“カラー ミー ブラッド レッド”( 私を まっかの 血の 色に 染めて )
掲載日:2015/06/29
生きているように書いていた。
息を吸うことと同じくらい意識せずに、自然に、書いた。
授業中の教室、
黒板を削るチョークの音、
先生の声、大人の声、
あの子の長い黒髪、
青空と校庭と、シャーペンとノート。
教室の外の廊下の傘立てに、忘れられた晴れの日の傘。
その色が蛍光色のピンクだったこと。誰かのものだった傘。
廊下のむこうから男子が走ってくる。学ランの第一ボタンは外していて。髪は長くなく短髪でもなく、黒い学生服の袖からのぞいたアイロンのかかった白。
灰色に日焼けした校舎のなかで、そのなかでその傘のピンクだけが、
宝石箱のさいごのひと欠片みたい
、忘れられない。
書き溜めたダンボールいっぱいのノート。
黒髪のあの子が集めていた色形とりどりの消しゴムとともに。
蝉の鳴き声。
みんみんみんみんみんみん…
終らない




