白そうにこっちを見ていた。


「まあな。義体人サイボーグAは小さく見えるが、身長149センチ、体重29キロだぞ」


 何となく、自慢気に言うけど、僕には不満があるからね。


「へえ、そうなんだ。でも体重が30キロないなんて、小学校4年か、精々5年生ですよね。おっぱいがふくらんだら30キロ以下なんてことないもの」

「そうさなあ、中1になれば30キロってことはないな。ブラも必要だし」

「先生は大っきいですもんね。小学校からじゃないです?」

「ああ、小5にはしていたかな。男子たちがいやらしくて恥ずかしかったな」

「そうですよね。男子って本当にデリカシーがないと言うか子供というか、馬鹿でえっちですよね」


 ガールズトークなのか?

 そうなのか?


「だからって、女児用はないんじゃない?」

「落ち着け、義体人サイボーグA。折角の人の好意を無碍にはするな。死人に男子も女子もないだろうから、今日の所は我慢して穿いていろ。女性の前ですっぽんぽんでいる方が変態だぞ。それに、自分で外出できるようになったら、いくらでも好きなのを買えばいいじゃないか」

「そうよ、そうよ」

「でも、これは子供用だし……」


 すっぽんぽんと女児用パンツと、どっちがより変態に見えるだろう?


「大丈夫よ。子供用だからこそ余裕あそびがあって丈夫にできているから。大人用はピッタリサイズじゃないとあちこちに不都合が出るけど…… ねえ、先生?」

「ああ、そうだな。ちょっとサイズが違うだけで痛くなったり痒くなったりするな。朝晩でサイズが変わるとかな」

「ちょっとケーキを食べ過ぎたりすると食い込んだりしてね」

「そうそう、飲み過ぎた夜なんかも難儀したりする。そのくせ、大人用は値段が高いから馬鹿らしいよ」


 ああ、再びガールズトークに戻ってしまう。


 仕方がないので、僕はベッドの反対側に立って目隠しにし(低身長は結構、有利かも)、コソコソと130女児用パンツを穿いてみた。


 だが、設計ミスだろうか、足下まで手が届かず、パンツを穿こうとするポーズのまま、床に転けて頭を打った。


「ぐぇ!」

「まあ、大変!」

「大丈夫か、義体人サイボーグA?」


 義体人サイボーグでも、脳震盪は起こすのだった。

 木造もくぞうのせいだろうか?



 つづく

少し体調を崩しました。

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