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真の治癒術士《ヒーラー》5

 「緑髪の妖精侍女」




 女騎士は、首輪が外れても『足置き』をやっていた。

 日課になった散歩の時も、奴隷服に着替え首輪を装着し、最近は首輪にくさりのリードまでつけて僕に持たせている。

 今も、そうである。


『ここは魔王城だからな。この方が何処に行っても安心できるんだ』


 本人が望むのだから仕方がない。

 しかし、魔族たちのお祭りはまだ続いていて、どうやら王女プリンセスの結婚披露宴までは居座るつもりらしい。

 二度手間は嫌だろうからな。


 銀髪の王女(プリンセス)の方は毎日、魔族の長たちがお祝いを持ってきて大喜びだし、金髪の王女(プリンセス)の方には人間側の各王国から毎日、お祝いの品が届けられ大喜びだった。

 勿論、お祝いの品には何故か時々、妙齢の女の子が付いていて、王女プリンセスたちは今のところ、それを疑問に思っていない。

 お祝いの品を説明してもらったり、珍しい反物でドレスを縫ってもらったり、飾ったり分類したり片付けたりなども一緒になってやっていて、まるで侍女か下働きと過ごしているようだ。

 特に金髪の王女(プリンセス)にはお付きの侍女がいなかったから役に立ってはいたが、ちゃんと侍女の能力があるのかないのか見極めて正式に雇った方がいいけれど、見極めるための試験ができる人材がいなかった。


「どちらの勢力も、なし崩しにお前の愛妾にする気だぞ、いいのか」

「愛妾って言っても、結婚がこれからだからね。それに、東宮も何となく人が増えてきたから、人手は必要なんだよなあ。女騎士だって世話させたりしてるじゃないか」

「そうなんだが、本物の侍女とは違うな。料理の腕も世話する技術も銀髪の王女(プリンセス)の連れている本物とは違うぞ」

「何か訓練とかも考えないとなあ。魔王城のメイド長(妄想)にでも相談してみようかな」

「教育係を貸してもらうとかか?」

「でも、忙しそうなんだよね。魔族があれだけ押しかけているのだから」


 今日も小川沿いを寄り添いながら歩いて、例のところ付近までやってきた。


「そうか、ところで、そのだな……」

「ああ、トイレな。行っておいで」

「おい、主人のように偉そうに言うな。そう言うのは、ちゃんと、しゅ、主人になってからに……」

「わかったよ」

「わかってない。主人になれって言ってるんだぞ」

「奴隷制度は好きじゃないんだけど。雇用契約でもいいかい?」

「だから、わかってないと言ってるんだ!」


 例の小川沿いのトイレは目の前だった。

 扉とかは治癒ヒールして修理してあったので、前回と変わっていなかった。

 女騎士のくさりを外して、自分で行かせる。


「こ、怖いから、近くにいてくれ」

「わかってるって」


 女騎士は辺りを窺ってから、そっと扉を開けた。


 きゃー!

 ぶうん!

 がきん!

 じりじりじりん!


 何故かピンク髪の王女プリンセスが先に入っていて、以前と同じことを繰り返した。

 ただ、彼女の衣裳はスケート用のピラピラだった。


「もう、僕がいる時を狙ってやってるんだね!」

「狙ってたら、僕が扉を開けているよ」

「ねえ、そんなに僕の裸が見たいの?」

「いいや、別に」

「嘘つき!」

「じゃあ、見たい」

「ちょ、ちょっと、ここでは駄目だ。駄目!」

「どうしろってんだ!」

「まあまあ、教皇、落ち着いてくれ」

「はあはあ、落ち着いてるよ」

「落ち着いてないじゃないか!」

「冗談だよ」

「ねえ、教皇。今度の披露宴なんだけどさ。僕も参加していいかな?」

「家族なんだから、参加するだろう?」

「君の家族としてだよ?」

「うーん。僕の家族にもなるんだよねえ?」

「じゃあ、良いかな?」

「駄目だ、駄目だ、それは駄目だー!」

「ちっ!」

「もう終わったのかい、女騎士」

「ああ、終わった。すっきりとって、そうじゃない! 教皇。お前はその男女おとこおんなに騙されているぞ!」

「僕は女の子だ!」

「女なら胸があるはずだな」

「ああ、あるさ。ほら、立派なものだろう?」


 ぼーん!


「それが立派だと? 胸とはこう言うのを言うんだ」


 ばよーん!


「デカくても、垂れているのは駄目さ、美しくない」

「た、垂れてなどいないぞ!」

「大きさより形だね」

「うるさい、お子様のくせに」

「お子様じゃない。可憐な少女おとめだ」

「子供だ」

「少女だ」

「大きさだ」

「形だ」


 ぼーーん、ばよよーん!

 ぽよーん、ぷよーん!


「教皇!」

「教皇!」

「僕のが良いよな!」

「私のが良いよな!」


 いやあ、両方かな?


「おほん! ……けほん」


 いつの間にかメイド長(勝手に命名)が立っていた。

 僕も立っていたが……

 メイド長は濃い緑色の髪で24か5ぐらいのお姉さんだが、真面目な侍女らしく無表情で人と接するから、お人形さんみたいに可愛い印象がある。


「何か急用なのかな?」

「教皇様。一言だけ申し上げます」

「何でしょうか?」

「胸は触り心地です」


 ばいん!


 だけど、大きくて形も良かった。

 ツンと上を向いていて、先端は小さなピンク色をしていた。

 ピンクのメイド長と呼ぼうか。


「ですよねー」

「勿論、冗談ですよ」


 ピンクのメイド長は僕が手を伸ばす前に、見事な胸を仕舞ってしまった。

 空振りした。


「冗談なんですか!」

「勿論です」

「酷い!」

「酷いのは貴様だ! 馬鹿教皇!」

「そうだ! 酷いぞ、馬鹿教皇!」


 ばきん!

 がきん!

 げしげし!

 ごんごん!


「ヒール!」


 まったく、この二人はなんだかんだ言って、仲良いよな。


「それで、何ですか?」

「実は魔王様がお呼びです」

「そうですか。王女プリンセス、悪いけど女騎士を連れて帰ってくれる?」

「何で、僕が!」

「私はペットか! ひとりでも帰れる!」

「後で何かサービスするからさ」

「そ、そうか。よし、それならこの僕に任せろ。行くぞ女騎士」

「私は? 私にもサービスしろ! 教皇!」

「わかった、わかった」

「絶対だぞ~!」


 口うるさいくせに、チョロい連中だった。

 ワッフルに蜂蜜とかで誤魔化そう。


 僕はメイド長の後に続いて、皇宮の方に歩いて行った。

 残った二人はワイワイと賑やかに話をしながら、東宮の方に戻っていった。

 仲良しである。


「さっきの胸って、幻覚ですよね」

「あら、気付いてらしたのですか?」

「何となくですが、以前と違う感じがして」

「いつも、そんなところを観察しているのでしょうか? 変態ですね」


 メイド長は綺麗なお尻を振りながら小さな丘を登っていく。

 膝丈のふんわりした侍女用の服が美しく揺れている。

 確かに変態である。


「でも、変態に出会うのには慣れているみたいですね?」

「良くわかりますね。でも仕事柄仕方がありませんよ。男ってみんな程度の差はあっても変態ですからね。侍女は胸やお尻ぐらい日常茶飯事ですから、私は幻覚魔法で満足させる方向で処理してます。成功率100%なんですよ」


 では、彼女はいつでも幻覚魔法で変態をやり過ごしているのだ。

 成功率って魔法のことだろうか?

 それとも、お客様満足率の方だろうか?


「そうなのですか? 凄いですね」

「そうなのです。凄いのです」


 得意そうなメイド長である。

 年上なのに、ちょっと可愛いと思ってしまった。


「では」

「えっ!」


 僕は後ろからメイド長のスカートめくりをした。

 流石にこのタイミングで『幻覚魔法』は使えないだろうと思ったが 美しいお尻は白いひもパンに包まれていた。

 いや、包み切れていなかった。

 殆どがお尻のような気がした。

 幻覚魔法って凄い。

 くいこみが凄い。

 拒絶するのではなく、満足させてしまう方向でやり過ごす意味が良くわかる。


「きゃーー!」


 メイド長は事務的キャラとは思えない可愛い声で悲鳴をあげるとペタリと座り込んだ。

 女の子座りで涙目である。

 うーん、これなら『お客様満足度100%』も嘘ではないだろうと思った。


「み、見ました?」

「はい、バッチリ。見事な魔法でした」

「そ、そうですね。ば、バッチリだったでしょう?」

「ええ、あんなにエッチな下着を穿いてるとは誰も思いませんよねえ」

「もも、勿論です。いつもは普通のしか穿きませんから……」

「しかし、エッチ過ぎてもしつこくされませんか? もう少し温和し目のをチョイスしても」

「つ、次はそうします」

「楽しみにしてますよ」

「だ、駄目です。おふざけは一回だけにしてください。次したら、お、お嫁さんにしてもらいますからね!」

「はいはい、そうやって次を封じるのですね」

「もも、勿論です」


 僕はメイド長に手を貸して立たせてあげた。


「ああ、すみません。枯れ草がスカートにくっついてしまいましたね」

「大丈夫です! 自分で取れますから」


 メイド長は、僕の手をやんわりと断り、自分で枯れ草を払った。

 後ろを気にしてるが、僕に見てもらうのは気が引けるようだった。

 これはチャンスである。


「えい!」

「ふぃきゃぁー」


 前から見ても白いが過激なひもパンだった。

 流石はメイド長である。

 気を抜いてるように見えても、抜いてない。

 くいこみどころか、布面積の限界に挑戦してるような挑発的な下着姿だった。


「いやあ、凄いものでした。現実では拝めないような過激さです」

「……」

「あの、どうしました?」

「お嫁さんですからね……」


 メイド長は涙目で立ち上がると、僕を残して皇宮へ走り出してしまった。


「お嫁さん、ですからね~!」


 途中で一度こけて、ひもパンのお尻が再び見えた。


「絶対に、お嫁さんですからね~!」


 皇宮の裏口は、後宮との境にあるので警備兵(近衛兵)が立っていた。

 僕は魔王の娘婿だか後継者候補だかで、顔パスである。

 裏口の中には例の『妖精侍女』が待っていた。

 メイド長と交替したのだろう。


 そう言えば、妖精族は殆どが緑色の髪だった。

 妖精侍女はメイド長よりも更に明るく柔らかい緑色である。

 パステルグリーンとかだろうか?


 娘婿でも後宮には入れないから、案内と見張りみたいなものだろうか?

 妖精侍女は僕の腕を取り、まるで恋人とのデートのように歩いた。

 少し歩きづらかったが、間違って後宮に入られたら彼女が困るだろうと思って、大人しく一緒に歩くことにした。

 妖精侍女は皇宮内を良く知っていて、殆ど目を閉じていても歩けるようだった。

 マナーなのか、一言も発しないで、ただ僕の腕にしがみついてエスコートしてくれる。

 魔王の謁見の間は結構遠かった。

 普通は表から入ってくるからだろう。


「あぁ、もう着いてしまいました。お帰りも裏からでよろしいですか?」


 凄く可愛い娘だが、これは妖精族だからか、この子の個性なのかわからなかった。


「教皇様?」


 うーん、この子も胸を触られたり、お尻を撫でられたりするのだろうか?

 想像できない。

 そもそも、年齢が12歳から16歳までの何処でもあり得そうな不思議な容貌と容姿をしている。


「君は幾つなんだい?」

「女性に年齢を尋ねるのはマナー違反ですけど…… 求婚と言う意味ならば大丈夫でしょうか(小声)」

「ああ、ごめんね。興味本位だったかな。さっき侍女はお客に身体を触られたりするって聞いたから、君にもそんなことがあるのかな、などと埒もないことを考えてしまって……」

「まあ! 私の身を案じてくれたのですか?」

「そ、そんなとこかな」


 妖精侍女は顔を真っ赤にして照れてしまい、見ているこっちも恥ずかしくなった。


「さあ、お試しくださいませ……」


 妖精侍女が僕の手を胸に当てた。

 ドキドキしているのがわかってドキドキした。


「も、もう大人ですよね」

「あっ、そ、そうだね。大人だね」

「良かったですぅ…… はぁぅぅ!!」


 妖精侍女は『はしたないこと』をしてしまったと気付いたのか、更に赤くなって「後で」と一言発してパタパタと戻って行ってしまった。

 走る姿は、胸よりも少し子供っぽかった。


「良く来てくれたな、教皇」


 魔王は床に散らばった書類の中にいた。

 設計書や見積書、計算書、パースなどだった。


「別荘でも建てるんですか?」

「いや、そうじゃねえよ。実はな…… こいつを見てくれや」

「見積書? 修繕ですか? 470億円!」

「おう、絶対高いよな。建設業者の奴等、この好景気で足下をみやがってるに違いない!」

「この魔王城の修繕ですか? 皇宮だけでこんなに?」

「ああ、どの業者も同じような見積もりだ。談合しているに違いねえ」


 魔王は上手に書類を避けながら、あっちこっち歩き回った。


「しかも、どうせなら新築しないかと持ちかけてきやがったよ。確かに魔王城は歴代魔王が戦争のせいで修理も先送りしてきやがったから、建て直した方が手っ取り早いかもしれねえが…… 予算がなあ」

「税収は上がってますけどねえ」

「だが、各地の復興が先だろう。人間族に奪われていた土地が7割もあるんだ。そこから手をつけないと魔族の長たちが反対する」

「借款と言う手はどうなんです」

「財政基盤がかたまってねえから無理だろう。人間たちの王国も貸す余裕などねえんだ」


 僕は建設費の見積書も見てみた。


「えー、ベルサイユ風宮殿、700億円(離宮、周辺整備込み)?」

「こっちはデカいからな。4倍ぐらいの延べ床面積があるとかで、それでも格安だそうだ」

「えーと、総理官邸風宮殿、600億円」

「東宮と同じデザインだな。手抜きだぜ」

「ハリーファ風宮殿、1700億円?」

「地上900メートルにするそうだ」

「ウィンザー風宮殿、350億円+解体費150億円?」

「それが一番安いそうだぞ」

「国立風宮殿、2600億円!」

「国立って屋根あるのか?」

「ヒルズ風宮殿、2700億円」

「セレブしか住めそうもないな」

「NHK風社屋宮殿、3400億円」

「別にハイテクはいらん!」

「大阪城風宮殿、聚楽第風離宮付き1兆6千億円!」

「まだまだ」

「ポタラ宮風、2兆円!」

「ザナドゥー2風宮殿7兆円!」

「世界一の金持ちだからな」

「紫禁城風、26兆円」

「歴史があるからな」

「ISS(国際宇宙ステーション)風、120兆円!」

「狭いし、土地がないし、地上との往き来がたいへんだな。意味あるのか?」

「獅子の泉、200兆円?」

「ノイエサンスーシー、1000兆円?」

「スペースオペラだからな」


 僕は見積書を床に投げた。


「ふうー、建設会社はやる気ないようですね」

「まあな、あちこちで建設ラッシュだ。仕事が多すぎるくらいだからな」

「毎年予算から2億円ぐらい出して、コツコツ修繕するとかはどうなんです?」

「200年かけても終わらないとか、魔族はスペイン人じゃないからな。やる気は起きないだろうな」

「どうするんです?」

「何か良いアイデアがないかと呼んだんだよ」

「そう言われても……」

「お前の王女プリンセスのせいで、人間族の国王陛下ご一行が来るそうだ。空き部屋が何処もボロくて雨漏りするし、何とかしないと部族長たちを良い部屋から追い出さなくてはならねえぞ。お前は恨まれそうだな?」

「脅し?」


 僕のせいなのだろうか?

 流石にこんなことになるとは思っていなかった。


「魔王?」

「何だ?」

「女魔法使いを呼んでください」

「やっぱり他力か?」

「あんただって、脅迫じゃないですか!」

「まあ、そうだな。水は低いところが好きらしいぞ」

「その様です」

「ほいほい!」


 ぽん!


 パンツ姿の女魔法使いが現れた。


「こんなこともあろうかと、パンツは穿いていた」


 ドヤ顔である。


「他も着とけよ!」

「召喚!」


 女魔法使いは服を召喚した。


「それで、今度はなに?」

「それがな……」


 僕は経緯を懇切丁寧に説明した。


「うーん、私は合体しない!」

「どう言う意味?」

「教皇の得意分野?」


 はて?


「じゃ、魔王、これで」


 ぽん!


 女魔法使い(あいつ)も瞬間移動できるんだな。

 しかし、僕の得意分野って?

 流石に魔王城を建設することなんてできないぞ!

 でも、修理なら可能かな?

 デカすぎて、新品リワインドは無理でも、復元レストアなら、修理できそうだ。


「魔王?」

「はいよ」


 こいつ、僕ならできると思っていたんじゃないか?


「メイド長じゃないか、あの人は何て呼ぶんだろう」


 ぽん!


「こいつか?」

「き! きゃー!!!」


 温和し目のパンツ姿のメイド長が現れた。

 両手には他のパンツを持っていた。

 検討中だったようである。


「み、見ないで、お願い!」

「ま、魔王?」

「ほいきた」


 ぽん!


 メイド長が一度戻って行った。


 暫し、待つ間、魔王は外の景色を眺めながら口笛を吹いていた。


「しし、失礼します」


 メイド長は真っ赤になっていて、魔王を見ずに僕の前に来たが、僕のことも見なかった。


「……と言う訳で、修理箇所と修理の手順みたいなのを知りたいんですが」

「と、言われても魔王城は広すぎて、リストにするのも大変です」


 ちょっと顔を上げたが、すぐにプイッと横を向いてしまった。


「いや、何となく頭に入っていれば良いんです。イメージと言うのか、感覚とか、見た記憶とか?」

「それなら妖精のひとみを使えば何とかなるかもしれません」

「妖精のひとみ?」

「おお、それなら俺にもわかるぜ、ほい!」


 ぽん!


「きゃぅー、な、なんです?」


 今度は妖精の侍女が現れた。

 ちゃんと侍女の服装をしていて助かった。


「私は妖精族のハーフですから瞳は持っていませんので、この子が見てくれます」


 やはり、そうなのか。


「この妖精侍女なら、一度見たことのある場所はすべて見通せます。でも、修理箇所の構造とか、修理範囲や手順などは、私が決めないと難しいかも知れません」

「つまり、二人の能力と知識と経験を合わせないと、魔王城全体の把握は無理なのですか?」

「そうなります」


 困ったな。

 どちらか一人なら、合体ブースト治癒ヒール復元レストアできたんだけどな。


「それなら簡単じゃねえか? 三人で合体ブーストするんだな。三人トリプル合体ブースト治癒術ヒールだな、あははは!」


 三人合体治癒術トリプルブーストヒール

 メイド長も妖精侍女も何だかわからないようだった。


 だが、ものは試しだ。

 駄目元だ。

 今川義元だ。

 いや、それは失敗するから駄目だ。

 義を見てせざるは勇なきなりだ。

 美女を見て手を出さざるはへたれだ。


「どちらかと言えば『口八丁手八丁』だな」

「煩いぞ、魔王!」


 僕の魔王に対する口調にビビったのか、二人とも大人しく言うことを聞いてくれた。


「あっ、ああん」

「ひぁ、ひゃぁん」


 僕は右手にメイド長、左に妖精侍女を抱え込み、絞り込み、ついでにおっぱいを鷲掴みにして、流し込んだ。


「ああっ、何かが、何かが中にぃー」

「ひゃん、ひぃぃん、ひぇー」

「ヒール!」

「あうぁ、いきます、いきますぅ」

「ひぁぁ、出ちゃう、出ちゃうんん」


 治癒レストアは成功し、魔王城は新品のように蘇った。

 おどろおどろしい魔王城が、風光明媚な魔王城になってしまったようで、何となくおかしかった。


 しかし、これで魔王は修繕費何百億円かを得したはずである。


 骨董品屋にすっ飛んで行きやがった!

 あの野郎!

 流石は魔王かな?


 その後、魔族領の有名な城は全部『新品同様』になっていて、各魔族の長たちは喜んでお礼にきた。

 どうやら、メイド長が見たことのある城は治癒レストアされてしまったらしい。

 それには人間側の城も含まれていた。

 妖精侍女の方は『見たことがありません』と言っていたから、間違いなくメイド長の方だろう。

 三人合体トリプルブーストには、まったく意味はなかったみたいだ。

 妖精族は、戦時には諜報活動を担当するらしい。

 幻覚や妖精のひとみも諜報活動では有利な能力である。


三人合体トリプルブースト?」


 女魔法使いが、軽蔑するような視線を投げつけてきたが、惚けることにした。


「三人合体なら、毎晩、王女プリンセスたちとやっているじゃないか!」


 相変わらず、足置きをやっている女騎士が容赦なく突っ込みを入れる。


「あぁぁ、うんん、右も、右も踏んでくれっ!」




 おしまい






 勇者は行方不明のままだった。

 捕まったらどうするのか、逃げ切れたらどうするのか、魔王側のことも、勇者側のことも、僕には良くわからなかった。

 どうでもいいかな?

なんと、第5話です。

ただの馬鹿話ですから、お気軽にお読みください。


「ねえ、みんな読んでよー!」

「馬鹿馬鹿しいから嫌だ」(女騎士)

「えっちだから、いや」(女魔法使い)

「漢字が難しいのじゃ」(銀髪の王女)

「早く結婚したいです」(金髪の王女)

「そのうちな」(女剣士)

「もっと男も出しなさいよ」(獣戦士)

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